17.ディレイド・リゾルブ(2)

 広い意味で音楽理論上間違いではなくても、それぞれ個々の音楽ジャンルにおいてあってはならない様な場面をよく見かけます。ディレイド・リゾルブにおいての場合も同様で、日本語にすると偽終止ともいえるこのラインは無造作に使用するとその場の雰囲気を台無しにしかねません。

 たとえば次のラインは音的にはなんの問題もないんですが、ジャズ語としては非常に不自然でかなりの違和感があります。

 その理由として第一に上げられるのはノリです。もう一つ上げるとすれば、終始音に対するメロディ的・リズム的慣習(慣れ)からくる違和感でしょう。このフレーズで具体的に述べるとすれば、 @ 同様のパターンの繰り返しの連続に対するもの、あるいはそれにより生じやすくなる A 頭ノリのアクセント対するものかも知れません。これはディレイド・リゾルブだけではなく、すべてのフレージングに対して言えることです。初心者はこのあたりは特に注意が必要です。

 @の改善例

 同様の発想でも少しラインに変化を持たせることで会話が楽しくなるし、スウィング感も出るでしょう。

 Aの修正例

 同様のパターンの繰り返しはディレイド・リゾルブに限らずアクセントやイントネーションに少し変化を持たせると使えるかもしれません。

 次の左のフレーズは教則本等によくある例をつなげたものですが、イントネーションの位置によってはかなり違和感があり、ラインとしても右のようにコード・トーンではなくメロディックなものを重点的に置いたものの方がまだマシかもしれません。

 それでも尚且つ違和感は残るので、以下のようなラインに落ち着くのが自然でしょう。

 理論的なものは確かに重要ですが、音楽のセンスは良い感じや違和感に対して敏感に反応していくことによって積み重ねられていくものだと思います。

 この項で僕の 述べたことをすべての人に理解して頂くことは大変困難なことかも知れません。しかしながら後々になってジャズや他のジャンルの音楽をより深く理解・体感することで自ずと結果として個々の行き着くところだと思います。その向こうに本当の意味でのオリジナリティー(個性・独創性)が生まれ出るものだと信じてます。

 15項から17項の締めくくりとして以下の練習曲を上げておきます。各自研究して下さい。形式としてはリズム・チェンジです。