20 May 1995
失礼ながら、こんなに素晴らしいライヴを見られるとは思っていませんでした。
スコットランドはグラスゴー出身の
Gun は、日本では1994年にヒットした "Word Up" のカヴァーで多少知られている程度でしょうか。それも、米国のファンクグループ
Cameo の大ヒット曲のカヴァーですから、イロモノ扱いかもしれません。でもこちらではA&Mからアルバムを3枚もリリースし、UKロック界の中堅どころになりつつあります。
この日のライヴ、ぎっしり埋まった
Empire
のお客さんは追っかけ風の女の子たちと、恐らく過半数はスコットランド出身と思われる男の子たちの熱い歓声に包まれた理想的な環境でした。昨年から続けてきた、アルバム "SWAGGER" のツアーも最終局面。客電の落ちた会場に響き渡る
ABBA "Dancing Queen" のテープ。ポピュラーな歌だけに、場内全員が大合唱となり、この時点で早くも会場が一体になるのが感じられます。もちろん自分も一緒に歌いながら。
日本にいると見落としがちな点ですが、スコットランドというところはイングランドからすると外国になります。「イギリス/United
Kingdom」で何でもかんでも括ろうとすると大きな失敗をすることもありますから、気を付けた方がいいかも。この地でいろいろライヴを見ていると、バンドの出身地がとても大きな意味を持っていることをしばしば感じさせられます。Del
Amitri しかり、Gun しかりですが、明らかにロンドン出身のバンドたちとは違う音を出しているような気がするのです。
ツアー終盤ということもあって実に堂々とした演奏ぶり、ステージさばき。黒のレザーパンツ+白のタンクトップ1枚になって女の子の声援を受けまくりながら、自信に満ちたヴォーカルを聴かせる
Mark Rankin。私自身は "SWAGGER" しか持っていなかったので、"Stand In Line", "Don't Say
It's Over", そして "W, O, R, D, up !!!" と大合唱する
"Word Up" などのヒット曲を楽しんだのはもちろんですが、以前のアルバムからの曲もどれも素晴らしくキャッチーで分かりやすいストレートなロックばかり。すっかり惚れこんで、思わず翌日
HMV で全部買ってきてしまったほどです。
これでもかと繰り出した楽曲の末に、アンコールでは
The Police のカヴァー "So Lonely" なんかも飛び出して大団円。会場には終演のBGM、ABBA
の "Thank You For The Music" が流れます。他のメンバーが去った後の寂しいステージで、ひとりマイクを床に置いて
ABBA を口ずさみながら、観客に手を振って一歩一歩去っていく
Mark Rankin の姿に本当に感動しちゃいました。いいライヴだったなあ。
November 2001 追記
これまた、今にして思えば信じられないほど貴重なライヴですね。
Gun はこの後、ややエレクトロニクスに傾いたアルバムをリリースしますが、残念ながら大ヒットにはなりませんでした。"SWAGGER" でのストレートなロックアプローチを期待するファン層を満足させられなかったということなのでしょうが、楽曲そのものは悪くなかっただけに、少々残念。余談ながら、90年代後半の英国における
ABBA 人気は何だかすごいものがあって、ベスト盤の
"GOLD" はこの頃から延々と売れ続けています。まさに一家に一枚の名ベスト盤。
|