街灯も無い山の上 僕の家はある
風の音が誰かの口笛のようでなん度もなん度も振り返って玄関をあける
都会へ行った姉ちゃんのお下がりのヘルメットを壁にかける
入るなって言ってるのにまたバアちゃんが一番風呂に入ってる
部屋のふすまを開けると夕日が部屋を真っ赤に染めてた
今夜はこの地区の夏祭り
ヘルメットをぶら下げてもう一度家を出る
里の近くの川に降りるとちょうちんが不揃いに並んでる
はだかの電球もやぶけたちょうちんも何年もずっとそのままだ
暗くなった空にジイちゃんバアちゃんたちの笑い声が消えてった
横のお稲荷さんがちょうちんのあかりでゆらゆらと動いているみたいだ
帰り道
夏祭りのちょうちんが山を照らす
お稲荷さんを思い出して走って帰る
すり切れた祭りのカセットテープが山びこのように響いている
家へ着く
父ちゃんがジャイアンツの試合を見てる
畑のにおい お酒のにおい たばこのにおい
こんな家を姉ちゃんは笑って誰かに話すんだ
ばあちゃんがまたジイちゃんにお酒あげてる
写真のジイちゃんだけ時が止まったままこっちを見てる
街灯も無い山の上 僕の家はある
風がもう冷たくなってきた
街灯も無い山の上 僕の家はある
街灯も無い山の上 僕の家はある
風がもう冷たくなってきた