Foreigner
THE VERY BEST... AND BEYOND
1992 Atlantic |
1. Soul Doctor (新曲) 2. Prisoner Of Love (新曲) 3. With Heaven On Our Side (新曲) 4. Juke Box Hero (US#26/82) 5. Hot Blooded (US#3/78) 6. Cold As Ice (US#6/77) 7. Head Games (US#14/79) 8. Waiting For A Girl Like You (US#2/81) 9. Urgent (US#4/81) |
10. Double Vision (US#2/78) 11. I Want To Know What Love Is (US#1/85) 12. Say You Will (US#6/88) 13. That Was Yesterday (US#12/85) 14. I Don't Want To Live Without You (US#5/88) 15. Rev On The Red Line 16. Dirty White Boy (US#12/79) 17. Feels Like The First Time (US#4/77) |
フォリナーの "RECORDS" はちょうど僕が好きな時期までのベスト盤。だから個人的にはあれで全然問題ないのだけれど、チャートヒットの音源を収集する、という観点からはやはり物足りないのも事実。なぜなら85年の "AGENT PROVOCATEUR" アルバムからは "I Wanna Know What Love Is" がついにバンド史上初の全米#1ヒットになるなど、その後もヒットシングルが続々と生まれたから。 92年にリリースされたこの新しいベスト盤と "RECORDS" を比較してみよう。 まず、11、12、13、14という後期のトップ40ヒット4曲を追加。これは当然の処置だ。さらに、"RECORDS" の問題点(?)だったライヴヴァージョンの "Hot Blooded" (US#3/78) をスタジオテイクに置き換えて収録。と、ここまではいい。 だがコレクターにとっては、前作がシングルエディット中心の収録だったのに対して、こちらはアルバムヴァージョンがメインになっている点に注意する必要がある。これは良い悪いの問題ではなくて、どちらを収集するかの問題だ。さらに、どういう訳かヒット曲の "Long, Long Way From Home" (US#20/78) が外され、全米でも全英でもまったくヒットしていない "Rev On The Red Line" を収録するという謎の差し替えが行われている。3枚目のアルバム "HEAD GAMES" に収められていたこの曲はミディアムテンポのロックで、ポップなキーボードのリフが印象的なヴァースから、マイナーコードのコーラスへの展開が印象的。珍しいアル・グリーンウッド/ルー・グラムのチームによる楽曲で、"Dirty White Boy" (US#12/79) のシングル盤のB面にも収録されていたことから、あるいは一部に熱烈なファンがいるのかもしれない。アル・グリーンウッド (keys) とイアン・マクドナルド (guitar, keys) はこのアルバムを最後に脱退してしまうことを思えば、感慨深い選曲ではある。 *** 古い曲の話はここまで。本作最大の話題は、何といっても冒頭の3曲。 87年の "INSIDE INFORMATION" 以来5年ぶりにミック・ジョーンズとルー・グラムが組んで新曲を録音したのだから盛り上がって当然。ミックはルー・グラムの代わりに Johnny Edwards に歌わせた "UNUSUAL HEAT" アルバムを91年にリリースしているが結果は惨敗。ルーの新バンド Shadow King もパッとせず、再会は言わば必然だった。プロデュースに Duane Baron & Johnny Purdell のコンビを迎えて仕上げたこの3曲は、いかにもフォリナーらしい3つのパターンを提示していて、そのクオリティも高い。 オープニングを飾る "Soul Doctor" はフォリナー史上でも指折りのハードで速いロック。ルーのヴォーカルはシャウトしまくっているし、コーラス前にちょっとリズムが変拍子っぽくなるのもカッコいい。"Prisoner of Love" は例えば "Cold As Ice" や "Urgent" スタイルのキーボード主導型ミディアム。自分はこのタイプのフォリナーが大好きなので、ドラマティックな展開に思わず拳を握り締めてしまう。最後の "With Heaven On Our Side" はお待たせ、バラード型フォリナー。ゴスペルチックに、ひたすら壮大に盛り上がる。曲によってはロビン・ザンダー(チープ・トリック)がヴォーカル参加しているほか、バックコーラスをマリリン・マーティンやシェリル・クロウらが務めている。マリリンはフィル・コリンズとのデュエット "Separate Lives" (US#1/85) で知られるが、むしろバックコーラスが本職。数多くのアーティストに起用され、堅実な裏方仕事で評価されている。シェリル・クロウも下積み時代はバックコーラスの仕事が多く、本人の "All I Wanna Do" (US#2/94) がブレイクするまでこのあと2年も待たねばならない。シェリル無名時代の仕事のコレクターにとっても聴き逃がせないだろう。 実に良くできた新曲と、キャリア全体を総括するヒット曲の数々。ミック・ジョーンズ自身が語った言葉のとおり、このベスト盤は新しいフォリナーを予感させた。「まさに、"Feels Like The Second Time" だね」。…寒い。でもこの際だから、ジャケットが如何ともし難いダサさだったことは忘れてあげるとしよう。 しかし、復活フォリナーが満を持して95年にリリースした "MR. MOONLIGHT" は、評論家受けは悪くなかったがチャート上での大ヒットは残せなかった。バラードの "Until The End of Time" (US#42/95) はトップ40まであと一歩(いや二歩か)、曲のタイトルとは裏腹に、彼らの "The End of Time" はとっくに訪れていたのだ。残念なことに。 お気に入りベスト3(新曲のみ対象) 1. "Prisoner of Love" ("Cold As Ice" 1992 version といってもいいでしょう。カコイイ!) 2. "Soul Doctor" (激しいロケンロー) 3. "With Heaven On Our Side" (ソングライターに前 Vocal の J. Edwards の名前があるのはご愛嬌、かな) |