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ハイドンの主題による変奏曲 変ロ長調 作品56


概要

なじみやすい主題と逆変奏

 基本の主題の形を順番に変えて行くという変奏曲は,クラシック音楽において最も基本的な楽式である。これは日本の音楽にもある概念で,有名なところでは八橋検校の「六段の調べ」などがある。
 変奏曲の作曲家としては,「ディアベッリの主題による33の変容」をはじめとする多くの作品を残したベートーヴェンが有名であるが,ブラームスもそれに負けず劣らず多くの変奏曲を残している。そして,この「ハイドンの主題による変奏曲」では,全く新しい試みを行っている。
 ふつう,変奏曲は変奏が進むにつれて,主題の形を崩して行くものである。たとえば,ベートーヴェンの「ディアベッリの主題による33の変奏曲」では,最初のワルツ主題が最後にはほとんど思い出せないほどに変形してしまう。そのため,同じくベートーヴェンの「トルコ行進曲の主題による変奏曲」では,コーダで最初の主題を回想することによって最後に収拾をつけている。しかしこの曲は,コーダにおいて別の主題を変奏させ,最初の主題に近づけて行くという手法(いわば「逆変奏」)をとって,全体にまとまりのある構成を作っているのである。

 なお,この曲はオーケストラによる変奏曲として有名であるが,ピアノの連弾による作品もある。作品番号はオーケストラ版が56aでピアノ連弾版が56bであるが,どちらが原作でどちらが編曲という位置付けはされていない。また,両方には速度標語などに多少の差があるようである。

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