ミュートについて

ユーフォニアムのミュートはストレートミュートが使用されます。その他の種類のミュートはごく少数です。ミュートの形状よりもミュートの材質の方が音色や音量の変化を得られる事が多い為に、ストレートミュート以外の形状のミュートはほとんど使用される場面がありません。筆者の希望としてはもちろん新しい種類のミュートの登場を楽しみにしていますが、演奏中の限られた時間内でのミュートの着脱や、持ち運びや管理の容易さ等を考えると、ストレートミュートを使用する事が最も現実的な選択だと思います。

オーケストラの作品では、リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」のテナー・テューバのパートでもミュートの指定があります。ソロ曲では、ゴードン・ジェイコブのファンタジア等で使用されます。近年では日本の吹奏楽コンクールにおいてもユーフォニアムのミュートを使用し、音色や音量の変化を要求される作品が増えて来ました。

ミュートはアルミなどの金属製と、木製、紙製、それ以外の新素材などが使われています。金属製は明るくクリアな表現に、木製は柔らかく溶けるような場面で使用する事が多いです。吹き込む時の息の圧力や音域によっても音色は変化します。

現在では、ヤマハやデニス・ウィック社から販売されているミュートが、入手が容易で、普及していますが、ミュートを自作される方もいます。

合奏やアンサンブルにおいて他の金管楽器がミュートをしている場面においては、音色を揃えるためできるだけ同じ素材のミュートを使うことが望ましいのですが、あえて音色やニュアンスの対比をつける為に異なる種類のミュートを選択する場合もあります。したがって、リハーサル時には金属製と木製等の異なるミュートを用意し、曲の場面に必要とされるミュートを選ぶ事が望ましいと思います。

ミュートの種類としてはこの他に「練習用ミュート」があります。練習用ミュートには、音色や音量、体力の向上の為にわざと音が出にくくなっているトレーニングを目的とした「プラクティスミュート」と呼ばれる物と、練習場所の問題をカバーする目的で使用されるヤマハの「サイレントブラス」と呼ばれる物があります(どちらも商品名です)。

(ミュートを使用する場面では音程が高くなる事が多いので、チューニングスライドを抜いてピッチを調整する必要があります)

ミュートは床に直接置くと着脱に手間がかかり、ノイズを発生させる原因にもなりますので、スペースに余裕がある時はイスの上に置いたり、ミュートのスタンドを使用して下さい。スタンドを自作される方もいます。


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