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ブラームス 交響曲第1番ハ短調 作品68


概要

奥深さはピカ一

 作曲期間20年……こんな交響曲はめったにない(劇場作品ならば,ないこともないが……)。
 ブラームスが23歳で着手し,43歳で完成させたこの交響曲第1番は,作曲期間の長さに相応した奥深い内容を持っている。ブラームス自身,ベートーヴェンの交響曲を超えるような交響曲を作曲できるようになるまで発表しないと語っていたが,この交響曲は確かに,奥深さの面ではベートーヴェンの交響曲を超えるような出来である(とっつきやすさという面では,一歩譲るかもしれないが……)。
 形式は古典的であるにもかかわらず,全く新しい交響曲であるという印象を受けるのも面白い。もちろん,ブラームスなりに形式のアレンジが行われていて,完全に古典派の交響曲と同じという訳ではないが,形式や旋法には古臭ささえも感じられる。この時期,多くの音楽が音色や音階の概念を広げたり,他の分野の芸術の内容を採り入れたりして,古典的な,形式ばった音楽から離れはじめていた。その中で古典的な形式ばった,しかも新しい交響曲を作曲したブラームスの功績は大きいだろう。
 この交響曲は,初演当時「第10番」とも呼ばれた。これは,ベートーヴェンの不滅の9曲に続く交響曲という意味である。実際にこの曲はその言葉に反しない出来になっているといえよう。

聴きどころ

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