モドルススム
連続ネット小説 ポップの扉
第9話微睡む絆
第10話再生

コスモスは階段を登っていた。
階段を登りきったその世界で
コスモスはお姫様だった。王子様は夏美。
ふたりはこの世界で結婚して幸せに暮らしているらしい。
教会の中に作られた花壇で
ふたりは胸に十字架を刺したまま手をつないで眠っている。
窓からピンク色の光がふたりを照らしていた。

「夢ならこのままがいい・・」
「現実ならこのまま消えたい・・」
対極するふたつの感情が消えては浮かび
浮かんでは消えてゆく。

夢が現実なら夢なんかいらない。
現実が夢なら現実なんていらない。
夢でも現実でも生きることを否定したい。
死ぬことを否定したい。


コスモスは夢の中で
現実からもっとも遠い扉を開けようとしていた。
つづく

扉を開けて教会を出たふたりは海に続く一本道に出た。
ふたりの背中には黒と白。
ふたつの翼が生え揃っていた。
その先ではカメの甲羅をしょった神様が
立ちふさがりふたりを誘っていた。
ふたりが宙に浮いたまま神様の前に立つと
突然神様が三つ編み姿の女性に変身した。
その姿は半年前に結婚した腹違いの姉。
あや姉さんそっくりだった。
完全にイニシアチブを握られたふたりは
硬直したまま翼をばたつかせた。
変身した神様は少しほくそ笑むと洗礼の言葉を呟きだした。

花だ花が咲くだけ。愛だ愛が咲くだけ。
空だ空が落ちるだけ。神だ神が落ちるだけ。
色だ色が褪せるだけ。夢だ夢が褪せるだけ。
人だ人がいるだけ。誕生。
死があるだけ

洗礼の儀式が終わると
天上空から降り注いだ七色の雷がふたりを襲った。
つづく
この小説の主人公
お断り
名前 朝霧コスモス 性別 不明 この小説はフィクションです。この小説に出てくる個人名、団体名、企業名などはすべて架空のモノです。同じような名前が実在したとしても一切関係ありません。
年齢 13才 職業 中学2年生
星座 水瓶座 血液型 不明
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