200. mysterious Ways - U2
U2でたった1曲だけ選ぶ。これを苦行と呼ばずして何と呼ぼうか。
もちろん、様々な変遷を経てきているわけです。アイルランドの10月の叫びあり、戦争状態的元旦あり、忘れがたき焔のプライドなんかもあったりするわけです。もちろん血の如く真っ赤な空の下で振った白旗や、名もなき通りで探し物が見つからなかったりした日々を忘れてしまってもイカンのです。たとえ神の国は忘れたとしても(笑)。
そんなこんなでチョイスしてみた "mysterious Ways"。もう、イントロですよこれは。ぐにょんぐにょんした Edge のギターカッティング。鳴り始めた瞬間におかしな世界に飛ばされますね。何が何だかわからぬままに、「いいんだ、いいんだ」とただ繰り返す
Bono のコーラス。明らかに突き抜けた境地。そこはもう、暴力的なまでにカッコいい。
199. Fly To The Angels - Slaughter
Slaughter というバンドは正当に評価されていないのではないか。そんな思いに駆られることがしばしばあります。確かに、コアなメタルファンからは「女子供相手」とそっぽを向かれそうだし、巷の女子高生たちからは「ウザそう」で片付けられそうなバンドではあります。がしかし、やはり1stの "STICK IT TO YA" 全編に溢れるキャッチーで完成度の高いメロディには抗いがたい。絶対に口ずさまずにいられない "Up All Night" のコーラス("♪Up all night / sleep all day")なんて、理屈抜きにサイコーだと思うのです。
一方この曲はドラマティックなバラード。亡くなった女の子に捧げて書かれた、いわゆる死者を悼む系の曲で、これでもか!というくらい大げさに、ブルージーに盛り上がります。
2ndの "THE WILD LIFE" はちょっとやり過ぎた。ファンが求めていたのはシリアスでヘヴィなロックなんかじゃなかったのです。それでも
Queen ファン丸出しのコーラスアレンジが炸裂する "Days Gone By" なんて傑作も隠れているから要チェック。
198. You Got Lucky - Tom Petty & The Heartbreakers
…深い。
Tom Petty の詞の深さに気付いたのは、実は相当経ってからのこと。彼が飄々と歌う言葉のひとつひとつ。それらが実はとてつもなく慎重に選ばれて配置された、枯れ山水の如き味わいを持って感じられるようになってきたのです。歳をとったということなのかしらん。
アルバム "LONG AFTER DARK" 収録のこの曲の歌詞は比較的ストレート。自分を振って別れようとする女に、捨てゼリフのように淡々と呼びかけます。いつの日か、彼女もこの言葉の重さに気づく日が来るかもしれません。いつまでも心の隅に引っかかっている僕と同じように…
「ああ 行っちまえよ でも憶えておきな
素敵な愛はなかなか見つからないさ
本物の愛とは滅多に出逢えないさ
ついてたんだぜ ベイブ
そうさ 本当に君はラッキーだったんだ
俺と出逢えたなんてね」
他にも "Don't Do Me Like That"(US#10/80), "The Waiting"(US#19/81), "Stop Draggin' My Heart Around"(US#3/81), "Rebels"(US#74/85), "Free Fallin'"(US#7/90) などなど、好きな曲いっぱいなのです。
197. Valotte - Julian Lennon
ポスト Beatles 世代の自分にとっては、全く邪念なしにこの曲を受け入れることができたと思います。やわらかで、どこか
John Lennon の面影も感じさせる Julian の声。ピアノをメインにアレンジした美しいアレンジ。初めて聴いた時、「これは名曲だ!」と思わずぞくっと震えたのを思い出します。早速買いに行った1stアルバムは、歴史的傑作というわけではありませんでしたが、瑞々しいメロディのかけらがいくつも収録されていました。"Too Late For Goodbyes"(US#5/85), "Say You're Wrong"(US#21/85) などは今でも大好き。
その後、"Stick Around" "Now You're
In Heaven" の Album Rock #1 を叩き出したり、名曲 "Saltwater" を生み出したりしているものの、1st並みの話題とセールスには達していないようです。「父」の残像というか、重圧というのは私たちが想像している以上に大きなものなのかもしれません。個人的にはそろそろベスト盤がほしいところかな。
196. Groove Is In The Heart - Deee-Lite
脳・天・気。
まさしく本日の脳は一点の雲もなく晴天なり、なのであります。
当時のソ連はキエフ出身の Super DJ Dmitry、日本の誇る
Jungle DJ Towa "Towa" Tei ことテイ・トーワ、そしてなんとオハイオ州出身のヴォーカリスト
Lady Miss Kier がニューヨークで創った奇跡的コラボレーション。セールスチャートじゃ1位です。
何じゃコリャ?と思ったのも最初だけ、今や
B-52's "Love Shack" などと並んで、かかった瞬間にトリップできる極私的至福系アッパートラックなのであります。Bootsy
Collins の起用といい、思いっきりサイケなビデオクリップといい、あざとさ丸出し。でもOK。いつも心にグルーヴを。
195. Don't Disturb This Groove - The System
グルーヴがらみでもう1曲。夏になると聴きたくなる曲でもあります。
Mic Murphy と David Frank が組んだテクノ・ファンク・デュオ、The
System のトップ40はこれのみですが、80sリスナーには鮮烈な印象を残しているこの都会的でお洒落なヒットは、今でもドライヴ中にかけたりすると大いに盛り上がること請け合い。
