ALL TIME FAVOURITES のご紹介に入る前に。
●好きなオリジナルアルバムを、1アーティスト1枚ずつ選んで並べてみました。そうしないと某アーティストだけで上から20枚くらい入れる暴挙に出る恐れがあるからです(^^;)
●ベスト盤/ライヴ盤/コンピレーション盤は除外してみました。でも、たとえば
KISS の "ALIVE!" のようにとても好きなアルバムももちろんたくさんあります。
●YEAR欄は原則としてリリース年を記入してあります。
ではさっそく、惜しくもTop 100リストに漏れたバブリングアンダーから、10枚ご紹介しましょう。
110. AFTERBURNER - ZZ Top
ピコピコしてますか? いいんです。ちょっとやそっとテクノロジーを導入しようと、ウルトラハードサザンブギーのテキサス魂は微動だにせんのです。"ELIMINATOR" の大ロングセラーを受けて、向かうところ敵なし状態でリリースした本作、まさに王者の余裕に満ちまくっています。だいたいセカンドシングルに何を考えたのか
"Stages" を切ってくるあたりからしてもう、カマしてくれます(^^;)。
リードトラックの "Sleeping Bag" のイントロのスリリングさ、"Rough Boy" の大らかでキザなカッコよさ、アルバムカットながら人気の高い
"Planet of Women" のテンションの高さなど、聴きどころがたくさんあります。
続く "RECYCLER" まで同じ路線で走りましたが、多額の移籍金で
BMG/RCA に移ってからはチャート的に今ひとつパッとせず、残念。一度ぜひライヴを観たいバンドのひとつです。
109. GINUWINE... THE BACHELOR - Ginuwine
何でこんなものがこんな位置に?(^^;)
とにかく、当初ひどく気持ち悪いアルバムだったのは確かです。Timbaland
が完全責任監修で作り上げた独特の世界。今でこそ
Destiny's Child のようなトラックにも慣れましたが、96年当時にこの音は本当に新しかった。
リズムトラックが変なわけです。スネアが鳴るべき部分できちんと鳴ってくれない。その代わりになぜかハイハットが倍速で刻まれてたりするわけです。Ginuwine
という独身男性の妄想チックなコンセプトもブキミで、アートワークも含めてすごく完結した世界ができあがっています。
しかしこれがまた、気持ち悪さを通り越すと面白くなってくるわけで、仕掛けの深い
Timbaland の仕事にやられた!と思ったものでした。"When Doves Cry" のカヴァーも収録。淡々モードだけど。
108. THE SCORE - The Fugees
"Fu-Gee-La" の時点でこのアルバムの真価に気づけなかったのは残念。まあ、当時は
Teena Marie の元ネタも知らなかったし、本格的にヒップホップ方面を買い漁り出す前だったので、無理からぬことではありました。
"Ready Or Not" "Killing Me
Softly" といった大ヒット曲と Lauryn のキュートさに騙されがちですが、決して気分が高揚するタイプのアルバムではなく、かなり社会的でヘヴィな問題を取り扱っています。お洒落っぽく勘違いして何となく買ってしまうと、痛い目に逢っちゃうかも。
その後の三者三様の大活躍や、しばらく集まって活動することはないということを思えば、かなり貴重な録音ということになっていくのかな。
107. ...TWICE SHY - Great White
ジャケ買いです。こんな美しい脚を4本並べられて、買わないことが許されましょうか。いや、許されません(反語)。
冗談はさておき、前作 "ONCE BITTEN" からのタイトル遊びといい、収録の "Once Bitten, Twice Shy" カヴァーのヒットといい、セールス的に上り調子だった彼らの勢いが感じられるアルバム。それでも真骨頂は
"The Angel Song" "House of
Broken Love" といったバラードの泣きっぷりであり、"Move It" "Heart The Hunter" といったブルージーなロックトラックであると思うのです。
続く "HOOKED" アルバムはジャケが2種類あるのでご注意。完全に釣り上げられてる方がお気に入りですが、いかがでしょ?
