Jim
Pulte / Out The Window |
おすすめ度★★★☆ |
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60年代後半からBlue Thumbレコードに所属していたSouthwindというバンドでベースを弾いていたというJim Pulteのソロ作の1stと2edの2in1。 そのSouthwind時代に交流があったらしいL.AのギタリストJesse Ed Davisのプロデュースのもとに製作された1stは、Jim KelterやDr.Johnという名うてのミュージシャンも顔を揃え、隠れた名盤として語り継がれていた。(らしい) 全編に流れる決して上手いとは言い難いJimの、ホノボノとしたヴォーカルがどこまでも心地良く、特にバラードにおける今にもこぼれてしまいそうな声には涙を誘われる。 さらにバックを固めるミュージシャン達もガッチリと彼をサポート。プロデュースも兼ねているJesseのギターは終始粘っこく響いているし、Jim Keltnerの的確でファンキーなドラムは、彼のセッション活動の中でも屈指の出来の一つではないかと思う。 続く2edは特に著名なミュージシャンは参加していないものの、固定のバックにより終始安定した演奏を展開。少し派手になっている感はあるが、相変わらずの渋い演奏を聴かせる。 注目は18でDavid Lindleyがゲストでフィンドルを奏でていること。さらにRandy Newmanの20もイイ。 全体にノンビリした感があり、いつでも安心して聴ける僕のフェイバリットアルバムの一つ。天気の良い休日に、窓を開けて掃除洗濯でもしながらど〜ぞ。
〜特にお気に入りな曲達〜 All Uphill From Hereは最高。イントロのJesseのギターの音色だけで充分。今朝のお掃除音楽はキマリである。バリバリのスワンプの定番と違い、バックコーラスが男ってところもこのアルバムの魅力か。 続くAnythingもイントロのJesseの指さばきに首ったけ。前曲に続く単調なバッキングも心地良い。ここらのJesseのスライドは同じくプロデュースを担当した元ByrdsのGene Clarkのソロ作にも通じる味わいだ。 My Heart's On Sweet Rollenemは、イントロのベースに引っ張られてのファンキーロック。Jim Keltnerのドラムもご機嫌だ。パンチの無いヴォーカルで頑張るPulteが目に浮かびます。 Cry, Sing And Laughは終始鳴り響くペダルスティールが美しいカントリーバラード。東洋的なフレーズを多用したJesseのギターもPulteの危ういヴォーカルを好サポートする。Keltnerのドラムが引き続き効果的だ。 しかしJesseのギターが大活躍するのはThe Goose Flew Backだろう。決して派手さは無いものの、ここでのアコースティックスライドはハイライトの一つ。ノンビリした曲調も最高。 Reno Street Incidentは、プロデューサーのJesseが自身の1stで発表したナンバーだ。Keltnerの絶妙のドラムと終始転がるDr. Johnのピアノも最高だけど、やはりここでもJesseのワイルドなギターから耳が離れない。ファンキーだね。 ストリングとホーン隊の入ったBig Timesは、ホンワリしたバラード。語学力の無い僕には歌詞を聞き分ける事は出来ないが、それでも何故かホロリとくる彼の声に乾杯です。 ブルージーなOld Time Junkieでは、Jesseのエレキスライドが堪能できる。ラストのタイトル曲Out Time Windowは、ホーン隊を配したサザンソウルバラード。こういった曲は得てしてヘタウマなヴォーカルがハマるもんですね。ナイスな曲です。 ここから2edアルバム。タイトル曲のShimmy She Roll, Shimmy She Shakeは、スライドギターやホーン隊を大々的にフューチャーしたやや派手なナンバー。2in1CDの悲しさかな、前曲の後のこれはちょっとつらい。 続くPocket Changeもホーンやキーボードをフューチャーしたナンバーだ。ニューオリンズ風に沈んでいくメロディーが印象的。 It's All Comin' Downは、Grese BandやFrankie Millerを思わす英国スワンプ的なラフなロックナンバー。こんな味わいも好きです。 続く I Remember Youは、Paul MaCartney辺りが冗談でやりそうなジャズっぽい曲調。間奏で鳴り響くスライドギターが印象的で、こんな曲調でのPulteのヴォーカルも相変わらずイイです。 Beside The Mountainは、1stの味わいにも通じるシンプルな2部構成バラードナンバー。前半のトラッド的な渋いアレンジはとても好印象だし、後半のピアノソロも華麗に響く。 David Lindleyがフィンドルで参加したTen Miles East Of Townはホノボノしたカントリーナンバー。ピアノを中心としたシンプルな演奏が光る。一転してDancin' On A Mirrorは、ちょっとAORっぽいクールな味わい。しっとりとしたPulteのヴォーカルが聴き所。 自身によるピアノを中心としたYou Can Leave Your Hat On、The Beat Year Since '28も味わい深い。前者は前述の通りRandy Newmanのカヴァー。後者は最後を飾るに相応しいピアノとアコースティックスライドのみをバックに歌うアレンジが印象的。 2edに関しては「Lay Down」と記されたB面が断然イイと思うなぁ。
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1 . All Uphill From Here
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(1999.12.23 再更新)
順路はありません
ここは裏道です ^^;
〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
Jesse Ed Davis / Jesse Ed Davis
本作の1stでプロデュースを担当したJesseのソロ作
Gene Clark / Gene Clark
同じくJesseがプロデュースした元ByrdsのGeneの最高傑作