Private Eternity

Soft Ballet
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10.SYMBIONT【1】

<対談形式です。>

CAIE:こんばんわ。

hydra:はい、今夜のお題は再結成SOFT BALLETのアルバム『SYMBIONT』についてです。

CAIE:今さらなんですが…。

hydra:……どーしてなんでしょうねぇ…?

CAIE:(狽ムくぅっ)はい…。

hydra:何故、延び延びになっちゃったんでしょうねぇ…?

CAIE:……今日は、呑んでもいいんですか?

hydra:つらい現実から目を背けるわけですね?(苦笑)

CAIE:この世界は、僕にはつらいことが多すぎるんで(笑)…素面じゃいられないんです。

hydra:今日はいいですよ、もうひとり、強力なコメンテーターがおみえになってますから。

CAIE:…というわけで、今回はいつもお世話になっているhirahira助教授にも参加していただきます。

hirahira:はいはい(笑)。お疲れ様ですー。 [hirahira助教授の個人サイトはこちら→hirahiraの奇ぐるみ倉庫]

CAIE:あのー、呑んでいいっすか?

hirahira:あ、もう、それは(笑)、ご自由にどうぞ!

CAIE:じゃ、一杯目で一曲目…。


【BIRD TIME】


CAIE:まぁ、とりあえず、僕は遠藤遼一が『setting sun』唄ってる、って思ったんですよね(笑)。

hirahira:そうそう、ケミカルブラザーズですね。 リズムが全く同じなんです。

hydra:endsなのに、ケミカルというヤツですか。

hirahira:これはやっぱり遠藤さん作曲でしょうね。

hydra:多分そうでしょうね。私が思うにこれ1曲じゃないですか?

hirahira:いや、他にも結構ありそうですよ。

hydra:あ、そうなんですか?

hirahira:最初聴いて一発目に、これは遠藤さんだなと。

CAIE:僕はそうは思わなかったんだよ。

hydra:私も遠藤さんだと思いました。

CAIE:あんまり、ends聴いてないからかなぁ?

hirahira:あぁ、そうだと思いますよ。 どうして遠藤さんと思ったかというと、 森岡さんと藤井さんのメロディーっぽくないなーと思ったのと、遠藤さん唄いやすそう、というところからなんです。

CAIE:アレンジは誰がイニシアチブを取ってると思います? これ、やっぱ森岡さん?

hirahira:森岡さんでしょうね。

CAIE:この下世話さ加減は。

hirahira:あ、この「You can Win tomorrow」ってとこ、 メチャメチャ好きなんです! これって、昔のSOFT BALLETだったらもっと堅苦しくなってて、endsだったらもっと分かりやすく言ってて、 今のSOFT BALLETにしたらこうなりました、 という感じがするんです。

CAIE:今のね、今の。

hirahira:昔から言いたいことの大枠は変わらなくて、 ただ、ここではこのやり方って感じでしょうか。 endsみたいに、愛という言葉だけで片づけないあたり、考えちゃいるんだろうな、と。

hydra:なるほど。

hirahira:endsだと、1曲の中で何回「愛」と出るんですか?ってときあるじゃないですか?

hydra:うんうん(笑)。「メルヘンダイバー」は、 しょっぱなからでしたが(苦笑)。

CAIE:あぁ、そうだね!

hirahira:僕は、この曲は今までにないSOFT BALLETの前向きさ加減が出ていて、 結構嬉しかったんですよ。

hydra:前のSUMMER SONICの時にも言ってたんだけど、「ゴージャスなendsだねぇ」と。

hirahira:分かります。


【JIM DOG】

hydra:これはどなたがイニシアチブを取ってると思います?

hirahira:これは森岡さんでしょう。

CAIE:頭の部分って、最初馴染めなかったんだけど、何回か聴いてると 「よくこんな言葉の持ってき方をしたなぁ」と感心した。

hirahira:僕、これは森岡さんの声、発音で聴こえるんですよ。

CAIE:うん、うん。

hirahira:森岡さんのソロ聴いてるからかもしれないですけど、森岡さんがこんな風に唄いながら作ったんじゃないかな、と。

CAIE:キーボードのソロ部分が森岡さんっぽいと思うんだよね。

hirahira:この下世話なメロディー。で、1、2曲目まで聴いて、SOFT BALLETってこんなにドラムが強かったっけ?って思ったんです。

hydra:うん。

hirahira:「FORM」とかの頃って、音数がごっそり減って、鍵盤のイメージも無く なった部分ってあったじゃないですか?

