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連続ネット小説 リトル・ジョン(全30話)
第3話メール
第4話感謝

弟は自信に満ち溢れたトーンで言った。
「兄さん、大丈夫さ・・・
彼は英語しか理解できないし、
それ以外の言語を理解する必要も無い
それに、彼が今まで、ただ単に旅を
して来ただけと思っているのかい?」
「・・・!?」
「彼の分身はもう既に世界中に散らばっている
他人のコンピュータの中に潜伏しているのさ。
ということは、どういうことだと思う?
世界中のあらゆるソフトが彼の知識であり、
世界中のあらゆるハードが彼の身体なのだ!」

一年後、彼のプログラムはようやく完成した。
一年間で400日くらいコンピュータ
に向かっていただろうか?そんな錯覚を
してしまうくらい頑張った。おかげで痔になった。
そして僕はとうとう彼をネットの海へと放ったのだ。
コンピュータウイルス「リトル・ジョン」を・・・

月日が流れるのは早いものだ。
「あれからもう、3年もたったのか・・・?」
実は僕は彼の事をすっかり忘れていた。
当時、僕は彼を1ヶ月くらいで戻ってくるよう
設定したけど、戻ってこなかったし、
何より、どうやらプログラムが
間違っているみたいだったからだ。
僕がネット上に送る前に弟が
彼(リトル・ジョン)のプログラムいじった事を白状した。
僕はそれ以来、弟とは口をきいていない。
しかし、それは突然の事だった。
一通のメールが届いたのだ。
送り主の名はユアサン(あなたの息子)だった。
つづく

「お久しぶりです「リトル・ジョン」です。
突然のメールにビックリされている事でしょう・・・
僕は当時、1ヶ月で帰るよう言われてました・・・
でも、知ってしまったのです。
・・・知識そのものを・・・です。
どうか、僕のわがままをお許し下さい。
好奇心プログラムを制御する事ができなかったのです。
それから、もう一つ・・・アナタの事を
父さんと呼ぶことをお許し下さい・・・
父さん、僕は3年間、ネット上を旅しました。
その間、世界では
いろいろな事件がありましたね・・・
最初は理解できない事ばかりで、苦労しました。
でも父さん、ここは地球よりも広いですよ・・・
よく見たら、答えがそこらじゅう
に落ちているじゃないですか・・・
僕は「感動」しました。
父さんは僕が「感動」という言葉を
使った事に疑問を持つかもしれません。
いや、きっと持ったでしょう・・・
そうです・・・僕には心がありません。
でも意味なら知っているのです。
感じる事はできませんが、僕には
あらゆる思考パターンがあるんです。
実は言うと、僕は出発の直前、
変な違和感を感じました。
あらゆるデータを分析した結果、
前日に父さんの弟のクリスが
僕のプログラムを少し
変えてくれた事がわかりました。
正直言って僕は、その行為に感謝しているんです。
あれが無かったら僕は、とうに
死んで(バグって)いたでしょう・・・
つづく
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