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ちょっとターナーさんに補足で訊いておきたいんですが、ヒップホップや実験的な現代音楽というのは、具体的にどういったアーティストを聴いてたんですか?

Aaron T:聴き始めの頃に一番心をつかまれたのは、ウェストコーストのものが多かったよ――Del Tha Funkee Homosapien や Souls Of Mischief がやってた Hieroglyphics とかね。あれはすごく面白いと思った。曲構成の部分でトラディショナルなヒップホップの要素をたくさん含みながらも、同時に何て言うか……いい言葉が見つからないんだけど、リリックなんてほとんど“スペイシー”って言ってもいいような要素も含まれてるし、サイケデリックに近い雰囲気すら時折感じさせるんだよね。それに、いつもリズムばかり追いかけてるんじゃなく、メロディ中心に展開してる部分も結構あって、そこがすごく気に入ってる。エクスペリメンタル・ミュージックに関しては、もともとはヘヴィ・ミュージックの世界にいながらどんどん外へと向かって行ったような連中に、最初の頃は惹かれてた。たとえばミック・ハリスの Lull としてのレコードなんか、すごく好きだったよ。あと、アースのセカンドの『Earth 2』も、メタル的な美意識をベースに置きながらも向かってる方向はメタルとはかなり違ってて、聴いててすごく興味深かったね。今挙げたような作品やアーティストが、僕がエクスペリメンタルな領域に引き込まれるきっかけになった、と言っていいんじゃないかな。

ありがとうございました。では、最近すごく気に入っているレコードやバンドについて、ひとりずつ教えてください。今度は逆の順番で。

Clifford:最近はプログレッシヴ・ロックをよく聴いてるかな。タンジェリン・ドリームの『ストラトスフィア』なんてまさに最高級品、って感じで(笑)。あとは……えっと……何があるかな……そう、ボブ・トリンブルっていう、マサチューセッツ出身のすごく変わったサイケ・ロック・アーティストが、とても型破りですごくイカしたアルバムを数枚出してるんだ。かなり変わってるんだけど、そこがものすごくいいんだよ。

Michael:僕は、1990年代初頭のメルヴィンズのレコードを、最近また四六時中聴くようになってきたね。好きすぎていくら聴いても足りないっていうくらい、本当に気に入ってるんだ。もっと最近のものだとウータン・クランの『8ダイアグラムズ』も、何度も何度も繰り返し聴いてるレコードだよ。

Aaron H:エマーソン、レイク&パーマーの『タルカス』と『恐怖の頭脳改革』、それからニュージーランドのジェイコブっていうバンド……最近は、このふたつのバンドをしょっちゅう聴いてる。特にEL&Pの『タルカス』は何とも言えない個性があるというか、本当に不思議なアルバムで、聴くたびに理解が深まる感じがするんだ。例えばキーボード・パートにしても、最近になってやっと鼻歌や口笛で歌えるようになってきたんだよ。あのアルバムのキーボードはあまりにもイッちゃってるからね。それこそ100回以上聴いてるけど、いまだに全曲通してハミングできないんだ(苦笑)。

ドラマーとしても、カール・パーマーからの影響は大きいんでしょうか?

Aaron H:ああ、彼はすごいよ。変な話、今で言うブラストビートを初めて叩いたドラマーって、実際彼だと思うんだ。彼のプレイは本当に高速だからね。ああいうスタイルのドラミングが 70年代のレコードから聞こえてくると、やっぱり妙な感じがしてくるよ。あまりにもぶっ飛んだプレイをするから、彼のことを酷いドラマーだって言う人もいるけど、僕はグレイトなドラマーだと思う。

そういえば、少し前にエイジアのライヴを観たんですけど、カール・パーマーがキング・クリムゾンの曲を叩いていて、思わず泣きそうになりました……悪い意味で。

全員:アハハハハ!

