僕は頭に来た。 体中の血が逆流した。 頭の片隅では、まだ誰かのイタズラ・・・ あるいは、卓越した会話プログラムを備えた ネット・ウイルスの戯言だと思っていたが、 完全にブチ切れた。 僕は警察に電話をかけると、こう叫んだ。 「リトル・ジョン!聞いているか? お前の事だ・・・きっとどこかで、聞いているだろう! お前は弱虫だ!・・・腰抜けだ! 「逃げているだけ」だという事がわからないのかぁ〜!?」 「もしもし・・・君・・・落ち着いて・・・」 落ち着いてられるはずが無い! 僕は電話を切ると、真夜中の町を走っていた。 なぜか弟が入院している病院に向かっていたのだ。 バーン!!! 病室を開けると、真っ暗な中に メカニックな医療器具に囲まれた弟を発見した。 心臓の動きを補助する機械や脳波を調べる機械・・・ 僕は機械系を見ると、どうしても奴(リトル・ジョン) の分身に見えてたまらなくなった。 「弟は生きているんじゃない・・・ コイツら(機械)に生かされているんだ。 ああ、弟よ・・・僕が今、開放してやる!」 その時!? 僕は追ってきたガードマンにつかまった。 「坊や・・・こんな夜中に何のようだね?」 つづく |
「はなせ!!!・・・僕は弟に会いに来たんだ!」 「もう面会の時間は終ったんだ・・・ それにこんな真夜中に出歩いてちゃあいけないな。」 僕は男に襟首を捕まれると、 ムリヤリ病院の外に放り出された。 「家に帰りなさい!でないと警察を呼ぶぞ!」 ・・・ 「チクショウ!・・・」 僕はこの時、自分の若さを憎んだ。 14才(当時11才)の少年の作ったウイルスが 「人類を危機に陥れるぞ」と、脅しているのだ・・・ こんな事、いったい誰が信用してくれるのか? 「ちょうどいい、警察を呼んできてくれ! 話したい事が山ほどある!」 僕はひらきなおった。 5分くらいたって、ようやく来た警察は 僕の言うことを全く無視しつつ、 極めて作業的に僕の身元を調べると、 頼んでもいないのに家まで送ってくれた。 「どうも、ご迷惑をおかけしました・・・」 母親があやまっている。 その後、僕が親に説教を食らったのは言うまでもない。 だけど僕は、弟に会いに行った理由は言わなかった。 その日から僕の孤独な戦いが始まったのだ。 だが・・・この後、思いも寄らない 展開が、僕を待ち受けていた。 つづく |