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このままでは長年魔女を傍に召していたとして、王の立場が危うくなってしまう。
そう思った奴隷の娘は意を決し、自ら重鎮たちの前に進み出て言った。

「いかにも、私は悪魔です。
姫様の姿を借りて王を惑わし、誘惑するつもりでした。こうなってはいたし方ありません。
私もいっぱしの悪魔なれば、神権帝王たるサリオン様に退治されることで冥府への土産としたいと思います」

青年王は奴隷の娘を助けられないことに歯噛みしながら、彼女の悪魔の烙印のある胸の部分を黄金の槍で貫いた。
奴隷の娘はふらつきながら、しかし倒れず、やがてゆっくりと踊りはじめた。

血を流しながら、絶命する最後の時まで王と王国を祝福する舞を踊る娘。 何度も。何度でも。その体から全ての血が流れ出るまでずっと……。

奴隷の娘の壮絶な最後の踊りを見た会場の重鎮たちは、 彼女の命を賭してまで王の幸せを願う姿に感銘を受け、 彼女は悪魔などではない、女神の化身だと後の世に語り継いだ。

奴隷の娘の名はイシス。
今でこそ有名な、古代エジプトの呪術と祝福の女神である。

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