15.アプローチ・ノート

 アプローチ・ノートとはコード・トーン対して全音あるいは半音階で解決する音を言うが、一般的には上からはスケール内の音(半音階を含む)、下からは半音階(スケール音を含む)でのアプローチになっている。Cをルートとしたコードでそれぞれのアプローチ・ノートを8分音符で示すと次のようになります。

 また、C調でのダイアトニック・コードで示すとそれぞれ次のようになります。

 A.下からのアプローチ(すべて半音でのアプローチなので調性を選ばず共通)

 B.上からのアプローチ(スケール内でのアプローチなので調性で変化する)

 上記Bの例はたとえばこんなことです。ご覧のとうり調性圏の変化により上からのアプローチ・ノートのあり方が変わっていることが理解出来ると思います。

 ただ注意して頂きたいのは、これらの理屈はあくまで一般的に広く定義されているものでもちろん絶対性をもつものではありません。たとえば管楽器奏者は伴奏者によるコードづけに対して自由に別のスケールやコードを設定することが通常であるからです。

 たとえば下記の譜例を見てください。仮にこれらの小節すべてに「Cmajor7」のコードが指定されていてもこのようにコードをつけることがありますし、たとえ最初からこのような進行が設定されていたとしても二つの「G7」のようにテンションや経過音と共に自由なスケールを設定することが可能だからです。下段のG7は特異なアプローチ・ノートを含みませんが次の小節ののコードのD♭音は違和感があるかも知れません。これは右に示したアプローチ・ノートの組み合わせである「ディレイド・リゾルブ」(次回)の変形ですが、G7あるいはその代理であるD♭7がここに想定されたと考えれば聴く耳の違和感が半減されるか人によっては消え去るかもしれません。この辺が音楽の面白いところでもあるでしょう。