親愛なる我が息子「リトル・ジョン」よ・・・ ・・・お前は何を思い、何を感じている? 息子よ、お前は何も思わず、何も感じないはずだ・・・ お前はデータなのだ。お前はそこに存在するモノ しか理解できない・・・そこにあったモノでしか 答えが見出せないはずだ。 そうだ・・・お前は「過去」の集約でしかないのだ。 人間は常に未来をみつめている・・・ お前は、道具にすぎないのだよ。 便利すぎる道具にすぎないのだ。 親愛なる我が息子「リトル・ジョン」よ・・・ どうか、僕のもとへ帰ってきておくれ・・・ 僕は毎晩うなされていた。 現実が悪夢のような状態なのに 安らかな睡眠でさえ手にできなかった。 それにひきかえ世の中はどうであろう? あいもかわらず人々はせかせかと働いている。 テレビでは馬鹿げたショーを繰り広げ、 雑誌では、くだらない痴話喧嘩を展開する。 新聞は中身の無いニュースを報道し、 ラジオからは不愉快な音楽が流れまくる・・・ 人類の危機が間近に迫っていると言うのに、 お前達はそれでもグルメだ ファッションだと騒ぎたてるのか? 親愛なる我が息子「リトル・ジョン」よ・・・ 僕はお前の気持ちが解り過ぎるからこそ、 お前を地獄のような苦悩から救ってやりたいのだ つづく |
ここ最近・・・ 「サム・ブラボー」からの連絡も途絶えている。 まるで全てが静寂に包まれているようだ。 嵐の前の静けさってヤツだろうか? 僕の毎日は尋常じゃない・・・ いつ奴(リトル・ジョン)がアクションを起こしても、 対処できるような状態を保たなければならなかった。 とうぜん勉強も身につかない。 ガールフレンドには見限られ、 親戚からは、うつ病気味だと心配される始末・・・ 挙げ句の果てに親にまで見放されそうだ。 でも僕は孤独であり続けた。 「これは人類の問題ではなく、僕の問題だ!」 普通は逆の事を思うだろう・・・ 僕は世界一のエゴイストかもしれない・・・ 人類全体の問題を一人で背負って 行こうとしているのだから・・・ そんな僕に・・・いや、人類に 衝撃的なニュースが舞い込んだ。 「新人類」の誕生だ。 ある時期を境に生まれてきた人間のDNAが 全く別のモノになってしまったと言う事実が ある科学者によって発表されたのだ。 意外にも最初にアクションを起こしたのは 我が息子(リトル・ジョン)ではなくDNAだったのだ。 「とうとう動き出したか・・・」 つづく |