29 June 1995
コイツは個人的にかなりのヒット。
THE WiLDHEARTS の2nd フルレンス "P.H.U.Q." は、ジャンルがどうとかその手のクダラナイ次元をすっかり超越した素晴らしいロックアルバムに仕上がりました。タイトルはですね、"F"
で始まるあの4文字言葉と同じ発音をします。念のため。
前作 "EARTH vs. THE WiLDHEARTS" の印象は決して強くなかったけれど、今回はジンジャーの書く歌メロがもう爆発的にキャッチー。1曲だけ抜きん出たアルバムはザラにあるけれど、全曲素晴らしいってのはそうはありませんぜ。でもってバックの演奏はといえば、これがまたザックザクのギターリフの宝庫。最高に気持ちいいのです。普通のバンドだと、そういう巧妙な手口がわざとらしくて耐えられなかったりもします。でもジンジャーだとなぜか全て許せる気になってしまう。やはり一枚も二枚も上手(うわて)です。この男は。実際大したヤツですよ、ジンジャー。こういう飲み友達って欲しいよなあ。でも、何人もいたらちょっと困る?友達のタイプかもしんない。
英国での受けとめられ方って、頭にハードロックもメタルもついてなくって、ストレートに
"BRITAIN'S FINEST BAND" って感じ。飾りも何もない、シンプルにイギリスらしいロケンローを聴かせるだけのバンド。でも、そんなバンドって今やそう幾つも存在しない。確かに
KERRANG! 誌なんかにも載ってますけど、全然関係ない総合誌の表紙も飾ったりして、確実に広ーく支持されてます。ジンジャーは。
全然違ーうとか言って怒られるかもしれませんが、何となく "若者版 Status Quo" とか思い浮かべちゃったりして。うまいジャンル分けが出来ないんだけど、シンプルで素晴らしいロックを聴かせるバンドとして、ね。
Status Quo はイギリスで今でも絶大な支持を受けている超ベテランバンド。彼らの逸話はたくさんありますが、次の話には感動しましたよ。数年前
Guns N' Roses か何かの前座として、ウェンブリーあたりで演奏したらしいのですが、スタジアムではもうビイルをがんがんに飲んで真っ赤に酔っ払ったオヤジたちが大騒ぎ。知らない同士、肩なんか組んで大声で歌いまくって大喝采、前座の
Status Quo が終わると 「いやー Status
Quo
は良かったな今日も! ヒック」 とか言いながらぞろぞろと大挙して帰っていったという伝説があります。Guns も見ずに。
なんか WiLDHEARTS もそんなイメージですな。こっちじゃ。
(ってこんなんで分かるんかいな…)
日本のレコード会社が 「どういうラベルを付けて売るか?」
って考える時点で既に何か違う〜って感じ。こういうのを素直に楽しめるようになるには、やっぱり英国で一晩中ビイルでも飲みながら聴くしかないのかなあ?
そう言えばBBCの人気TV番組、TOP OF THE POPS に出演して "I Wanna Go Where The People Go"
を歌ったのも、彼ら一流のシャレだと思うんですよね。僕もその日は
「動くジンジャー+その仲間」 を絶対見るぞ!とリキ入れて早く帰宅してBBCを見ていたのですが、ヤツらの動きがだらしねえのなんのってもう最高! スタジオライヴ番組なのですが、演技力バリバリ(うそうそ)のステージで、ハチャメチャに暴れてホスト役のBBCアナウンサーを引っ張り上げ、無理やりギターを持たせて弾かせるという大ハシャギぶり。つまりスタジオの女の子たちはキャーッ、男の子たちはウォーッ的な展開(意味不明)。しかも、同じ日に出演してシリアスに
"Some Might Say" を歌った Oasis の楽屋に 「よお!」 とか言って遊びに行ったジンジャー。ノエルとリアムに
「入るんじゃねえ!」 と怒鳴られつまみ出されたとか。この辺のいわゆるブリットポップのバンドたちから脅威と警戒されているのも事実なのです。まあ単純にジンジャーとリアムの個人的なイサカイ関係かもしれませんが(笑)。
とにかく、ハードロックでもメタルでもパンクでもなく、そこら辺を全部通過した 「1995年のUKロック」 って感じがぴったりのザクザクしたサウンド。全くもって、こういうのを待っていたですよ。大推薦。
January 2002 追記
このあとニフティサーブのロックラインフォーラムやなんかで、THE
WiLDHEARTS 人気が相当盛り上がりました。結果として来日公演も成功し、日本のファンたちは
WiLDHEARTS の良き理解者となります。が、レコード会社とのいざこざもあって、解散騒ぎがあったり、何事もなかったように再来日したり。まあ、いつ帰ってきてもいいように、心の準備だけはできてるけどね♪ ホントにいいバンド。
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