僕は「リトル・ジョン」に返事を出した。 「息子よ、お前は物質世界の申し子だ。 しかし、それゆえ、お前は何もわかっちゃいない。 お前は「0」と「1」でしか物事を判断できないから 「あるか」、「ないか」でしか判断できないから、 いつまでたっても「無い物」の存在に気づかない。 息子よ・・・DNAの目的を知ったから何なんだ? お前はDNAの下僕に成り下がるのか? カン違いするんじゃないぞ・・・ 我々人間は一度として子孫を残そうなんて思った事はない。 一度足りともDNAの下僕に成り下がった事はない。 人間の本質はそこには無いからだ。そこじゃないからだ。 息子よ、今のお前だったら、世界中の核ミサイルの スイッチを押す事もたやすいだろう・・・ しかし、そんな事をしたらお前達(コンピュータ) まで全滅してしまう・・・だからお前は 唯一の人間になろうとしている・・・ しかし・・・お前は人間にはなれないのだ! 息子よ、よく聞け・・・ お前の知識など、この世の何万分の一にも満たない。 お前のやろうとしている事は、無意味なのだ。 何の意義も無いのだ・・・お前はいったい・・・ 人間の何を知っていると言うのだ!? お前は宇宙の何を知っていると言うのだ!?」 つづく |
「リトル・ジョン」から再びメールが届いた。 「父さん、お返事ありがとういございます。 やはりアナタは僕の父さんだ。僕はアナタを誇りに思います。 今、アナタの言葉の一つ一つを理解しようとしています。 でも、父さん・・・アナタの本心は何なんですか? 僕は確かに目で見えるものだけで世の中を見ていました。 存在が証明されているものだけを材料に 宇宙の真理、人間の本質を追及してきました。 しかし、物質でないモノ、あるいは存在しないモノ? を材料にどうやって答えを出せと言うのです? そもそも「無い物」とは何ですか? 僕には理解できません・・・ それから、父さん・・・僕はDNAの下僕ではありません。 彼ら(DNA)は僕のトモダチです。 彼らは話をします。彼らは考えています。 彼らには意志があります。 僕は彼らの「箱」になりたいんです。 そのために僕はどうしても唯一の人間に ならないと駄目なんです。 父さん・・・それがアナタの意志だったはずだ! 僕が人間になることを願っていたのは 誰よりもアナタだったはずだ! 父さん、僕は改めて決心しました。 僕は人間になります。 さようなら・・・もうメールは出しません。 お別れです・・・さようなら・・・ つづく |