John Lennon / Plastic Ono Band  <1970>

おすすめ度★★★★☆


Beatlesという名の夢が崩壊した後に、Johnが世のファンに見せた赤裸な姿....このアルバムは、そんな性格のものだ。音楽的には当然洗練されていないが、その分シンプルに、ダイレクトに「人間John Lennon」が伝わって来る名盤。

今でこそそんな宝物の様なアルバムとなったが、これを初めて聴いた時は驚いた!っというか、恐怖に打ち震えてしまった。

における出だし、つまり重苦しい鐘の音からのJohnの歌い出しの声があまりにリアルで恐くなったのである。

とにかく僕はそれから2年程、挑戦しては恐くなって、また聴いてみてイントロ10秒でやめるという事を繰り返した。22歳くらいになってやっと聴けるようになった気がする。

今では違和感無く聴く事が出来るが、CDの声に恐怖を覚えるなんて感受性豊かな時期は終わったのかなぁ〜っと少し寂しい気がする今日この頃である。

内容の方はプロデューサーにPhil Spectorを向かえ、基本的にJohn(g,vo)、Klaus Voormann(b)、Ringo Starr(dr)というスリーピースバンドでどこまでもシンプルに決めているが、ここでの最大の功労者はRingoだろう。

彼の独特のシンプルでヘビーなドラムプレーは、アルバム全体で光りまくっている。このアルバムの味わいは、当時のRingoにしか出せなかっただろう。

またプロデューサーのPhil SpectorもGeorgeのAll Things Must Passではいじくり回してた癖に、ここでは非常にシンプルなプロデュースに終始。

さすがに天下のJohn Lennonのテンションにはかなわなかったのか....「やれば出来るじゃん!」って言いたくなる。

ちなみにアルバムには「Yoko Ono : Wind」というクレジットがある。当時のJohnにとってYokoがどれほど大事だったが伺えるかのようだ。

 


〜特にお気に入りな曲達〜
(っていっぱいあってすんません^^;)

アルバムは恐怖のMotherでスタートする。これほどのリアルな声を持つ曲は、この曲以外には無いでしょうね。楽曲どうのこうのより、全てがJohnの悲しみに満ちた声に尽きる名曲。

自らを励ますようなHold Onは、ヴィブラートを聴かせたギターが印象的な美しいナンバー。これを聴いてると、僕までJohnに励まされている気になってしまう。落ち来んだ時に聴く曲 No.1。

Beatles後期にも聴かれたギターとヴォーカルがユニゾンで進んでいくブルージィなナンバーのI Found Outは、自らの哲学を力強く歌い上げる強烈なナンバー。KlausとRingoのヘビーなリズム隊の活躍が目立つ。

アルバム中、もしかして一番好きなのが Isolationだ。なぜ、あのスーパースターJohn Lennonがこんなに苦悩しなければならないのか、なぜこんなに悲し気なのか....涙が出てきそうなナンバーだ。ここでもRingoのシンプルなドラムが僕を包む。

Loveは、何かのドラマで使われたらしいですね。曲調も歌詞もシンプルそのものですが、Johnが歌えばリアルになるのが不思議です。俳句の影響を受けたという歌詞も、Philによるピアノも、とてもイイです。

Beatles時代の68年に書かれたという Look At Meもイイ曲。Beatles時代に書かれた曲という事で、サビのメロディはちょっとPaulチックです。

そしてBilly Prestonのピアノも光るGodも名曲。Beatles時代への決別の為に書いたという詩の内容は、全てを否定して自分とYokoのみを信じるというもの。しかしその一方で、「親愛なる友人達よ、君たちも頑張れ」と元Beatle達を気遣う側面も見せている。

個人的には2回目の「Drea〜m is O〜ver〜」の声にイッてしまいそうになる。

 


John.gif (23556 バイト)

1. Mother
2 .Hold On
3 . I Found Out
4 . Working Class Hero
5 . Isolation
6 . Remember
7 . Love
8 . Well Well Well
9 . Look At Me
10 . God
11 . My Mummy's Dead

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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John & Yoko Bed in '69

 

 

 

 

 

(1999.12.12再更新)

 

 

 

〜John Lennon Anthology〜

何と!本当に発売されてしまったJohnの未発表曲集。Johnのアルバムは全部持ってる訳じゃないから
ちょっと罪悪感を感じながら購入しました。Beatlesと違ってJohnにおいては、そんなにBootで
聴いてるという訳では無かったので、全てのテイクが新鮮に響いてきました。

1stなんかにおけるリハーサルテイクに期待を寄せてましたが、これに関しては正規盤が
最高すぎてましたね。しかしやっぱり、よりリアルに響くJohnの声とRingoのドラムに感動しました。
特にHold OnのロカビリーテイクやI Found Outのアンプラグドテイクなんかは面白かった。
後、Imagineのファーストテイク!最高。

意外に良かったのはDisk3辺りのRock'n Rollセッション。色々音が入る前の
「Rocker John」が味わえた。Old Dirt Roadも良いぞ。しかし、Phil、クレイジーだぜぃ!

Disk4はダコタのセッション集。ショーン君の声も微笑ましい。溢れ出てくるような
Johnの声、息遣い.....彼の早過ぎる死を改めて惜しむ今年の12月8日となりました。

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順路はこちら
John Lennon「Imagine」へ

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〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜

George Harrison / All Things Must Pass
Phil SpectorがプロデュースしたGeorgeの名作

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