8 合唱「そこで、私たちは行きましょう」
 「主と共に進まん」の上行音形カノンは、信徒の堅い意志の足取りを示します。第1曲(ソナタ)の重い足取りと比較して下さい。

 この曲のテクストと音楽の構造を見ていくと、次の図式が成立します。

    1 ソナタ(イエルサレム入城)
┌─ 2 合唱 (天の王よ、ようこそ)
│─ 3 叙唱 (私は書物に書かれ<詩編>)
│┌ 4 アリア(強き愛)
││ 5 アリア(主の許にひれ伏し)
│└ 6 アリア(禍福の時も共に行き)
│─ 7 コラール(主の受難はわが喜び)
└─ 8 合唱 (よろこびて主と共に)

 つまり第5曲の暝想の祈りを中心に、前半では信徒の心へのイエスの入城が、後半ではイエスと共に行こうという信徒の心があらわされます。信徒の心が受容から能動へ転回する見事なシンメトリー構造が浮び上がることに気付かれるでしょう。

(後藤田篤夫)






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