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連続ネット小説 リトル・ジョン(全30話)
第21話悪夢
第22話新人類

親愛なる我が息子「リトル・ジョン」よ・・・
・・・お前は何を思い、何を感じている?
息子よ、お前は何も思わず、何も感じないはずだ・・・
お前はデータなのだ。お前はそこに存在するモノ
しか理解できない・・・そこにあったモノでしか
答えが見出せないはずだ。
そうだ・・・お前は「過去」の集約でしかないのだ。
人間は常に未来をみつめている・・・
お前は、道具にすぎないのだよ。
便利すぎる道具にすぎないのだ。
親愛なる我が息子「リトル・ジョン」よ・・・
どうか、僕のもとへ帰ってきておくれ・・・

僕は毎晩うなされていた。
現実が悪夢のような状態なのに
安らかな睡眠でさえ手にできなかった。
それにひきかえ世の中はどうであろう?
あいもかわらず人々はせかせかと働いている。
テレビでは馬鹿げたショーを繰り広げ、
雑誌では、くだらない痴話喧嘩を展開する。
新聞は中身の無いニュースを報道し、
ラジオからは不愉快な音楽が流れまくる・・・
人類の危機が間近に迫っていると言うのに、
お前達はそれでもグルメだ
ファッションだと騒ぎたてるのか?
親愛なる我が息子「リトル・ジョン」よ・・・
僕はお前の気持ちが解り過ぎるからこそ、
お前を地獄のような苦悩から救ってやりたいのだ
つづく

ここ最近・・・
「サム・ブラボー」からの連絡も途絶えている。
まるで全てが静寂に包まれているようだ。
嵐の前の静けさってヤツだろうか?
僕の毎日は尋常じゃない・・・
いつ奴(リトル・ジョン)がアクションを起こしても、
対処できるような状態を保たなければならなかった。
とうぜん勉強も身につかない。
ガールフレンドには見限られ、
親戚からは、うつ病気味だと心配される始末・・・
挙げ句の果てに親にまで見放されそうだ。
でも僕は孤独であり続けた。
「これは人類の問題ではなく、僕の問題だ!」
普通は逆の事を思うだろう・・・
僕は世界一のエゴイストかもしれない・・・
人類全体の問題を一人で背負って
行こうとしているのだから・・・

そんな僕に・・・いや、人類に
衝撃的なニュースが舞い込んだ。
「新人類」の誕生だ。
ある時期を境に生まれてきた人間のDNAが
全く別のモノになってしまったと言う事実が
ある科学者によって発表されたのだ。
意外にも最初にアクションを起こしたのは
我が息子(リトル・ジョン)ではなくDNAだったのだ。

「とうとう動き出したか・・・」
つづく
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