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(ここでマイケルが席を外し、ショーンの単独インタビューへ突入)

では1人になったところで、あなたがどんな環境で育ったのか訊かせて下さい。

Shawn:ひとりっ子だったからずっと兄弟が欲しかったよ。でもそれは無理だったんで、みんなが知らないようなゲーム、例えばブリッジとかオセロをして遊んでた。かなり内向的な性格だったな。友達も多くなくて、いたとしても近所に住んでる子達がほとんどでさ。それに叔父や叔母、従弟を含めた親族には芸術系の人がいなかったんで、みんな僕が絵を書くのを面白がってたな。僕自身もディズニーのマンガ家になりたかったくらいなんだよね。だから大学に入るまで音楽やギターには出会ってなかったんだ。それまで全く興味がなくて。

子どもの頃に音楽を聴いていなかったとすると他に夢中になっていたものは何ですか?

Shawn:好きだったのは……やっぱりスケッチとか絵を書くことかな。それにゲームも好きだった。音楽に関しては、当時ラジオから流れてたどうでもいい音楽ばっかり聴いてたよ(笑)。演劇や音楽に興味を持ち始めたのは大学からだったんだ。高校を卒業してやっと目覚めたっていうか。

では、カレッジに入って音楽に目覚めたきっかけは?

Shawn:子どもの頃からゲーム好きだったんで、競争心の強い性格になったんだろうね。大学、つまりアート・スクールに入学するまで誰かと競争するなんて考えたこともなかったんだ。でも学校ではみんな絵が上手で、ギターも弾けて、アーティステックなことをしてる連中ばかりだった。それで僕もギターを弾いたり、絵を書いたり、それまで挑戦しようと思わなかったことにチャレンジしてみようと思ったんだ。だって大学に入る前までは周りにそんな人は1人もいなかったんだよ。ギターを弾きたかった一番の理由は、サイモン&ガーファンクルの“サウンド・オブ・サイレンス”を弾きたかったからだね。それに学校では誰もがギターを弾けたからちょっと羨ましかったんだ。なんてったって楽しそうだったし、で、すぐギター中毒になっちゃったよ。

そこで結成したのがステラスターの前身バンドなんですよね?

Shawn:そんな感じかな……実はその前にメンバー2人だけのコメディー・バンドみたいなのがあって、それが僕が最初に入ったバンドなんだよね。そこで曲を書いたりしてたんだけど、その後にアマンダをベースにしようってことになったんだ。ドラマーに関しては、それまで何人もクビにしてたんだけど、最終的にアーサーに頼むことになって、その頃には「ジョーク・バンド」ってより「本物のバンド」して活動したいと考え始めてたんだよ。昔のバンドで僕はコーラス担当だったけど、そのバンドから何かを発展させられればいいなって思ったんだ。

バンドがだんだん本格的になっていったのは、アマンダとアーサーとの出会いがあったからだと思いますが、その気持ちの移り変わりはどのように起きてきたのでしょう

Shawn:徐々に感じるようになったと思うよ。男2人のジョーク・バンドには格別な思想やテクニックもいらないし、大した楽器も使ってなかった。ただ、本物だと思わせる何かがあったけどね。それで、僕とアーサーとアマンダが揃って楽器が増えた時に、もっと音楽的な方向性を模索してみたくなったんだよ。結局そのバンドは2年ほど続いて、卒業と同時になし崩しに解散したんだ。そして3人であらためてステラスターを結成したんだよ。

ステラスターで初めてリード・ヴォーカルを担当することになった経緯を教えて下さい。

Shawn:ヴォーカルになるつもりはなかったんだ。当初は女性シンガーを数人オーディションしたんだけど、探してる声を持ったシンガーが見つからなくてね。でも、いつもバンドを観てて変だと感じてたのは、歌ってるのが歌詞を書いた本人じゃないってこと。ていうか、実はそういうのって好きじゃないんだ。だから自分が考えた歌詞やヴォーカル・メロディーを他の人が歌うことには最初から抵抗があったんだよ。作詞した当人以上に情熱的に表現するなんてほぼ不可能だと思うし、一体どうやって出来るんだろう?って思う。そんなこともあって、そのうち誰か見つかるだろうってことにして一時的に僕がヴォーカルを担当することになったんだ。結局見つからなかったけどね(笑)。

そんな臨時で決まったとは思えないくらい、あなたのヴォーカルはとても個性的な歌い方を確立していて感心してしまうんですが、そのスタイルは歌い始めた当初から完成されていたのでしょうか?

Shawn:全然だよ! 歌い方さえ知らなかったんだよね。だからヴォーカルはやりたくないって思ってたくらいなんだ。でも1年目でかなり慣れて、ライヴやリハーサルを重ねていくうちに自分が理想としている歌声に近づいてきたと思う。僕としては、出したい音階を好きなタイミングで出したり、自分の歌声を楽器として捉えたいんだ。ていうのも、最近のバンドってヴォーカルの声に合わせた音域の曲しか作らなくなっているけど、それだけは避けたいと思ってるから。自分には出ない音があるって分かってたんで、ヴォーカル・レッスンにも通ったよ。それはファースト・アルバムのレコーディングが終わってからの話だけどね。あと、僕の持論は「不完全だからこそ個性になる」ってこと。つまり、自分ができないことをどうやって表現するか模索することで独自のスタイルが生まれてくると思う。で、僕のヴォーカル・スタイルもそうやって確立されてきたんじゃないかな。

あなたのヴォーカル・スタイルには、演劇をやっていた経験が反映していると思いますか?

