14.束縛ー半音階ー

 コード・トーンのみの使用や7度3度のつながりによるアドリブラインはそれぞれコード進行に対してのフィット感がありますが、それだけではソロの可能性を広げるという意味あいではもの足りません。そこでこの項では半音階の使用例を上げてみたいと思います。

 半音階に重点を置いたソロを取るとコードに対してのフィット感というより、ソロラインの横のつながりに比重が傾き、コードに対して浮遊感が生じます。横のつながりという面ではコード・スケールと同様の方向性を持ちますが浮遊感(違和感)と言う面ではその性格には差違があると思います。

 次にいくつかの譜例をあげてみたいと思いますが、最初の練習としてはコード・トーンから始まるラインを薦めます。なぜなら、自分のいる位置が把握出来ないと、行き先が非常に不明瞭になるからです。目的意識や方向性がより明確に決まっていればどんな音からでも、どんな音へでも動くことが可能なんですが、それが定まるまでは自己規制をある程度つくった方が僕は良いと思います。

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 3度から下りてきてアルペジオへ、右は半音階から遅延解決をへてスケールのラインです。

A

 古典的なラインです。ディキシーのエンディング等に用いられます。

B

 こういう単調なラインは音色やアーティキュレイション、ダイナミックス等の表現の工夫が必要です。

C

 これはハード・バップ以降によく見られるものですがBと同様の工夫が必要です。速いテンポに良いかもしれません。

D

 こういうラインはコードよりメロディーに比重が傾くので注意が必要です。(キーやコードの流れを損なう恐れがある為)

E

 これもメロディックなラインですがコードの流れに忠実です。
 次の譜例は後に述べるディレイド・リゾルブを含む半音階フレーズですがどちらかと言えば今風のラインで比較的にジャンルを選びません。

 
 この項の最後にブルースのソロ例を掲載しておきます。ほとんどが伝統的なラインなので雰囲気が出るようにアーティキュレーションやノリを工夫しましょう。