ところで、このミディアムなんだけどスピード感もある不思議なリズムトラック、その上で意外と間延びしながら浮遊・展開するメロディライン、最近どこかで聴き覚えありませんか? そう、BAD
BOYレーベルからのホワイト女の子4人組 Dream
"He Loves U Not" はこの David Frank の作曲に関わっているんですね。のみならず、世界を席巻した
Christina Aguilera "Genie In A Bottle" もそうでしたし、98 Degrees "The Hardest Thing" にも絡んでいます。
これまでに関わったアーティストは Dionne
Farris, 2Pac, Madonna, The Notorious B.I.G.,
Billy Idol, Brian McKnight, Eric Clapton,
Annie Lennox などなどだそうです。Eternal
"Good Thing" を共作したり、Chaka
Khan の "I Feel For You" でキーボード弾いてたり、Phil Collins "Sussudio" のトラックを作ったり…。そうそう、Steve Winwood
の "BACK IN THE HIGH LIFE" アルバムをお持ちの方は、あのアルバム全体の印象を決定付けたホーンのアレンジャーとしてクレジットされている
David Frank の名前を見つけることもできるでしょう。まさにポップミュージック界の隠れた立役者なのです。
194. Waterfalls - TLC
アルバム "CRAZYSEXYCOOL" については、発売と同時に輸入盤屋で購入したものの、1stのような弾けぶりを期待していた自分には期待外れで、翌週すぐに売り飛ばしてしまった苦い思い出があります。その後再購入してじっくり聴くことになりましたが、想像していた以上に重く深みのある内容で、今でも決して聴いて爽快になれるディスクというわけではありません。
この曲は全米チャートの1位を7週間も突っ走ったわけですが、ご存知のとおりエイズがらみのシリアスな内容を含んでいます。が、それをいったん受け止めた上でカラリとアレンジした
Organized Noize のセンスを評価したい。乾いたブラスのバッキングとか、左右にゆらゆら揺れているようなリズム感覚とか、T-Boz
の低音の活かし方とか、どれも絶妙。
そして何といってもここぞ!というところで切りこんでくる
Left-Eye の長〜いラップソロ。リリックもフロウも徹底的に練りつくされていて、何回聴いても実によくできた鮮やかなソロだと思います。
"Baby-Baby-Baby" や "Ain't 2 Proud To Beg"、"Diggin' On You", "No Scrubs" あたりと相当迷いました。やっぱりこのグループの場合、3人のキャラ立ちの鮮やかさ具合が、企画の勝利ということになるのでしょうね。
193. C'est La Vie - Robbie Nevil
"Dominoes" "Wot's It To Ya" など合計5曲ものトップ40ヒットを放ちながらも、やっぱり
Robbie Nevil といえばセ・ラ・ヴィ。それが人生なのであります。
どことなく中性的な印象もある声質とルックスは、ある意味頼りなげで、押しが弱そう。そんな意味では、恵まれた作曲・アレンジ能力を活かして裏方に徹するべきだったのかもしれませんが、この曲にはハマリ役でした。大ヒット。セールスチャート1位であります。人生イヤになっちゃう瞬間って何回もありますよね。そんな時「ま、それが人生ってもんよ」と軽く歌い飛ばすこの曲を聴けば、またやってみるか、ってな気にもなるというものです。
この手のミディアムを得意とする彼、後に裏方で印象的なヒットを飛ばしてくれました。共作・co-プロデュースした
Jeremy Jordan の "The Right Kind of Love"(US#14/93)、ホントいい曲ですよね。
192. It's Raining Men - The Weather Girls
まさに『ハレルヤ・ハリケーン』。Martha Wash と Izora Redman のデュオは、まさにその体重だけのことはある超ヘヴィ級ダンスクラシックを生み出しました。
Martha Wash に関していうと、その後もコンスタントに我々チャートファンの耳を楽しませてくれました。Black
Box の "Everybody Everybody"(US#8/90)、C&C Music Factory の "Gonna Make You Sweat"(US#1/91) そして Seduction の "My One And Only (True Love)"(US#23/89) などなど。ダンスビートを圧倒する声を腹から出すためには、一定のボディが必要だってことなんでしょ。
アーティスト名と曲名が縁語になっている。それもまた風流なるかな。
191. Hotel California - Eagles
もう今さら all time 投票に入れなくても…という気もしますが、AFNなどで流れてくれば、やっぱり最後まで一緒に歌っちゃうし、エンディングのギターソロはきっと口でコピーしちゃう。ご存知70年代米国の終焉を告げる一大叙事詩、これを超えられずバンド自体が終焉、というオチまで付いたのもきっとご存知。"Get Over It" なんて歌ってるバアイではないのだよ。
Don Henley 色が濃い曲ばかりが Eagles ではありませぬ。個人的には
Glenn Frey の楽天的な人生賛歌みたいなスタンスも捨てがたい。全米#1ヒットは5曲もありますが、いずれも1週間のみの首位でした。
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