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分かりました。大いに期待したいと思います。さて今回、日本で共演したバンドで面白かったバンドはいましたか?

Sebastien:間違いなくDMBQだね。彼らはすごくエキサイティングで良いライヴをやってくれたよ。余分な空間がないというか、とても濃いんだよね。サウンドもパフォーマンスも濃厚なんだ。観てて凄くエキサイティングなライヴだった。自分をエキサイトさせてくれるバンドとプレイするっていうのは大事なことで、特に自分がそのバンドの後にプレイする時は大事なんだ。あの日はとてもストレスの多い一日で……というのは、今までやったことがないことを色々やらなくちゃいけなくて……例えば機材もいつもとは違うものでライヴをやらなくちゃいけなかったし、初めてのオーディエンスの前でのライヴだし、言葉も違うし……だから、あの日僕は緊張してたんだよね。で、そのことが頭から離れなかった。でも、DMBQを観たとたん、そういう全ての心配事が吹き飛んだんだ。そしてその後ライヴができること自体に興奮することができた。普段やってるようにライヴをやればいいんだってね。

なるほど。ちなみにセバスチャンは、お腹にマジックで「ヤバイ」と書いてましたが、あれは誰が書いたんですか?

Sebastien:友達のユキオが書いてくれたんだ。書いてくれって頼んだんだよ。前回来日した時に「オニヤバイ」って言葉を覚えて、おもしろい言葉だなって思ってさ。まるでランDMCが「イケてない」っていう意味で"not bad"、「イケてる」っていう意味で"bad"って言うみたいだからね。"cool" と"bad"の関係と一緒っていうか。だから考え方として面白いと思ったのと、それと同時にオーディエンスとの壁を打ち破って、彼らの文化や言葉を僕たちはちゃんと受け入れてるよってことを伝えたかったんだ。

世界中をツアーして、行ったことがなかったところにも行って、新しい経験をしたことが次のアルバムの歌詞などに反映されてくると思いますか?

Sebastien:うーん……そうじゃないといいなと思ってる。もちろん僕の書く歌詞が成長して発展するといいなとは思ってるよ。つまり、経験が歌詞に反映されないことを望んでいるのではなくてね……今回のアルバムの歌詞は、その当時に起こっていたことについて書かれているんだ。とても正直にね。で、僕がイヤなのは曲作りについてとか、ツアーの色んな辛いこととかについての歌詞を書くことなんだ。次のアルバム、あるいは4枚目5枚目のアルバムで、僕らがバンドであることについての曲を突然書いたとしよう。そんな曲を聴いてもリスナーは共感できないだろ? 夜ツアー・バスで長時間移動してとか、テキーラを飲みすぎてとか、ステージのライトが熱すぎてとか、ガールフレンドが恋しいとかそういうことは、リスナーにとって共感できるものではないからね。できるだけ僕はリアルな歌詞を書きたいと思っているし、そのためにはノーマルな状態であることが必要なんだ。僕は家にいる時とてもノーマルな生活を送ってる。友達とつるんで映画に行ったりバーに行ったり、妹と過ごしたりね。そういうことはリアルな歌詞にとってとても大事なことなんだ。例えばリュダクリスってラッパーがいるだろ? 今まで彼は良いアルバムを作ってきたと思うけど、彼の最新作は……良いとは思うんだけど、そこに入ってる曲の多くは「金持ちでいることは大変なんだ」とかってことについてなんだよね。自分では前と変わってないつもりで詞を書いてるんだけど、実際はそうじゃない。今やテレビのついた高級車に乗っていて、暮らしぶりはすっかり変わってしまっている。良いアルバムだとは思うけど、もはや普通の人には共感することはできないものになってるんだ。それと、リュダクリスは他のラッパーにも作品を提供する用意ができてるみたいだけど、僕はそれはしたくないんだ。

よく分かりました。さて、4月にファムファタールという名義でジェシーのソロが出ますが、この作品についても少し聞かせてください。

Jesse:もう聴いたの?

はい。DFA1979のアルバムと比べてカオティックでハードコアだと思ったんですが。

Sebastien:DFA1979は、ファムファタールの後にスタートしたバンドで、ファムファタールでライヴをやった結果生まれたんだ。だからDFAはこういう音になってるんだよ。

Jesse:最初ファムファタールは自分ひとりで始めて、レコーディングだけのバンドにしようと思ってた。でも、ある人からライヴもやるべきだっていわれて、一緒にやれるミュージシャンを探した。僕が納得できるようなね。なぜなら僕がつくり出したもの、つまり僕の子供みたいなものをその人はプレイしないといけないわけだから、とても慎重に選んだんだよ。で、セバスチャンと一緒にプレイしてみて、彼ならできるって思った。それまでそういうタイプの音楽をやったことがなくても彼ならやれるって感じたんだよ。ファムファタールのライヴはとても暴力的なもので、ほとんどステージの上では演奏しなかった。まずオーディエンスの中に入っていって、歌いながら人を殴ったりして反応をみるんだ。そういうことをしばらくやってから演奏に入る。そうすると、どういうことを期待すべきかってオーディエンスが理解するだろ。ファムファタールはとてもクレイジーなバンドで、DFA1979でやっていることに影響を与えた。「DFA1979はクレイジーだね!」っていう人は、ファムファタールの凄さを知らないんだよね(笑)。みんなガラスの破片の上に倒れてたりしたからね。

Sebastien:ファムファタールをやった後、ポップ・バンドをやろうということで作ったのがDFA1979なんだよ。

それは……ぜひ1度ライヴを観てみたいですね。

Jesse:もうライヴはやらないんだ。できないんだよ。あまりにもエモーショナルなライヴだから、終わった後にセバスチャンが精神的に参って泣いちゃったりね。だからもう2度とできない。みんな血まみれになって、ギタリストとか手がズタズタになってギターも、そこら中も血まみれになるんだ。だから不可能なんだよ……スイマセン。

ちょっと形を変えて、日本とかでやってみるのはどうでしょう?

Jesse:もしかしたら、いつかね。このファムファタールのアルバム(『フロム・ジ・アバンダンス・オブ・ザ・ハート、ザ・マウス・スピークス』)は、2003年の末にレコーディングしてからリリースまで長い時間がかかったんだ。このアルバムを所有していたレーベルが財政的に行き詰ってね。だから時間がかかってしまった。でも、もう次作のレコーディングは始めてるよ。今回のアルバムの前に2枚出てるから、次が4枚目になるね。

そのアルバムでも一人で全部やってるんですか?

Jesse:そうだよ。もうほとんど出来上がってて、あとはヴォーカルのレコーディングとミックスをやるだけさ。

じゃあ、そちらも楽しみにしてますね。

Jesse:僕も楽しみだよ。

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