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連続ネット小説 リトル・ジョン(全30話)
第1話ウイルス
第2話お土産

「僕は人間が作りたかったんじゃない・・・
ましてや神になりたかったんでもない・・・
ただ、僕は彼と話がしたかったんだ!
だから僕は・・・僕は・・・」
ある薄気味悪い取調室のような一室で
一人の少年がむなしく主張していた。
・・・

僕はコンピュータ・ウイルス作り専門集団
アメリカン・サイバー・ギャング(ACG)
の会長、ジョン・マイケルソン、10才だ。
集団と言っても僕と弟のクリスだけだが・・・

そして、とうとう僕は・・・
すごいウイルスを作ってしまった。
思考を持つウイルス「リトル・ジョン」だ。
思考を持つと言っても、たいしたモノじゃない・・・
ただ気のむくまま移動できるというだけだ。
たとえば、僕がコイツを誰かに送る・・・
すると「リトル・ジョン」はソイツのコンピュータ
にある期間だけ潜伏し、ソイツのアドレス帳を見て
好きな所に行くという具合だ。
そうやって「リトル・ジョン」に旅をさせて行くのだ。
被害は全く無い・・・訳じゃないけど・・・
ちょっとハードディスクにお邪魔するだけだ。
別に悪さはしないし、そもそも気がつかないと思う。
「かわいい子には旅をさせろ!」じゃないけど、
僕は「リトル・ジョン」に世界中のコンピュータを
旅させてやりたかった・・・ただそれだけだ・・・
つづく

彼は1ヶ月後に帰ってきた。
お土産機能のおかげで、土産話(他人のメール)
をドッチャリ持って帰ってきてくれた。
数週間後、初成功に気をよくした僕は
「リトル・ジョン」に自動メール機能を付け足した。
お土産は旅先から送った方が楽でしょ?
再び僕は彼をネットに放った・・・
そして彼は毎日、僕にお土産メールをくれた。
そんなこんなで、僕のアイデアは
どんどんエスカレートしていった。

5回目の実験旅行を成功させた時、
弟が僕に提案した。
「兄さん、「リトル・ジョン」を改良するのは
僕たちだけなんて、もったいないよ・・・
世界中の人に改良してもらったらどうだい?」
「なるほど・・・しかしクリス・・・
彼はウイルスだ。誰にも知られないうちに
そういう事ができるなら、ベストなんだが・・・」
「・・・兄さん、大丈夫だよ・・・
彼にメールを送らせるのさ。世界中の人にね・・・
誰もウイルスからメールが来たなんて思わないよ。」
「なるほど・・・
それで世界中のあらゆる言語パターンを
収集し、データを他人のコンピュータに分散して
保管しておく・・・そして大型コンピュータに
進入して少しずつ解析していけば・・・
いや、駄目だ!そんな桁違いな量のデータ・・・
想像しただけでも膨大な量になる・・・無理だ!」
つづく
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