娘たちは二人とも息をのんだ。
なにしろ、二人の顔は瓜二つなのである。
(血統も血脈も同じなのだ。似ているのは当然だ。
深読みするならば、奴隷の娘への恋心を隠した王が、彼女に似た婚約者を選んだとも考えられる)
会場の中の誰かが叫んだ。ほとんど怒声のようなものだった。
「魔女だ! 魔女が王と姫の中を裂こうと現れたのだ!
魔女が姫様の姿を借り出て、二人の仲を引き裂こうとしているに違いない!」
奴隷の娘が生まれつき胸に悪魔の烙印を持っていることを知っている王は、
奴隷の娘をかばおうとするが、ならば悪魔の烙印がないか取り調べろと重鎮たちは言った。
(中世ヨーロッパの魔女狩りに見られるように、魔女は体に悪魔の痣を持つという伝承は世界中に見られる)