released in 'Green Bottles For Marjorie : The Lost BBC Sessions'
[9] longer version (19'20") in 'Green Bottles...'
Pye Hastings (g,vo), Richard Sinclair (b,vo), David Sinclair (key), Richard Coughlan (ds)
[11][12] Paris Theatre, London (In Concert) 1973.8.2 (9.8 ?)
Disc 2
[1][2] Paris Theatre, London (In Concert) 1973.8.2 (9.8 ?)
Previously Unreleased
[3]-[6] John Peel Show 1974.2.7
same as 'Songs for Oblivion Fishermen'
Pye Hastings (g,vo), David Sinclair (key), John G. Perry (b), Richard Coughlan (ds), Geoffrey Richardson (vla)
[7] Paris Theatre, London (In Concert) 1975.3.21
longer version (18'58") released in 'BBC Radio 1 Live In Concert' (Windsong)
[8][9] John Peel Show 1975.6.26
same as 'Ether Way'
Pye Hastings (g,vo), David Sinclair (key), Mike Wedgwood (b), Richard Coughlan (ds), Geoffrey Richardson (vla,g,fl)
2007年にメジャー・レーベルから出たBBCセッション集2枚組だが、これでBBC関連音源が整理されるどころか、かえってややこしくしてしまう困った編集盤だ。全くの未発表テイクは、73年 In Concert の4曲(約25分)のみ。以前出ていたBBC関連盤「Songs for Oblivion Fishermen」(以下 SFOF)、「Ether Way」、「Green Bottles For Marjorie」(以下 GBFM)、タイトルが紛らわしい「The Show Of Our Lives」(以下 Mooncrest)、さらにブートレグも含めると、長短様々なヴァージョン(編集違い)が多種多様入り乱れ、上記データを見てもわかる通り、大変複雑な状況となっている。なんとかそれを紐解いて行こうというのが今回の特集の目的。セッションごと、あるいは一曲ずつ詳細に検証していく。(以下の記述の“当盤”とは今回の Universal 盤のこと)
Disc 1
[1][2] Top Gear 1968.12.31
GBFM に収められた4曲のうちの2曲と同じ。
[3]-[5] Top Of The Pops 1970.8.19
If I Could Do It All Over Again, I'd Do It All Over You (2'47")
データでは SFOF (2'48") と同じ日の録音となってるが、初出の別テイクと思われる。オルガン・ソロ以降を聴き比べれば明白に違いが分かる。
Hello Hello (3'13")
SFOF (2'51") ではいきなり歌から始まるが、当盤にはイントロが付いてる。エンディングも長く収録。
As I Feel I Die (6'25")
SFOF (4'31") では聴かれなかった部分が少なくとも3ヶ所(ごく短いイントロ、歌の後半部、オルガン・ソロの一部)含まれるロング・ヴァージョン。
これら3曲のみ "recorded for BBC Transcription Service" とクレジットされている(他は "recorded for BBC Radio 1")。ということは、海外の放送局に配るためにプレスされたレコード盤の音源であり、国内向け放送用に編集される前の状態である可能性も考えられる。
同セッションを収録したブート「Living In The Grey And Pink」では曲の前後にアナウンスの声が被さっているが、基本的には SFOFと同じ編集である。
[6]-[8] Sounds Of The Seventies (Alan Black Show) 1971.3.11
Love To Love You
当盤 (3'13"):イントロ=有、エンディングのオルガン・ソロ=Mooncrest より長い
SFOF (2'26"):イントロ=無、エンディングのオルガン・ソロ=短
Mooncrest (3'08"):イントロ=有、エンディングのオルガン・ソロ=長
Love Song Without Flute (3'34")
SFOF (3'21") ではいきなり歌から始まるが、当盤には Mooncrest (4'32") と同様にイントロが付いてる。ここは特に終盤のオルガン・ソロに注目すべし。SFOF とは違うフレーズを弾いてるのだ。前半は同じテイクなのに…。この謎は Mooncrest を聴けば解ける。Mooncrest にはオルガン・ソロが2コーラス分入ってるのだが、SFOF は1stコーラス途中でフェイド・アウト、当盤では不思議なことに、1stコーラスをカットして2ndコーラスから始まっている。なぜこんな編集がなされたのか不可解だ。ちなみに、1stコーラスは良くまとまった名演、2ndコーラスはミスタッチもあって少々乱れ気味。
In The Land Of Grey And Pink (3'46")
SFOF (3'39") と同じく、イントロ=無、オルガン・ソロ前のエレピ・ソロ=無、エンディング=完奏。
Mooncrest (4'50") は、イントロ=有、オルガン・ソロ前のエレピ・ソロ=有、エンディング=早めにフェイド・アウト。
以上8曲、モノラルのスタジオ録音。音質は特に向上しているわけではなく、リマスターで音圧を上げた程度。
[9][10] Paris Theatre, London (John Peel's 'Sunday Concert') 1971.5.6 (5.16 ?)
