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コスモスは階段を登っていた。 階段を登りきったその世界で コスモスはお姫様だった。王子様は夏美。 ふたりはこの世界で結婚して幸せに暮らしているらしい。 教会の中に作られた花壇で ふたりは胸に十字架を刺したまま手をつないで眠っている。 窓からピンク色の光がふたりを照らしていた。 「夢ならこのままがいい・・」 「現実ならこのまま消えたい・・」 対極するふたつの感情が消えては浮かび 浮かんでは消えてゆく。 夢が現実なら夢なんかいらない。 現実が夢なら現実なんていらない。 夢でも現実でも生きることを否定したい。 死ぬことを否定したい。 コスモスは夢の中で 現実からもっとも遠い扉を開けようとしていた。 つづく |
扉を開けて教会を出たふたりは海に続く一本道に出た。 ふたりの背中には黒と白。 ふたつの翼が生え揃っていた。 その先ではカメの甲羅をしょった神様が 立ちふさがりふたりを誘っていた。 ふたりが宙に浮いたまま神様の前に立つと 突然神様が三つ編み姿の女性に変身した。 その姿は半年前に結婚した腹違いの姉。 あや姉さんそっくりだった。 完全にイニシアチブを握られたふたりは 硬直したまま翼をばたつかせた。 変身した神様は少しほくそ笑むと洗礼の言葉を呟きだした。 花だ花が咲くだけ。愛だ愛が咲くだけ。 空だ空が落ちるだけ。神だ神が落ちるだけ。 色だ色が褪せるだけ。夢だ夢が褪せるだけ。 人だ人がいるだけ。誕生。死があるだけ 洗礼の儀式が終わると 天上空から降り注いだ七色の雷がふたりを襲った。 つづく |
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名前 | 朝霧コスモス | 性別 | 不明 | この小説はフィクションです。この小説に出てくる個人名、団体名、企業名などはすべて架空のモノです。同じような名前が実在したとしても一切関係ありません。 |
年齢 | 13才 | 職業 | 中学2年生 | |
星座 | 水瓶座 | 血液型 | 不明 |