2.フレーズのつまみ食い(前編)

 音楽を演奏する人々にとって永遠の課題は?なんて野暮なことはさて置いて、我々ジャズに携わるものにとって避けて通れない大きな現実は、個々のミュージシャンの胸の内にぐさりと突き刺さっているものです。でもそんなことにいつまでも囚われていたら前に進まないので、苦しみながらも快感を見つけてなるべく楽しく精進しましょう。

 下の楽譜を見てください。たとえばここに和音・ベースライン(ルート)・リズム(4ビート)が歩くぐらいの速度で伴奏されたとして下さい。

 とりあえず何かしないといけないので次の様にコードに合わせてスケールを奏でることにしましょう。

 あまりかたい事を言うと先へ進めないので最低限コードの変わり目だけは意識してください。なぜならたての和音と横のラインを同時に感じることでスケールがフレーズに変換されます。2通りの感覚で演奏比べてみればよく理解出来ると思います。それ以前にこのフレーズに強い違和感を感じた人はジャズ的な感性(どんな感性や!)の強い人かもしれません。たとえば楽器の練習でこういうラインは腐るほど出てきます。しかしながら実際の演奏ではこのようものは殆ど出てこないのが現実です。裏を返せばこういうものをあえて使う事によって現実に立ち向かうと言う事も考えられますが・・・・・・・・。

 次のフレーズは1小節目の3拍目にディミニッシュドコードを加え(この際あまり深く考えない)アルペジオを4種類使い、最後にターンしてルートに落ち着いています。ここまでくると演奏のやり方次第で、かなりそれらしくなると思います。ただトータル的に見て不自然の感がないわけではありません。

 次は最初の小節の2拍目にA7(C#を経過音とすればAm7)でも可)にして淡泊ながら硬派なラインといえるでしょう。

 そして次は最初のCコードでスケールから4つ目と7つ目の音を取り除き我々にとって耳にやさしいラインにして、2小節目にコードを若干無視したラインをとっています。

 最後はブルース感覚のラインですけれどもコードよりラインを優先している点で前述のフレーズの延長線上にあるといえます。また、我々日本人から最も遠い憧れの領域でもあります。

このページのおわりにひとこと

 ジャズのはらわたを冷たいメスでえぐるようなそんな音楽教育におびえてしまった感性の強い人たちにも安心して開いていただけるようなそんな講座にしていきたいです。