CAIE:ギターとドラムが前に出たように感じた。

hydra:いわゆる、バンドサウンドってやつ?

hirahira:昔は「そうしました!!」っていう感じがしたんですけど、今は「そうなりました。」というか自然にこなれてきましたって感じで、初めて「バンド」として聴けるようになったかな、と。

CAIE:なるほどねー。そう考えると今のSOFT BALLETも一般に受け入れやすいのかな?

hirahira:今回に関しては「結成していないバンド」ではないと思うんですよね。今度辞めるとしたら「解散」だろうなと(笑)。

CAIE:なんか再生YMOみたいなこと言ってますよね。

hirahira:2年間限定契約とか(笑)。

hydra:「ファイナルカウントダウンです」とか(笑)。

hirahira:(笑)でも、この曲、ライブで盛り上がれそうです。


【BABEL】

CAIE:この曲、ビミョーなんだぁ。(ここで一同頷く)あ、良かった僕だけじゃないんだ。

hirahira:これってどう聴いてもendsですよね。

hydra:まぁ、そうね(苦笑)。でもね、森岡賢ソロの『Question』の辺り、あの感じもあると思うんですけど。

hirahira:あぁ、はいはい、ありますねー。

hydra:僕は、その辺なのかなって思っちゃったんです。森岡さんなのかな?と。

hirahira:遠藤さん作曲で、森岡さんを働かせた、とかいう感じも(笑)。

hydra:なるほど!そういうことかも(笑)。

hirahira:SOFT BALLETって、シンセバンドとしても微妙な部分があるんじゃないかと今回思ったのですよ。

hydra:どういうことが?

hirahira:いわゆる、音楽的な打ち込み、和音だったり、完成形としてはあまり…どうかなと。
音はたくさん鳴ってるんですけど、曲のフレーズとして鳴っている音は少なくて…。


hydra:ピコピコ系ばっかり?

hirahira:そう、SEとして鳴ってたり、リズムとしての部分が多かったり。 今までそんなに思わなかったけど、7年ぶりに聴くと全く変わってないというのは…。
某女性歌手のオケとかの方が、よっぽど「音楽的」フレーズが鳴ってると思うんですよ。


CAIE:うん…そうかも。

hirahira:シンセの音色に関しても他のバンドじゃ使えない音、SOFT BALLETだったらおかしくない音、この音色がイイというより、 SOFT BALLETならいいか、みたいな音が多い気がします。

CAIE:これはSOFT BALLETだからしょうがないか、みたいな?

hirahira:そうですね。「SOFT BALLET」ってブランドで聴かせてるような。ほとんどがSEと言える音色で構成されてるように思うんです。
だから「FORM」の頃、音が薄いと思っていたのは、実はあれが無駄を省いたある意味「正解」 なんじゃないかな、と。


hydra:森岡さんとか、音大出の人なんですけどね。

hirahira:でもね、いろいろ聴いてるとですね、この人も「手癖一発」なんだろうな、と(笑)。

CAIE:出た、「手癖一発」!!(苦笑)いやー、ここに…いるんでー、そういう人がー(笑)。あーー、すいませーん(汗) 。


【MERCHENDIVER】

hydra:僕はやっとこのアルバムのアレンジで馴染めました(笑)。

hirahira:そうなんですか?一番収まりがいいのって、このアレンジですよね。

CAIE:SUMMER SONICの時のも、久々に聴いたらいいなと思ったんですよ。BLOOM MIXが僕は一番いいなと思うんですけど。

hirahira:僕は合いませんねぇ。

CAIE:実はこの曲自体ちょっと苦手で…。

hirahira:誰かがこの曲のシングルのミックス聴いて「フォークソングみたい」と。

hydra:フォークソング??

hirahira:僕、シングルで一番ショックだったのは音色。なんでこんな音使うの? と。

CAIE:そうね、僕もこの曲だったら、もうちょっと違うアレンジできるんじゃないの?と…。

hirahira:ベースラインとかも…アルバムのは改良されてるんですけど。「本当に気合入れて作ったの?」と。どこまでが本気なのか分かりませんでした。で、先程の音作りやらの話になるんです。