Shawn:そうだね、演劇みたいな歌い方をすることもあるかもしれないな。でもそれってすごく微妙な話で、例えばヨーデルみたいに声に抑揚を持たせるなんていう技術は、使う場所を選ぶと思うよ。あと、ここ2年間で気付いたんだけど、曲の登場人物になりきるのは大事なことだね。ライヴで気持ちが乗ったら、歌詞の一部分を強調するために歌い方やメロディーを崩すのも多少ありだし、きれいにまとめるだけよりも内容重視ってことも時にはあると思う。

ちなみに、さっきの話だと、ギターを弾き始めてすぐに曲を書き始めたようですが、それはあなたにとって自然なことだったのでしょうか?

Shawn:ええと……覚えたいコードが1つあったらそれだけを使って曲を書いたり、コードが2つ3つあったら、それまでに書いた1コードだけの曲と組み合わせたりしてたんだ。それに他人が書いた曲より自分の曲を演奏したほうが何倍も楽しかったから。僕は「ソロ」ってのが弾けなくてさ。っていうのも、メロディーを歌わないと曲のコード進行を覚えられないんだ。歌わないと次の日にはもうすっかり忘れちゃってることが多いから、コードを覚えられない時はいつもその上にヴォーカル・メロディーをつけてたんだよ。翌日もちゃんと覚えていられるようにってね。とは言っても、歌詞のないただのシンプルなメロディーなんだけどね。

なるほど。では少し話が戻りますが、アマンダとアーサーとの出会いを2人の第一印象も含めて訊かせて下さい。

Shawn:アーサーは苦手だったんだ(笑)。大学最初の1年間なんて特に。幼稚で苛つく存在っていうか、もうちょっと大人になれよ!ってずっと思ってた。僕のいたグループの後をついて回って、とにかくうざかったんだ。でも翌年になって、彼がすごく大人になったっていうか、普通に会話できる人になったんだよね。そこから徐々に友達になっていったんじゃないかな。それにバンドのリハーサルをよく観に来ていて、それまでにもう何人ものドラマーをクビにして、1ヵ月ごとに変わってたくらいだったんだけど、どのドラマーからも感じられない情熱をアーサーに感じたから、お願いしようってことになってね。それから、アマンダと出会ったのはちょうどベーシストを探している頃で、別のバンドをやってた友達を通して知り合ったんだ。「ベースを持ってる女の子がいるけど、弾き方がわからないらしい」って言われたから、彼女をリハーサルに誘ってU2の“ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー”を教えて。そしたらすぐ完璧に弾きこなせたんでバンドに入ってもらうことにしたんだ。だからアマンダとはバンドで知り合ったんだけど、すぐ仲良しになれたよ。

それからはわりとトントン拍子に進んで、今では日本も含めて世界中をツアーするまでになった訳ですが、ステラスターの現状を客観視してみて、どんな気持ちになりますか?

Shawn:すごくいいね。楽しいよ。新曲を書こうとしてるんだけどなかなか時間がないかな。今はちょっとなんていうか自由がきかない感じがするんだ。ツアーに出たらやっぱりアルバムの曲を演ることになるし、オーディエンスもそれを期待して来るわけじゃない? 新曲も披露したいけどそれでみんなを退屈させたくないってのもあって。でもツアーは楽しいし最高だよ。いろんな国に行けるし、日本にもやっと来れたし。日本は僕達が大好きな国のひとつで、僕は個人的にギリシャも気に入ってる。ホントに最高な日々を過ごしてるけど、これからもっとビッグになれると思うよ。新作で次のステップに進めたらいいな。

今後の活動に関することで、例えば大きな目標があったら教えて下さい。

Shawn:もちろん今よりもビッグになること。それから、どのバンドでも思うように、僕らのことをまだ知らない人たちにこのバンドの存在を知ってもらいたいな。身近な話としては……前のアルバムは複数のスタジオで1年間をかけてレコーディングしたから、今回は自分達の好きなように、プロデューサーとものんびりできるような環境で作りたいね。スタジオも1箇所にまとめて、一気にレコーディングできたらいいな。その方が印象の強いサウンドが作り出せると思うんだ。やっとメンバーがお互いのサウンドを見つけ出して、曲作りも大分早くなったしね。それに1年に1枚のペースでアルバムをリリースしたい。4年に1枚なんてバンドもいるけど、僕はもっと早いペースでアルバムを出したいんだ。

例えば「この人とやりたい」と思うようなプロデューサー候補の名前がもう出ていたりするんですか?

Shawn:一緒に仕事したいとか会ってみたいと思うプロデューサーはたくさんいるよ! で、名前は明かせないんだけど、次回作のプロデューサーはほぼ決定してる。気が合うし、素晴らしいコラボレーションになると思うよ。

では次回作を楽しみにしてますね。

Shawn:僕もレコーディングに入るのがすごく楽しみなんだ!(あたりが明るくなるほどのスマイル)10月に始めて11月いっぱいくらいまでやる予定だよ。

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