3 November 1995
ぷは〜っ。ビール飲んでます。旨いです。でもこんなに旨いライヴ後のビールはいつ以来だろう? 行ってまいりました The WiLDHEARTS
ロンドン公演、諸般の事情によりこれが「最後のギグ」とも噂されているだけに期待と不安が激しく交錯する中で。
スタンディング会場としてはロンドン最大級の Brixton
Academy。キャパシティは4,200人といいますから、NHKホールを平らにしたような巨大なフロアといえば雰囲気想像できますか?
ぎっしり埋めたロケンロー野郎ども、姉ちゃんどもは開演前から激しくビール飲みまくり。いやあれは飲んでるなんてもんじゃなくて「浴びてる」っていうので
は??
前座はつい先日力作のデビュー盤 "TRANSFUSION" をリリースした Apes, Pigs &
Spacemen。4月の Warrior Soul
のライヴの前座で観て以来2度目のステージですが、この半年で目覚しく成長しました。オーディエンスを煽る力も身につけて、これは大きくなりそう。アルバ
ムを聴いた限りでは未消化のアイディアがとっ散らかってますが、ワイルドハーツ人脈でもある Simon Efemey
のプロデュースは的確で悪くない出来ですよ。プチおすすめ。
***
でもでも、本家わいはーが登場してしまっちゃあ前座は忘却の彼方、さすがに役者が違います。スタンディングの会場は一気に興奮の頂点へ!
1. S.I.N.(in Sin)
今回のツアーの基本オープニング曲。シングルB面曲にも関わらずファンには十分浸透しており、速くて短い曲だけに一気にテンション上がります。
2. I Wanna Go Where The People Go
ギターのイントロにドラムが加わるところで、ステージ手前に横一列に仕掛けられた火薬が一斉に爆発! もういっちょ爆発!
とても室内とは思えない迫力の火気使用、KISSほどではないにしろ、海外のライヴはこれがお楽しみですよね。観客も歌う歌う、大合唱だ〜
3. Greetings From The Shitsville
この曲のコーラスの "LONDON!!"
っていう掛け声がここ以上に似合う街なんてないんだから。4,000人が一斉に声を合わせるコーラスは快感そのもの。
4. Everlone
この曲まで曲間MC一切なしに突っ走ります。それにしてもなんてタイトでかっちり合った演奏なんだろう。特に新加入の Jeff
はギタープレイといいコーラスといい暴れアクションといい、何年も前から同じステージに立っていたかの如く溶け込みまくり。
5. Nita Nitro
「ようロンドン、調子はどうだい?」って感じの気さくなMCを入れるジンジャー。2nd アルバム "P.H.U.Q."
の中でも大好きなメロディアスなこの曲へ。イントロのギターリフに合わせてフロントの3人が揃って縦にジャンプ、オーディエンスもつられて縦ノリでジャン
プしまくって、何だか可愛かった。
歌い終わって再びジンジャーのMC。
「楽しんでるかい、ブリクストン?」
「Yeeeaaahhh!!」
「ところで、みんな信じられないくらい最低で Fucking なレコード会社、Eastwest のことは知ってるよな?」
「Boooo!」(一斉にブーイング)
「あの糞レコード会社のせいで WiLDHEARTS は困ったことになってんだ。今日はあの辺に Eastwest
のお偉方もたくさん招待してることだし、いっちょみんなで "Fuck Eastwest!" って言ってくんないか?」
「Fuck Eastwest! Fuck Eastwest! Fuck Eastwest!……」(30回くらい続く)
巻き起こる大コールにもちろん僕も参加、満足そうな表情でミネラルウォーターを飲むジンジャー。レコード会社の方針と食い違っていろいろと揉めまくって
いる彼ら、下手すりゃ契約を打ち切られかねないわけで、僕らファンとしては冷や冷やものなのだけれど、いずれにしてもこんな「現場」を目撃できるってのは
ちょっと嬉しい。
「さて、今月の27日にはヤツラが "FISHING FOR MORE LUCKIES"
アルバムをリリースするんだとよ。俺たちの意向を無視してな… みんなもう前のヴァージョンで持ってるよな?」
「Yeeeaaahhh!!」
「ヤツラの私腹を肥やさないために、絶対に Don't fucking buy it だぜえっ!!」
…Yeah, と言ってあげたかったけれど、個人的には幻のディスク "FISHING FOR LUCKIES"
は持っていないのでちょっと複雑な心境。いずれにしてもライヴはまだまだ続きます。
6. Woah Shit, You Got Through
みんな狂ったように暴れる(笑)
7. The Miles Away Girl
1st
収録の曲はどれも素晴らしいメロディを持ってますよね。この曲も大好き。ステージにファンからいろいろな物が投げ入れられるのですが、中にはお財布なんか
もあったりして、「どれくらい fucking money が入ってるかな?」なんて言ってる可愛いジンジャー。
8. Caprice
冷静に言って、この曲なんてめちゃくちゃ複雑なリズムですよ。しかしもう、どうしてこんなにピッタリ決まっちゃうの?
