Jim Pulte / Out The Window
Shimmy She Roll, Shimmy She Shake
<1972/1973>

おすすめ度★★★☆


60年代後半からBlue Thumbレコードに所属していたSouthwindというバンドでベースを弾いていたというJim Pulteのソロ作の1stと2edの2in1。

そのSouthwind時代に交流があったらしいL.AのギタリストJesse Ed Davisのプロデュースのもとに製作された1stは、Jim KelterDr.Johnという名うてのミュージシャンも顔を揃え、隠れた名盤として語り継がれていた。(らしい)

全編に流れる決して上手いとは言い難いJimの、ホノボノとしたヴォーカルがどこまでも心地良く、特にバラードにおける今にもこぼれてしまいそうな声には涙を誘われる。

さらにバックを固めるミュージシャン達もガッチリと彼をサポート。プロデュースも兼ねているJesseのギターは終始粘っこく響いているし、Jim Keltnerの的確でファンキーなドラムは、彼のセッション活動の中でも屈指の出来の一つではないかと思う。

続く2edは特に著名なミュージシャンは参加していないものの、固定のバックにより終始安定した演奏を展開。少し派手になっている感はあるが、相変わらずの渋い演奏を聴かせる。

注目は18でDavid Lindleyがゲストでフィンドルを奏でていること。さらにRandy Newmanの20もイイ。

全体にノンビリした感があり、いつでも安心して聴ける僕のフェイバリットアルバムの一つ。天気の良い休日に、窓を開けて掃除洗濯でもしながらど〜ぞ。

 

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(って、長くなったらどうしよう ^^;)

All Uphill From Hereは最高。イントロのJesseのギターの音色だけで充分。今朝のお掃除音楽はキマリである。バリバリのスワンプの定番と違い、バックコーラスが男ってところもこのアルバムの魅力か。

続くAnythingもイントロのJesseの指さばきに首ったけ。前曲に続く単調なバッキングも心地良い。ここらのJesseのスライドは同じくプロデュースを担当した元ByrdsのGene Clarkのソロ作にも通じる味わいだ。

My Heart's On Sweet Rollenemは、イントロのベースに引っ張られてのファンキーロック。Jim Keltnerのドラムもご機嫌だ。パンチの無いヴォーカルで頑張るPulteが目に浮かびます。

Cry, Sing And Laughは終始鳴り響くペダルスティールが美しいカントリーバラード。東洋的なフレーズを多用したJesseのギターもPulteの危ういヴォーカルを好サポートする。Keltnerのドラムが引き続き効果的だ。

しかしJesseのギターが大活躍するのはThe Goose Flew Backだろう。決して派手さは無いものの、ここでのアコースティックスライドはハイライトの一つ。ノンビリした曲調も最高。

Reno Street Incidentは、プロデューサーのJesseが自身の1stで発表したナンバーだ。Keltnerの絶妙のドラムと終始転がるDr. Johnのピアノも最高だけど、やはりここでもJesseのワイルドなギターから耳が離れない。ファンキーだね。

ストリングとホーン隊の入ったBig Timesは、ホンワリしたバラード。語学力の無い僕には歌詞を聞き分ける事は出来ないが、それでも何故かホロリとくる彼の声に乾杯です。

ブルージーなOld Time Junkieでは、Jesseのエレキスライドが堪能できる。ラストのタイトル曲Out Time Windowは、ホーン隊を配したサザンソウルバラード。こういった曲は得てしてヘタウマなヴォーカルがハマるもんですね。ナイスな曲です。

ここから2edアルバム。タイトル曲のShimmy She Roll, Shimmy She Shakeは、スライドギターやホーン隊を大々的にフューチャーしたやや派手なナンバー。2in1CDの悲しさかな、前曲の後のこれはちょっとつらい。

続くPocket Changeもホーンやキーボードをフューチャーしたナンバーだ。ニューオリンズ風に沈んでいくメロディーが印象的。 It's All Comin' Downは、Grese BandやFrankie Millerを思わす英国スワンプ的なラフなロックナンバー。こんな味わいも好きです。

続く I Remember Youは、Paul MaCartney辺りが冗談でやりそうなジャズっぽい曲調。間奏で鳴り響くスライドギターが印象的で、こんな曲調でのPulteのヴォーカルも相変わらずイイです。

Beside The Mountainは、1stの味わいにも通じるシンプルな2部構成バラードナンバー。前半のトラッド的な渋いアレンジはとても好印象だし、後半のピアノソロも華麗に響く。

David Lindleyがフィンドルで参加したTen Miles East Of Townはホノボノしたカントリーナンバー。ピアノを中心としたシンプルな演奏が光る。一転してDancin' On A Mirrorは、ちょっとAORっぽいクールな味わい。しっとりとしたPulteのヴォーカルが聴き所。

自身によるピアノを中心としたYou Can Leave Your Hat On、The Beat Year Since '28も味わい深い。前者は前述の通りRandy Newmanのカヴァー。後者は最後を飾るに相応しいピアノとアコースティックスライドのみをバックに歌うアレンジが印象的。

2edに関しては「Lay Down」と記されたB面が断然イイと思うなぁ。

 


Pulte1.gif (16582 バイト)

1 . All Uphill From Here
2 . Anything
3 . My Heart's On   
           Sweet Rollenem
4 . Cry, Sing And Laugh
5 . Point Me Home
6 . The Goose Flew Back
7 . Reno Street Incident
8 . Big Times
9 . Old Time Junkie
10 . Out Time Window
11 . Shimmy She Roll,     
           Shimmy She Shake
12 . Pocket Change
13 . Rags And Old Iron
14 . Out In The Light
15 . It's All Comin' Down
16 . I Remember You
17 . Beside The Mountain
18 . Ten Miles East  
                       Of Town
19 . Dancin' On A Mirror
20 . You Can Leave   
                Your Hat On
21 . The Beat Year    
                    Since '28

 

 

 

 

 

 

 

 

Pulte2.gif (7398 バイト)
1stでプロデュースを
担当したJesse。
彼無くしてJim Pulteは

語れないでしょう。

(1999.12.23 再更新)

 

 

 

順路はありません
ここは裏道です ^^;

 

 

 

 

 

〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜

Jesse Ed Davis / Jesse Ed Davis
本作の1stでプロデュースを担当したJesseのソロ作

Jesse1.gif (20234 バイト)

 

 

 

 

Gene Clark / Gene Clark
同じくJesseがプロデュースした元ByrdsのGeneの最高傑作

WLight1.gif (8209 バイト)

 

 

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