レディオヘッド。
突然だが、このバンドの色、といえば白色。
純白である。
ほとんどのバンドの色、といえば黒であろう。特にメタル勢は黒のよさを極めた奴らが多い。
なかには、個性的なバンドも居て、ストーンテンプルパイロッツなどは私から見ると、
金色に思える。(^^; 全盛期のオアシスは紺だった。赤はガービッジ。
そして緑といえばR.E.M.、”透明バンド”とか言っているが、トラヴィス。
普通、人間というものはみんな個性を持っていて、何かすると、その人の色が出てしまうものである。バンドなんかはまさにそうで、白いバンド、というのはうそ臭い、と思っていた。
それが、このバンドの登場で随分私の意識も変えられた。
KID Aのジャケ。
高くそそり立つ氷山に、それを痛感させられたのだ。
あのアルバムは、まさに問題作だった。”ロックを捨てた”とまで言い捨てる連れまでいて、明らかに旧世代のファンは離れていった、ように思えた。。
しかし、しばらくして、彼らはもどって来た。それぞれのタイミングでは合ったが、
「ヤッパリ聴きなおすと、イイよ」
とか言いながら。
その上、10代の新しいファン層を彼らは獲得している。
2.3年前のブラーの復活と同じ位に個人的にこの現象は奇跡的なことであろうと思っている.。
他の色のバンドが、ここまで、一気に方向転換してしまうと、やはり、別の色が混じってしまい、
醜いことになってしまうことがおおい。最近ではオアシスがそうではなかったか。あの美しい紺は、今はにごってしまっている。
では、なぜ、彼らは成功したのか?
それは、何らかの色を持ったほかのバンドではなく、
彼らが白色だったから、と言えないだろうか。

まず、KID A以降の彼らの音は物凄く清潔感がある。彼らの音のどこを切っても血なんか出て来そうになく、なんか、「名水百選の水」がでてきそうなのだ。
彼らの音楽からほとばしるこの「名水百選の水」は、なんだか、とても精神や身体にヨサソウである。そんなバンドも珍しい。そうなると、厭世的なバンド、と思われがちだが、このバンドのメンバーは、政治的にも戦うところはチャンと戦っている。ライヴもチャンと開き、バンドとしても、世間に開かれた生き方をしている。
つまり、生きることに手を抜いていない。
のである。
それなのに、純白を保ちつづけている。
これは本当にすばらしいことである。個人的には憧れてしまう。
なぜ、レディヘをスキなのか?
といわれると、
「トム(またはバンドのメンバー)の人格が素晴らしい、尊敬できる」
という言葉がかなりの確率で出てくる。
つまり、彼らの生きかた自体もかなりのリスペクトを得ているのだ。
”こう言う大人になりたい”または”こう言う生き方をしてみたい”
みんながそう思う、それがレディオヘッドというバンドをとおして、我々は自分がいきるべき道、
を見ているのかもしれない。

たしかに、上昇意識、というものも確かに人間である以上、必要かもしれない。
しかし、それがあるからこそ、テロや、戦争も起こる。平和な世の中でも、やはり、ひずみがあって、その谷間に落ちこんだ人達・・・
そして、傷ついてしまった地球。
それでいいのか?
一見幸せに見えるこの生活だけど、「それでいいのか?」といわれて、
「いい」、と断言できる人は少ない。そう言う人のための音楽である。

これは他のバンドには期待できないことである。
強く、正しく、美しく。それでカッコイイのだから、
まさにこのバンドはスーパーバンドである。

一つ、欠点を上げるとするなら、あまりに純白であるために、本来の人間の姿からはかけ離れた音楽でもある。
彼らの音楽がわからない、といっている人もいるのもわかる。
そう言う方に・・・
TOOLというバンドを先に挙げた。
あのバンドは人間のあるがままの姿を見事に音にしている。
しかし、このレディオヘッドというバンドは、人間のあるべき姿を見事に音にしている。
レディヘのアムニーアジック、TOOLのラタナラスは、このひずんだ地球にいきる、我々自身への
回答…なのだ。
面白いことに、この2枚のアルバム、例のテロ事件の前に出されている。
システムオブザダウンの頁でも書くと思うが、
こう言うアルバムがあの事件の前に出された、ということ・・・
音楽が世相を予知した、とでも言ってイイだろうか。
2001年はそう言う意味でも面白い年だった。
とにかく、今、この時代に生きているなら、是非ともこの2枚のアルバムは聞いてほしい。