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相手の名はコルネリア。サリオンの母の血を引く、騎士団長の娘。
青年王とは従兄妹にあたる。
つまり、血筋で言えば奴隷の少女と同じ血統なのだ。

しかし自分の本当の身分を知らない奴隷の娘は
最愛の人から直々に、最愛の人と自分以外の者との結婚披露宴で二人を祝福する舞を踊って欲しいと頼まれてしまった。

奴隷の娘は空しい気持ちに襲われた。
空しかったが、だが、それで王が幸せになれるのなら、
精一杯二人を祝福する踊りを踊ろうと思った。
自分は悪魔。自らの祝福を祈るなど、過ぎたことだと。
これが自分の運命なのだと。

そして披露宴の当日。
会場にはまだ花嫁の顔も、奴隷の娘の顔も知らない重鎮たちが一堂に会していた。
そしてその披露宴の場。玉座の上と下で、二人の娘がついに顔を合わせる。
騎士団長の娘と、奴隷の娘。 娘たちがお互いに顔を合わせるのはこれが初めてのことだ。

娘たちは二人とも息をのんだ。
なにしろ、二人の顔は瓜二つなのである。

(血統も血脈も同じなのだ。似ているのは当然だ。
深読みするならば、奴隷の娘への恋心を隠した王が、彼女に似た婚約者を選んだとも考えられる)

会場の中の誰かが叫んだ。ほとんど怒声のようなものだった。
「魔女だ! 魔女が王と姫の中を裂こうと現れたのだ!
魔女が姫様の姿を借り出て、二人の仲を引き裂こうとしているに違いない!」

奴隷の娘が生まれつき胸に悪魔の烙印を持っていることを知っている王は、 奴隷の娘をかばおうとするが、ならば悪魔の烙印がないか取り調べろと重鎮たちは言った。

(中世ヨーロッパの魔女狩りに見られるように、魔女は体に悪魔の痣を持つという伝承は世界中に見られる)

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