それはさておき、続けてお願いします。

Aaron T:そうだな……最近すごくクールなリスニング体験ができたのは、フェネスの『ブラック・シー』だね。レコード自体にインパクトがあるからなのか、それとも聴いてるときの僕自身の心理状態やそのとき置かれた環境の影響なのか、たまにわからなくなることがあるんだけど、たとえばこないだシアトルからロサンゼルスまで、雨の降る暗い夜道をフェネスのレコードを聴きながら車でドライブしてたときなんかは、まるでその瞬間のために作られたかのような、その場にピッタリのレコードっていう感じがしたよ。結局そのドライヴの間に2回も通して聴いたよ。今も気がつくとあのレコードに戻ってて、聴くたびにそのときのドライブを追体験してる感じなんだ。これからもあのレコードを聴くたびに、あの夜の経験を思い出すんだろうな。音楽自体がすごくよくて僕の個人的な趣味とも合致するだけじゃなく、過去のすごく重要な経験を思い起こさせてもくれる、そんな素晴らしいアルバムだね。あと、いわばその対極にあるのがブラック・メタル・バンドのNightbringer の『Death and the Black Work』っていうアルバムで、これぞまさに肌を刺すような冷たさと強烈なパワーを併せ持った、とてつもなくよくできたブラック・メタル・レコードなんだ。こんなふうに、まるで両極端な2枚なんだけど、そのどちらもが僕個人の音楽的興味を、それぞれ違った形で満たしてくれてるんだよ。

Jeff:僕は、Bohren & der Club of Gore の新作『Dolores』だね。欠点のない、まさにパーフェクトなレコードだと思う。たぶんもう50~60回近く聴いてると思うんだけど、いまだにパワフルさを感じさせてくれるんだ。あと、何かにつけて聴き返してるのがスワンズだね。あと最近よく聴いてるのが、シャダー・トゥ・シンクの『Pony Express Record』。ロックに関して言えばこれは世界一のアルバムだと思うし、これまでにメジャー・レーベルから出た中で最高に面白いレコードなのは間違いないよ。彼らが活動中にじゅうぶんな評価を受けることがなかったのは、すごく残念だね。あとは、ザ・ブラック・ハート・プロセッションなんかも、最近よく聴いてるよ。

Aaron H:それとニュー・ファウンド・グローリーもだろ?

Jeff:アハハハハ! あとリール・ビッグ・フィッシュも(笑)。

最後に、近年、アメリカの音楽産業が斜陽化している中、インディペンデント・シーンで誠実に作品を作り続けてきた人たちは、そういう状況にもかかわらず健闘しているとも言われていますが、先ごろにはタッチ&ゴーが閉鎖になったりもしましたよね。現在のシーンの状況について、どういうふうに捉えていて、自分たちはどのようにやっていきたいと思っているか、バンドとしての意見はもちろん、レーベル・オーナーとしてのアーロン・ターナーの意見も教えてもらえますか。

Aaron T:アンダーグラウンド/インディペンデント・シーン全般に関して言えば、とにかく何とか踏ん張ってこの難局を乗り切りたいっていう、それしかないよね。でも、意外とレーベルよりもバンドの方が、この状況をうまく切り抜けられるかもしれないな。バンドはツアーをやれば、今でもお客を集められると思うんだ。あと、今回の状況を20世紀初頭の大恐慌との関連で見てみると、あの時アメリカで繁栄した唯一の産業が、実はエンターテインメント業だったんだ。だから今回もそうであってほしいと願うのみさ――みんな経済的に行き詰まって失業したりしてる中で、人々が音楽や映画や文学に楽しみを見出しながら、何かの形でこの業界をサポートしてくれたらって思ってる。ま、実際には今回もそういう状況になるかどうかは僕にもわからないけど、ただ僕個人が見た限りでは、こんな時代でも大勢の人が音楽をものすごく大事に思っていて、他の贅沢を控えてでもライヴに行ったりレコードを買ったりしようとしてくれてるみたいなんだ。もちろん、この先どうなるか明確に予測するのは難しいけれど、僕たちとしては、今までずっとやってきたようにこれからもやり続けるのみ、って感じかな。バンドを崩壊の危険にさらすことがないように、いつも慎重に決断を下していくだけだよ。ただ、僕としては、この先ふたつの可能性しかないと思ってる――しばらくすると景気が上向いて状況が安定するか、あるいは、この後も悪化し続けてすべてが完全に破壊しつくされてしまって、メジャーもインディも関係なく一人残らずテント暮らしになるか(笑)。

Jeff:アハハハ。

Aaron T:ま、僕は経済の専門家でも何でもないけど、これだけは言えると感じてるんだ――今でもみんな、インディペンデント・ミュージック/バンドをサポートしたいと思ってくれてる、ってね。で、ISISもちょうどレコードをリリースして、ツアーに出ようとしてるわけで(笑)。

Aaron H:うまくいきますように!(笑)

Aaron T:ああ、今は成功を祈るのみだね。


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