24.アドリブの概念(1)

 @アドリブをするには一般的な理論を踏襲し、且つそれを実践しなければならない。
 Aアドリブをどんな方法でどう実践しようが個人の勝手である。理論なんて関係 ない。
 Bアドリブをする場合に理論が理解でき、且つ実践できれば何をやってもいい。
 C理論的なことを熟知していれば何をやっても個人の勝手だ。
・・・・・等々。演奏者の考え方や実践方法、またそれぞれの概念は主張すればきりがない。僕は別にそれらを否定的に傍観しているのではなくて、実体がなく実に曖昧で適当な世界観が存在していることを表現したいだけです。ただ、上にあげたものは表現の仕方に少し皮肉めいたものを感じられる人もあるかとは思いますが。
 @'アドリブをするには一般的な理論を踏襲し、且つそれを実践できれば楽しい。
 A'アドリブをどんな方法でどう実践しようが個人の自由。理論は分からないけど。
 B'私はお金持ち、父は町の実力者。
 C'速く走る方法論は理解しているが、足が遅い。
まあそれぞれ見方を変えればこんな感じにも受け止めることもできますが、僕はこれらも否定出来ません。なぜなら、「有り」だと思うからです。ただし個人的には受け入れることはできませんけど・・・・・要するにそんなんじゃないんだということです。

 ここからは表現の柔軟性を考えるレッスンです。表現のあり方(方法)によっては結果的に一部の聞き手の概念をコントロールできるかもしれません(あくまで形式です、それ以上のものではありません)。
 「1」はスケール的には王道ではありませんが理論上は間違いではありません。特にDm7のF#は扱い方が厄介ですが強いアタックを前後の音符に持ってくればOKです。「2」の場合も同様に処理すれば問題ありませんが、同じDm7のノンコード・トーンでも「F#」と「C#」では聞き手の拒絶反応の度合いが違う(どちらがどうかは自分の耳で確認してください))ので、フレーズ内の強弱の度合いも違ってきます。またこれらのノンコード・トーンからコードトーンや通常のスケール音へのアプローチにスラーを使うのも常套手段です。間違っても実践でこれらのフレーズ全体を平坦(イーブン)な音量又はスタッカートで演奏するのはタブーです。そうすることはこのエクササイズの意図をを理解していないことになります。前に述べたとおりそういった演奏をやるのは個人の自由ですが聞き手の違和感は半端じゃないです。
 現実には「1」は滅多にお目にかかれないけど「2」はよくあるパターンです。

  「3」も「4」もD#はコードやスケール外の音ですがこの進行を支配するAmのブルーノートであるため、この例の場合は問題ありません。しかし「3」は常用句ですが「4」はあまりというか全く使われないラインなので、聞き手に違和感を与えると思います。それでも自信を持って演奏すればその違和感も快感に変化させることが出来るかもしれません。

 「5」と「6」は12小節のブルースの9小節から11小節をイメージしています。「5」は初心者がよくやる例ですが、センスの有る無しで同じような演奏レベルでも変わってきます。センスが欠ける人やノリの悪い人は結果的に「6」の方が聞き手に訴えることができると思います。そういう選択能力も別の意味でのセンスが問われます。人それぞれに長所短所(音楽においては自分で見極めるかあなたの信頼できる人の意見による)があらゆる場面で発生するので、自分が最も輝けるように日々精進することを僕なら勧めます。それを否定するのならそれも有りです。なぜなら、表現者としては努力しないことも一つの生き方だからです。

 
 ジャズ演奏する人にとって正解なんかありません。他人に押し付けるものでもありません。自己満足でも聴き手に媚を売ってもいいでしょう。ただ、プライドを持って表現者たる生き方をすれば良いと思います。