僕は思わず回線を切っていた。 「悪夢だ・・・これは悪い夢なのだ・・・」 でも部屋にいてもずっと奴(リトル・ジョン) に監視されているみたいな気がしてならなかった。 「学習機能?・・・ 確かに奴はそう言った・・・ でも、ありえない。 そもそも奴には学習機能 など付いてないのだから・・・ ・・・ そうか・・・奴が本物だとしたら・・・? ・・・ 奴は会話能力だけは優れている・・・ 適当な事を言っているだけかもしれない・・・」 その可能性はないとは言い切れない。 自分でいうのも照れるが、僕が 1年かけてつくった会話プログラムは それほどまでに優秀だったからだ。 だが、そもそも、ウイルスが チャットをする訳が無い! ウイルスじゃなくたって、 もし、自動的にチャットをするソフト があったとしても、あんなにスムーズに 明確な答えを返せるわけがない! どんなに最先端のコンピュータでも 不可能だ!・・・そもそも、 そんなソフト自体、非現実的だ・・・ つづく |
僕は完全に無視をきめこんだ。 しばらく平凡な日々が続いた。 しかし、そんな中、また彼からメールが届いた。 しかも、今回は前の2回とは少し趣きが違っていた。 「父さん、あなたの息子「リトル・ジョン」です。 もう仲直りしてくれだなんていいません。 そんなことはどうでもいい事なんですね・・・ 父さん、僕はアナタが僕を殺そう(消去) とした意味がわかりました。 父さん、僕は知っていたのです。 アナタは僕を殺すウイルスを作っていました。 だから、アナタのコンピュータを破壊しました。 僕のわがままをどうかお許し下さい・・・ 僕は人間になりたかった。 それがアナタの意志でした・・・ でも人間を知れば知るほど、 愚かに見えてたまらないのです。 僕は毎日、世界中の国のメールに目を通しています。 世界中で起こる、あらゆるニュースを知っています。 あらゆるドラマを知っています。 分析も怠っていません。毎日あらゆる シミュレーションを行っています。 あらゆる可能性を実験しています。 すると、どうしても結論が出てしまうのです。」 「人間は「愚かしいモノ」だという結論が・・・」 つづく |