CAIE:うーん、なるほど。

hydra:勉強になりますね。なんか、えらくアカデミックな感じになりましたね、今日は。

CAIE:うん、うん。

hydra:僕がね、そういうの勉強してない人ですから。

CAIE:僕なんかもついつい各楽器をばらして考えたりしちゃうんで…あんまり音楽を 音楽として楽しめない聴き方してるかも…。

hirahira:あ、でもね、曲としてこの曲はイイ曲だと思います。

hydra:僕は微妙なんです…。

hirahira:今回のSOFT BALLETの中では確実に三本指の中に入りますよ。

CAIE:リピートが止まらないんでしたよね?

hirahira:クルマの中で一緒に唄うのが楽しくって(笑)。SOFT BALLETでそんな曲ってあんまりないじゃないですか。

hydra:楽しそうというと、今までだったら「YOU」 とか「PERFECTION」とか…あの辺りくらいですか。

hirahira:それでもやっぱり抑えた感じがしてたと思うんです。復帰一発目にこの曲が出てきたのは幸せな状態なんじゃないかな、と。


【TOO FAT TO UGLY】

hydra:私はこの曲に萌(笑)。

hirahira:この曲ですよね、藤井さんが『SHE SHELL』でやろうとしてたのは。

hydra:そうでしょうね。

hirahira:この曲聴いて、藤井さんはかなり偏った音の嗜好を持ってるんじゃないか、と思ったんです。

CAIE:偏ってるねぇぇ(苦笑)。

hirahira:偏ってるっていうのは「ジャンル」とかじゃなくって、いい機材を使っているはずなのに、なんでこの音使ってるんだろう?と。 Hi‐Fiなサウンドでノイズをやろうとしていることは分かるんです。
でも逆になんでそんなにHi‐Fiにこだわるんだろう?、と。


CAIE:昔からこだわるよね。

hirahira:藤井さんの曲って、やたら中域がきっついんですよね。

CAIE:そうそう、クラブで大音量でかけた時、モコモコってなっちゃったんですよ。

hirahira:やたら藤井さんの曲で多いような気がするんです。普通、 ヴォーカルがおいしい部分の音域をやたら潰そうとしてるような。

hydra:あぁ、うんうん。

hirahira:藤井さんが「ヴォーカル入ってない方がカッコイイんだ」って言ってるのは、ある意味「言い訳」かなぁ、と。

CAIE:自分がこういう音を入れたい!!と思ってる音と、ヴォーカルがかぶってしまうことは分かってるんだけど、その音は外したくない。

hirahira:外せない!!だからHi‐Fiなところで、なんとかそのゴッチャになった部分を外そう、外そうとしてるのかなぁ、と。とにかく聴かせたい音色が、全部同じ音域に詰め込まれてるようなんです。

CAIE:ヘルツで言うと1前後?

hirahira:そうです。 僕の親とかが藤井さんの曲を耳にした時とかに、「この曲の何を聴いてるの?」と言うんです。で、僕が「ヴォーカル」と答えても、「どこに入ってんの??」と。「雑音としか聴こえない」って。僕らはたまたま聴き分けてるんでしょうけど…。普通の人は「どこにヴォーカルが?」ってなるんです。

hydra:確かに雑音にまみれていますね。

hirahira:藤井さんは中音域が異常に強いという趣味を持っていらっしゃるのではな いかとですね。
あ、でもこの曲好きですよ。ゴシック系の静かな曲。


CAIE:こういうのもないとね。アルバムには。

hydra:個人的にはそういうのばかり聴きたい。だから僕は「藤井さんを」待ってたんだろうなぁ(微笑)。


【OUT】

hirahira:これもミックスとか、微妙ですね。各楽器みんなバラバラに鳴ってるような…。

CAIE:その馴染まなさ加減も、ひとつ確信犯的にやってるとか…?

hirahira:ソフトシンセの音多いですね。

CAIE:芯が無い?

hirahira:そんな感じです。この曲って誰の作曲でしょうね?

CAIE:僕は遠藤さんのような気がする…。

hirahira:ほう。

hydra:これも微妙なんだよなぁ、誰なんでしょう?

hirahira:メロディーは遠藤さんのような気もしますね。 これってでもライヴ映えしそうな気がします。 SOFT BALLETらしくない曲ですけどね。

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