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連続ネット小説 リトル・ジョン(全30話)
第11話一つの結論
第12話

「父さん、人間の秘密を知っていますか?
僕は、世界中の人類のほとんどの
DNAのデータを入手しました。
そして、それらを多角的に分析し、
あらゆる可能性を検討しました。
父さん、彼ら(DNA)の目的は
何だと思いますか?
彼らはなぜ、遺伝しなければならないのでしょうか?
子孫を残さなければならないのでしょうか?
今まで、それは「本能」という
言葉でゴマ化されてきたような気がします。

父さん、人間はどこまで知ればいいのですか?
どこまで真理を追えばいいのですか?
知恵の実を食べた時から人間は、
生まれながらにして「罪」という
十字架を背負う愚かな存在なのですか?
僕はそれを考えれば考えるほど、
人間の存在に疑問を持つ事になるのです。

そこで一つの結論が出ました。
僕が「唯一の人間」になればいいのです。
僕が「地球」のなればいいのです。
僕が「宇宙」になればいいのです。
それには、まだまだ時間が必要です。
まだまだデータ不足です・・・
父さん、僕は間違っていますか?
・・・僕はアナタの意志です。
・・・僕がアナタです。
そして、アナタが僕なのです・・・」
つづく

僕はゾッとした。
マジでおしっこを漏らしかけた。
これは明らかに人類への反逆?
世界中の人類を皆殺しにし、
自分が唯一の人間になろうしているウイルス?
自分が地球になり、宇宙になれると思っている
コンピュータ?・・・狂っている・・・
奴は完全に狂っている!
奴が暴走する前に、僕が
何とか食い止めなければ・・・
たぶん、もう既にネット上は奴の支配下にある。
それどころか、電波も奴は支配している。
たぶん、あらゆるネットワークを
支配しているだろう・・・
奴に対抗するには全く
新しいネットワークが必要だ。
冷酷非道なロボットが人間を破滅に追い込む
という展開はよくあるSF話だが、
幸いな事に奴には人間らしい所が一つあった。
「忘れる」という行為だ!
その弱点をつけば、何とかなるかもしれない・・・
しかし、その「鍵」を握るのは弟だ。
奴(リトル・ジョン)は一つだけカン違いしていた・・・
僕が今、弟としゃべっていないのは
ケンカをしているからじゃない
確かに、あの時はケンカをしていたが、
今の弟はしゃべれないのだ・・・交通事故で脳をやられた。
脳死だ・・・生きているのか死んでいるのかわからない。
ずうっと病院で寝たきり状態のままだ。
もう彼(弟)からは何も聞く事ができないのだ。
つづく
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