GBFM の3曲中2曲。観客入りのライヴ録音。分離抜群のリアル・ステレオで格段に音質向上! だが…
Nine Feet Underground (14'28") / GBFM (19'20")
冒頭、肝腎のオルガン・ソロ(約3分40秒)がバッサリとカットされている。さらに終盤、ハードなリフ繰り返しに続くオルガン・ソロ(約50秒)もカットされ、最後の一音(ジャン!)・拍手・歓声もカット。
Feelin', Reelin', Squealin' (9'31") / GBFM (9'45")
これは前後の拍手・歓声をカットしただけ。
なお、当盤では5月6日録音との表記だが、GBFM では5月16日となっている。(Calyx では5月6日と)
[11][12] / Disc 2 [1][2] Paris Theatre, London (In Concert) 1973.8.2 (9.8 ?)
当盤の目玉。これまで世に出てなかった未発表演奏4曲。観客入りコンサート・ライヴ録音。ステレオで音質良好。8月2日録音との表記だが、Calyx のデータでは9月8日となっている。(一曲を除き、ブート「For Penguin Who Hatch In The Polar Night」で流出済み)
[3]-[6] John Peel Show 1974.2.7
SFOF の4曲と同じ高音質ステレオのスタジオ録音。SFOF では4曲とも定位が統一されていた(ギター左・ヴィオラ右)が、当盤は、"Virgin On The Ridiculous" 以外の3曲がなぜか左右逆(ギター右・ヴィオラ左)になっている。
[7] Paris Theatre, London (In Concert) 1975.3.21
The Dabsong Conshirtoe (15'13")
観客入りステレオのコンサート・ライヴ盤「BBC Radio 1 Live In Concert」 (Windsong) からの1曲。当盤では“3分55秒”カットされた短縮版となっている。カットされた部分を「BBC Radio 1...」の時間表記を元にして記す。(5秒以下は四捨五入し、5秒単位の表記とした)
1. (3'30)〜(4'05) = viola solo(35秒カット)
2. (9'10)〜(10'55) = guitar solo by Geoffrey Richardson(1分45秒カット)
3. (14'30)〜(16'00)? = リフ(繰り返し)回数の削減(1分30秒カット)
4. 演奏終了後の拍手・歓声(5秒カット)→ 計 3分55秒カット
リミックスしたらしく、楽器バランスが違って聞こえる。「BBC Radio 1...」の方がすっきりとして聴きやすいように感じるが。
[8][9] John Peel Show 1975.6.26
「Ether Way」の同セッション3曲中2曲。ステレオのスタジオ録音。
参考:Caravan BBC sessions and live dates 1968-1978
当盤、タイトルは Mooncrest と同じで、ジャケット写真は GBFM と同じ、と非常に紛らわしい上に、日時データに疑問があり、時間表記も間違いだらけ。演奏メンバーのクレジットもない(ライナーノートは充実しているが)。メジャーだったらもっと気合いを入れてしっかりしたものを作って欲しいものだ。収録曲が中途半端なため、今もって「SFOF」「Ether Way」「GBFM」「Mooncrest」それぞれの存在価値は消えない。不可解な編集跡も気になる。と数多くの不満がありつつも、これはこれで演奏内容・音質には文句なし、初心者向けベスト選曲の入門盤として使える質の高さを持つ。ファンなら当然買うしかない。
<BBC音源全般について補足説明>
BBCはブリティッシュ・ロック・ファンなら避けては通れぬ宝の山だ。貴重なライヴの数々はもちろんのこと、とりわけスタジオ・セッションには聴き慣れた正規アルバム・テイクとは違う独特の生々しさ・味わい深さがあり、堪らない魅力がある。
BBCとは「英国放送協会」の略(日本で言えばNHKのようなもの)。昔からクラシックやロックなど多種多様の音楽番組のためにスタジオやコンサート・ホールで大量の録音を行っているが、録音テープの大半は放送後に消去され、保存されてこなかった。マスター・テープやトランスクリプション・ディスク(海外の放送局に配るためにプレスされたアナログ・レコード盤)が残ってれば良い方で、後年正式にリリースされる発掘ものには、放送を私的録音(エアチェック)した個人の提供によるもの、あるいはブートレグ(※)を元に制作することも珍しくない。そのアラをごまかすため、ノイズ低減、アナウンスの削除、テープ切り貼りなど様々な処理が必要となる。(※ 放送音源はブートとして格好の素材だから昔から膨大な量が出回り、中にはデータと音源が一致しない場合も多かった。)結果として同一テイクの編集違いが複数存在することになり、さらに正規盤としても編集・音質を変えて何度か再リリースされたりして、極めてややこしい状況に…。またそれゆえマニアックに探求し甲斐もあるのだが。
last updated: 2019.4.21