彼らの身体の中から自然に出てくるグルーヴなのだとしたら、凄すぎというしかないっす。
9. Suckerpunch
「テメエらのお気に入り行くぜーっ!!」のMCに続いてステージ手前で花火が炸裂!
ドラムキットの横からは轟音とともに2メートルくらいの火柱があがる。こりゃすげー演出。
10. TV Tan
ジンジャーがBBCの放送内容についてひとくさり悪口を展開してから、個人的に絶対ライヴで歌いたいと思ってたこの曲へ。どうやら周りのファンたちもそ
うだったらしく、コーラスの大合唱ときたらそりゃもう。"♪So so KO, it's only me and my TV tan"
11. Love U 'Til I Don't
コーラスの後ろの "Ooh La La La..."
のパートもばっちり決まる。ジンジャー大暴れでギターネックを振り回し、マイクスタンドを倒す倒す。途中で観客席にマイクを投げ込んで歌わせたりなんかし
て。ラストはステージ天井から雨のように火の粉が降り注ぐ演出。超感動ッス!
【アンコール】
1. Weekend
素直にいい歌だなあ。今週末も部屋で聴きまくってます。途中で「ダニーが歌うの聴きたいか?」とジンジャーに振られたダニー、リードヴォーカルを歌いま
す(激ウマ)。
2. My Baby Is A Headfuck
イントロでジンジャーがギターをジャカジャカかき鳴らしながら、「ゆーがったろーうぃずいっ、ゆーがったていきょたいむっ!」と Oasis の
"Roll With It" をワンコーラス歌って場内大爆笑。続いてはお馴染み "Day Tripper"
挿入のこの歌で、コーラスでは男の子も女の子も "Headfuck!" 連発です(笑)
3. Geordie In Wonderland
牧歌的なワルツ。"♪Oh, lads, I didn't understand - I'm a Geordie in
Wonderland"
というコーラスが印象的。途中で演奏を打ち切って観客に歌わせたんですけど、ホールが揺れるくらいの大合唱で最後まで歌いきっちゃった。
4. 29×The Pain
ああ、まさかこれを生で歌えるなんて。シングルB面曲としては一番好きな歌、オーディエンスも歌いまくります。いったん曲が終わってラストにちょっとず
んちゃかしたメロに変わるじゃないすか。あそこはドラマーが歌ってました。
5. Show A Little Emotion
何と "TV EP" 収録のこの曲まで飛び出しました。ライヴで聴いてみると実は結構映えるいい歌。
6. Liberty Cap
うーん、こんなものまで繰り出すとは恐るべし。
7. Jonesing For Jones
ジンジャーはまだまだ帰りたくなさそう。この会場で燃え尽きることに決めた!と言わんばかりにギターをかき鳴らしまくり、見てて何だか胸が熱くなってし
まう。
8. Nothing Ever Changes But The Shoes
コーラスで哀愁漂っちゃう曲ですよね…
9. Getting It
どこまで続くかと思われたアンコール大会も、ジンジャーの「ラストソングだぜーっ!」というMCとこの曲のイントロでいよいよ大団円に。僕らは声の限り
歌いまくります。演奏終了後、観客の間から自然発生的に例の「酔っ払いソング」の大合唱が沸き起こり、信じられないような規模で "♪Don't
worry about me... I'll be alright... Don't worry about me..."
のコーラスになりました。周りでは「ちゃらら、ちゃらららら♪」っていう合いの手の方を大声で歌ってる連中もいたりして。
「心配すんなって、俺は大丈夫だよ」
ジンジャーは最後、そう歌いながら手を振ってステージ袖に消えていきました。多分、心配しなくていいんだと思う。万事何とかなる。きっと。2時間に渡っ
て合計20曲を演奏し尽くしたロンドン公演。これを見る限り、彼らはまだまだやる気なんだと思いました。自分たちがどんなにいいバンドだったか忘れてた
よ、とMCで語ったジンジャー。もう次の目標が見えてきたのかもしれません。僕らを楽しませ続けてね。いつまでも…
November 2003 追記
あれからちょうど8年になります。ご存知のようにワイルドハーツはその後アルバムを数枚出していったん解散、しかし再結成…というようなことを繰り返し
ています。ヴォーカル/ギターのジンジャーは実に才能があると思うのですが、商業的成功という意味では幸薄い男だった。そこがファンの判官びいきを誘うと
ころでもあります。それにしても、こんなに楽しいライヴがわずか£10.00(当時1,600円くらい)で観られたなんて…。来日コンサートももっと入場
料を安くして、ビールの売り上げで回収するようにすべきだと思う(笑)
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