・・・前作を聞いて、ほとんどの人はこう思ったに違いない。

「終わった…」

実際、今も続く、通好みの連中が言うに違いない、
「もう、オアシスは駄目だよ。」

今回も最初は私自身、そうだった。
ヒンドゥータイム。
もう、誰が加入しても、奴らのクオリティは、戻ってこない。
私はそう思って、いた。

今のオフィスのBGMは、洋楽の有線放送である。
ラップもかかるし、popsもかかるし、モチロンROCKもかかる。
ある昼下がり、それは眠かった。日頃の不摂生が物を言って、
とにかくどうしても、まぶたとまぶたが仲良くなってしまう。

その時だった。
それはなんか聞き覚えのある曲だった。
リアムの声で思い出した。
(めずらしいな、ヒンドゥータイムかよ。)
昔のオアシスの曲はかかっても、やはり、有線の世界でも最近の曲がかかるのは
かなり珍しい。
珍しいから聞き入ってしまったのか、
やはり、聞き入らせる要素が閉じていた私の目をこじ開けたのか、
思っていたより、良かったのだ。

昔の誰もが一瞬でわかる良さ、ではない。
この曲の、つかみ所のなさが、このバンドなりの成長の証だ。
ただ、それがどうなっていくのか?

前作からの彼らの評価は下がりつづけている。
まだまだ、嘲笑している連中も居るし、
「ガンズとオアシスはもうどうしようもないな。」
ミーやん自身もそう思っていた。

今年のサマソニに、ガンズも来た。
ライブ前は、ハシモトシンヤ化してるアクセルが、太った体を揺らせながら、
もたもたと動き回る様子を想像して、なんか複雑な気持ちだったが、
彼らは見事に復活した。ココ十年ちかく、叩かれつづけながら、
アクセルの沈黙は、成功だったと思う。
時代に上手く乗っていくバンドも多い、レディヘとか、ブラーとか、レッチリ、ジョンスペ。
それに比べて、ガンズやオアシスはそういうことが器用なバンドではない。
確かにイイ曲を書いているが、時代を変える音楽ではなく、時代が生んだ、音楽なのだ。
キツイ言い方だが、音楽に思想がない、のである。
その時代が終わってしまうと、それは結果的にそのバンドの終焉を意味する。
アクセルはそれを知っていたのだ。
色々、バカな発言の多い男だが、天性の才能なのかもしれない。
もう、40歳を向かえ、彼は彼なりにその時代と付き合っていく決心を固めたのだろう。
彼自身、いまさら、もう、時代の最先端に立つことを本心では望んでいないだろう。

オアシスは、それとは違う道を選択している。
自分たちの音楽に思想を持たせようと考えているようだ。
アンディ・ベルの参加は、確かにこのバンドに先天的に欠けていた思想を
芽生えさせることには成功している。

ただ、それがどうなっていくのか?
もう一度、本気で時代の最先端に立とう、と思っているのだろうか?

今から次の作品がとても楽しみである。