106. SOUP - Blind Melon
いいバンドだったのに…。"No Rain" のビデオクリップは覚えてますよね? あの蜂の女の子がジャケットの1st "BLIND MELON" もいい曲いっぱいでしたが、95年のこのセカンドでは一気に境界線を超えてあっち側に行ってしまった感があります。
ヒットしそうなトラックはほとんどありませんが、全体を通して暖かく、ソウルフルで、ギターリフの断片に溢れています。すごく自由で、インプロヴィゼーションに近い雰囲気もあります。そして何回も繰り返して聴いているうちに、すっかりこの不思議な音の虜になっている自分に気づくのです。
ヴォーカルの Shannon Hoon の死の約2週間前に、このアルバムのツアーをロンドンの小さなクラブで見ることができました。観客が一斉に合唱する
"No Rain" を聴きながら、楽しそうに微笑んでいた彼がもういないのは、悲しいことです。
105. BAD ENGLISH - Bad English
元 Journey + 元 Babys のメンバーを中心に結成された、いわゆるスーパーグループ。粒揃いの楽曲を並べて、John
Waite 先生が久しぶりに素晴らしい声を聴かせてくれます。もちろん
Neal Schon や Jonathan Cain にもちゃんと見せ場が用意されています。制作は
Richie Zito。
とにかく良質メロ&リフ満載の産業ロックアルバムなのですが、ふたを開けてみると一番ヒットしたのは
Diane Warren 作のバラード "When I See Your Smile"。Neal はそれが面白くなかったようで、次作の方向性をめぐり
John Waite と衝突し、バンドは空中分解…
個人的には "Forget Me Not" のエッジの効いたサウンドが気に入っています。
104. RIPTIDE - Robert Palmer
ダンディ男がはにかむモノクロのジャケ。これ、昔はLPレコードの大きさだったんですぜ。ちょっとヤバイかもしれません。
通ウケするアーティストだった Robert
Palmer
が一気に大ブレイクしたアルバム。この人は送られてくるいろいろなデモテープなどを聴きながらアイディアをまとめていくらしく、このアルバムもとっ散らかった印象があります。オープニングとエンディングのタイトル曲は南の島みたいな雰囲気だし、妙にハードな "Hyperactive" あり、どっしり構えた全米1位 "Addicted To Love" あり、Cherelle のカヴァー "I Didn't Mean To Turn You On"
では性別を入れ替えて女泣かせの伊達男ぶりをアピール、とあれもこれもやってみた感じ。それでも一本筋が通っているように感じさせるのは、さすがベテランといったところか。
"HEAVY NOVA" "DON'T EXPLAIN"
といったアルバムも気に入っています。
103. BACK IN BLACK - AC/DC
発売から20年以上を経て、いまだに売れ続けるモンスターアルバム。AC/DCといえば、Angus
Young の鋭いギターリフですが、このアルバムにはギター小僧たちの古典とも言うべきリフが大量に詰まっています。BrianJohnson
のダミ声ヴォーカルも、全然変わらないですね。
ここまでくると、変わらぬことの美学を感じずにはいられません。その意味では、別にこのアルバムじゃなくてどのアルバムでも概ね同じようなものという見方もありますが、そこはやはり一番人気の作品だけあって、名曲・名リフ揃いのこれを。
102. HARD CORE - Lil' Kim
ジャ、ジャケ買いです(^^;)。
というのはウソで、Lil' Kim は非常にいい声をしているラッパーだと思うのですね。ややハスキーがかった声。ライムが過激なコトバ連発なのはご愛嬌で、フロウの巧みさをむしろ買います。
ただ、それも他人の曲に客演して中盤のソロを任されたときに最大のパワーを発揮するのであって、こうしてフルレンスで聴いてみると、結構ダレるものですね(^^;)。バックトラックは
Sylvester や Jeff Lorber、George Benson、James
Brown などのカッコいいサンプリングが目立ちますね。
セカンドは待たせた割にはちょっと肩透かしだったかな?
101. WENDY AND LISA - Wendy & Lisa
"Wendy?" "Yes, Lisa."
"Is the water warm now?"
"Yes,
Lisa." "Shall we begin?"
"...
Yes, Lisa." かの有名な、Prince
&
The Revolution の "Computer Blue" の冒頭部分。このセリフで多くの音楽ファンに強烈な印象を残した彼女たちですが、アルバムまで追いかけて聴いている方は必ずしも多くないようで、少し残念。
これは The Revolution 解散後初めてリリースしたアルバムで、当時の状況が大きく影響している作品だと言えます。もともと音楽的な素養が豊かな2人のこと、サウンド的にはファンクやジャズやブルースの要素を絶妙にブレンドしたスムースな仕上がりですが、歌詞には「プリンスに突然棄てられた」哀しみがありあり。'So strange that no one stayed, at the end
of the Parade' と切々と歌う "Song About" など、心の深いところにそっと入りこんでくるような曲が並んでいます。
続く "FRUIT AT THE BOTTOM" "EROICA"
"GIRL BROS." いずれも力作。21世紀になった今こそ、再評価されるべきアルバムではないかと思っています。
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