16.ディレイド・リゾルブ(1)

 ディレイド・リゾルブ(遅延解決)とは前項で示した2つのアプローチ・ノートの組み合わせで、同様にコード・トーンに解決しますがダブルのアプローチになるので時差が強調されます。

 下のエクササイズはディレイド・リゾルブではなく単なるドミナント・モーションの終止形の最も基本的なラインですがその準備練習となるものです。

 つぎのエクササイズも準備練習で、前のエクササイズに加え各マイナー7thのところで次にくるドミナント・コードのルート音へのダブルのアプローチ・ノートを示しています。結局マイナー7thをドミナント7thに置き換えることで前のものと同様になりますがあえてマイナー7thにすることによって下からの半音階を経過音として強調することにより静止することへの違和感を暗示させています。これがこれから学ぼうとすることへのヒントになるでしょう。

 次の譜例は一般にはディレイド・リゾルブというより半音階的なアプローチになりますが、僕的には同様の認識を持っています。なぜなら両方ともにD音(上)+B(下)音からC音へのアプローチが目的だからです。

 音楽は理屈より結果です。音(結果)を最優先に思考(理屈)して行くことですべての可能性が生かされると思います。また、理屈(理論)というものは最終的に個人に集約されそれが結果的に第三者に支持を得ることでその存在性を示します。逆に考えれば音楽において完全な理論なんて存在し得ないのかもしれません。