CARAVAN
The Show Of Our Lives
Mooncrest Records CRESTCD 036 (1998) (70'16")
[1]
Love To Love You (3'08")
[2]
In The Land Of Grey And Pink (4'50")
[3]
Golf Girl (3'58")
[4]
Love Song Without Flute (4'32")
[5]
Love In Your Eye (13'57")
[6]
If I Could Do It All Over Again, I'd Do It All Over You (3'33")
[7]
Hello Hello (3'08")
[8]
And I Wish I Were Stoned / Don't Worry (7'50")
[9]
For Richard (11'49")
[10]
Headloss (4'23")
[11]
The Show Of Our Lives (4'26")
[12]
Memory Lain Hugh (4'42")
[1][2][4] BBC Alan Black Show 1971.3.11
[1] short edit (2'26") in 'Songs For Oblivion Fishermen' / longer version (3'13") in 'The Show of Our Lives: Live at the BBC 1968-1975'
[2] short edit (3'39") in 'Songs For Oblivion Fishermen' / short edit (3'46") in 'The Show of Our Lives: Live at the BBC 1968-1975'
[4] short edit (3'21") in 'Songs For Oblivion Fishermen' / short edit (3'34") in 'The Show of Our Lives: Live at the BBC 1968-1975'
[4] same as BBC 1969-1973 (ZA 88)
[3] BBC Alan Black Show 1971.3.11 (?)
[6][7][8][9] BBC Radio 1 In Concert 1970.10
[8]
same as 'BBC 1969-1973' (ZA 88)
[7] (? overdubbed take on BBC Top Gear 1970.11.2 ?)
Pye Hastings (g,vo), Richard Sinclair (b,vo), David Sinclair (key), Richard Coughlan (ds)
[5] BBC John Peel Show 1974.2.7
full performance released in 'Songs For Oblivion Fishermen' / 'The Show of Our Lives: Live at the BBC 1968-1975'
Pye Hastings (g,vo), David Sinclair (key), John G. Perry (b), Richard Coughlan (ds), Geoffrey Richardson (vla)
[10][11][12] Reading Festival 1975.8.24
same as Long Walk Desert (Canterbury Dream)
Pye Hastings (vo,g), Geoffrey Richardson (vla), Jan Schelhaas (key), Mike Wedgwood (b), Richard Coughlan (ds,perc)
参考:Caravan BBC sessions and live dates 1968-1978
1998年にイギリスの Mooncrest レーベルから出た編集盤。一見すると取るに足らないベスト盤みたいだが、実は、正規スタジオ録音とは違う演奏ばかりが収められている。曲によって音質にバラツキがあるものの、全編ブート並のコモった音。放送をエアチェックしたテープを使用したと思われる。なんとも不可解だが、これでも一応正規盤のようだ。ライナーは簡単なバイオと作曲者表記だけで、録音データの記載は一切無い。となると、音源の出所が気になる。この謎についてはいつか検証したいと思いつつ、先延ばしにして(忘れて?)幾星霜。今回ようやく着手することにした。
まず [1][2][4]、これは「Songs for Oblivion Fishermen」(Hux) (以下「SFOF」)収録の Alan Black Show 音源と同じ。ただし、3曲ともそれより長いヴァージョンなのである! 「SFOF」では、アナウンスを消すためかイントロがカットされていたりフェイド・アウトが早かったりする。例えば [2] 、「SFOF」ではいきなり歌から始まるが、ここでは12小節分(?)イントロが付いている。さらに、「SFOF」ではオルガン・ソロの前のエレピ・ソロがカットされていることがわかる。ただしフェイド・アウトは「SFOF」の方がやや長い。ちなみに「The Canterbury Tapes」(OH BOY) 収録の音源は「SFOF」と同様である。
イントロがエレピの [3] は、ここでしか聞けない音源のようである。「BBC 1969-1973」(ZA 88) 収録のものは歌詞違いの初期ヴァージョンだし、「Living In The Grey And Pink」(AULICA) は傾向が似てるが、よく聞くとオルガン・ソロが違う別テイクだ。"Golf Girl" のBBC音源は公式にはリリースされていないので確実なことは言えないが、この盤に収録された曲の前後関係から推測して BBC Alan Black Show 1971.3.11ではないかと思われる。
[5] は逆に「SFOF」の方が完全版。ここでは、ヴォーカルの出だしが歌詞1行分くらい切れた所からいきなり始まり、最後のブレイク(一瞬の間)から後の締め(ジャ〜〜〜ン)もカットされてしまっている。単なるミスか?
この盤の目玉と言えるのが、[6][7][8][9] の4曲(約26分)。正式に発表されていない 70年10月の BBC Radio 1 In Concert から全曲(?)収録されている(裏ルートから入手した音源によって確認)。比較的音は良いものの、拍手など観客の反応をカットするためか曲の前後が不完全なのが少し残念。
ひとつ気になるのは、[7] が In Concert 音源(未ブート化?)と若干違って聞こえることだ。エンディングでドラムのオカズが多い。以下は根拠の無い推測。後日11月2日に Top Gear でも "Hello Hello" が演奏された記録があるが、正規盤でもブートでも出ていない。ひょっとすると In Concert 音源にオーバーダビングを施して流したのではないか? 同日の "For Richard" も同様に In Concert 音源を流用したのかも知れない。BBCでは他の番組で音源を流用することが多少あったらしいから。
[10][11][12] は、ブート「Long Walk Desert」 (Canterbury Dream) の冒頭3曲と同じ音源(ノイズの入り具合もいっしょ)だが、なぜか曲順を変えている。キーボードが David Sinclairとジャケットに表記されていたため、これまではそのつもりでいたのだが、時期的には David Sinclair から Jan Schelhaas に交代した直後であったことが今回調べていて判った。
以上、検証終わり。疲れた...
これは音質を考えればベスト盤としては使えないのに、初心者が間違って買ってしまうこともありうるという問題がある。ジャケットなどに警告というか、それなりの表記をすべきだろう。逆に、ここでしか聞けない音源が半分近く入っているという、マニアにとってはありがたい盤なのに、見過ごされているのはもったいない。商売する気があるのかと疑問に思ってしまう。
聴き比べしてて改めて思ったのは、デイヴのキーボード・ソロの素晴らしさ。同じフレーズを弾かない(弾けない?)インプロヴァイザー気質に感銘を受けた。同じ曲でもアプローチの仕方が毎回違うから、そこを聴けばテイク違いを聞き分けられる。パイのギター・ソロなどは違うテイクでも同じフレーズを弾いたりしてるし、スティーヴ・ミラーは(フレーズに)ブルース色が濃く出て、新鮮さが足りなかったりする(ジャズ・ミュージシャンに近い)のだが、デイヴのアドリブ・フレーズは型にはまっていない。ブルースとかジャズとかを超越した本当の意味で自由なフレーズを次から次と繰り出してくる。聴いていて楽しいのである。
追記:
2007年にメジャー・レーベル Universal から出たBBCセッション集2枚組「The Show of Our Lives: Live at the BBC 1968-1975」で、[1][2][4][5] が良い音質で聴ける。ただし、[2][4] はここに収録されたヴァージョンより短かったり、「Songs for Oblivion Fishermen」とも多少の違いがある。詳しくは特集ページへ。
last updated: 2008.3.6