試聴した段階で、寒気が走る。
このSYSTEM OF A DOWN/TOXICITYはまさにそんなアルバムだった。
クオリティ的にはSLIPKNOTなどは言うに及ばず、今年の最高傑作の一つである。
よく、ラウドロックをここまで育ててくれた物だ。(^^;
ただ、いきなり1曲目の途中で”清春”氏が登場するのには笑えた。(マジで似てます。)

去年から、A.D.F.に代表されるように、イスラム系アジアンの活躍が目覚ましい。
アメリカ人の知り合いが多いといっても、所詮はせいぜいコロラドとか、アイダホだの、
(IOWAにもいる)その程度の人種しか知らないミーやんは危うく知らなかったことだが、
アメリカにはイスラム系アジアンが多いらしい。
都会に行けば立派にそういうコミュニティがあり、彼らも、そんな中で育ったらしい。
だから、ライブの時は民族服に身をつつみ、冒頭にはvo.マルキアンがその裾を
ひらひらさせながらぐるぐる回る。一見あやしそうだが、その姿は鳥肌が立つくらいカッコイイ。
ああ、カッコエエ!!!
このライブは是非、自分でも味わってみたい物だ。
東の東の端のアジアンである私にはうらやましくてならないことだが、
さすがはイスラム教、キリスト教とあそこまで争えただけあって、その文化の放出力、
すごいものがある。去年始めて聞いたA.D.F.にも感じたことだが、どこか懐かしい旋律は一応?同じ人種の奏でる音だから、なのだろうか。
ただ、アメリカ人の友達が言うには、彼らもその気持ちはわかると、(この友人の場合、未だに日本語のほうが上手いようだが…)いうから、彼らの音がかなり普遍性を持った音である、ということが出きる。
確かに体力が続く限り、モッシュできるだけの音塊を、このバンドは持っている。
この間開かれた彼らのライブでは機動隊が出動するほどの騒ぎだったようだ。
SLIPKNOTなみに、音楽的体力のすごさは、いや、CDでそれが味わえる、といった
時点で、SLIPKNOTよりすごいのかもしれない。
去年のUKにおけるA.D.F.、そして、今年のUSにおける、このSYSTEM OF A DOWN
の大ヒットはロックの世界の前進であろう。同じアジアンとして非常にうれしく思う。

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と、例のテロ事件が起こるまではこの辺で終わったであろう。
しかし、それは起こってしまった。
A.D.F.や、SYSTEM OF A DOWNが文化の上で、論理的に、平和的にやろうとしていたことを、あのテロリスト集団がまさに、この地上で、実際実行してしまったのだ。
それに続く戦争。
思えば、何故か今年を代表するアルバムは重いものが多い。
それも、あのテロ以前に発表されたアルバムはかなり重い印象を受ける。
レディヘもそうだったし、TOOLも然り。MUSEなども引き裂くような絶叫を上げていた。
彼らのような現在においてもっともスルドイ観察眼を有するクリエイターが2001年の人間の心の中を覗き見た時、
やはり、あのような予知的な音になったのだろうか?

アメリカという国の欠如した部分は、心有るアーティストが何度もその作品の中で訴えていた。
R.E.M.のオートマチックフォーザピープルなんてその代表といえる作品だが、
非常にリベラルなその彼らR.E.M.のフォロワーとして出てきたバンドが重きを成したこの90年代において、インディーズの世界では、マイノリティの出現はピクシーズを代表として、すでに普通のことになりつつあった。
今ではSLIPKNOTの頁でも書いたが、金髪碧眼の持ち主のほうが、珍しい、そんなUSロックシーンである。
満を持して、SYSTEM OF A DOWN、ホントにちょうどイイ時期にセカンドを出したものだ。
と感服し、早く日本に来ないかなぁ。とか思ってたその矢先に、あのテロである。
彼ら、あのハリウッドの象徴的な風景をジャケにしていたが、よく、あのツインタワーを、ジャケにしてなくてよかった。
不幸中の幸い、かもしれない。
しかし、彼らの音楽が(特にA.D.F.などはアフガニスタン人だし…かなり先鋭的な意見を持ってたし…)あのテロによって、その将来性を閉ざされないか、それが今の一番の心配である。