creed.
鉄の要塞、と言うイメージがある。
前作のヒューマンクレイをきいた時も、崩れ落ちていく砂の人形とは対照的な
工業的で、規則正しい、人工的、そういうイメージを持ったものだ。
だから、今回のアルバムは、今年はやりの、そう、incubusがやったような
ちょっと、有機的な癒し系で責めてくるのかと思っていた。

ところがどっこい、彼らは極めてしまった。
工業的で、規則正しい、人工的な、イメージ、である。
確かにコーラスワークは、前作よりも多用され、アルペジオなんかも入ったりもしている。
しかし、パソコンでも、ロボットでも、2.3年前のとは比べ物にならないくらい、なんでも出来るようになっている。彼らの変化もその程度のものだ。ファーストからセカンドのレディヘや、ミューズ、少し前の話だが、ブラーのような、アーティスト名を変えたほうがいい、てな変化ではない。
また、ライバルと目されているincubusのような、長期戦に臨むための準備期間としての変化でもない。
つまり、今を戦うための変化なのだ。

リンプとも、仲が悪い、という事実がある通り、彼らは最近、少々ポリシーが違っても、仲良しこよしで、みんなでフェスやろう、って考え方で動いているわけではない。
いやな奴には、イヤだ、とはっきりいうんだろうし、何よりも自信があるんだろう。
(こんな奴だからケンカする意味がある。
私自身、自信がない奴とケンカはしたくない。影で色々言われておしまいになってしまう。)
この自信、というのがかけているバンドが、最近多い。
戦争もあるし、テロもあったし、なんか景気も悪いし、自信なんか持ってられない、って話もあるようで、incubus(私、本来なら、昔でいえば、Zeppelinと、ディープパープルの時代のようにCREEDとincubusって感じになって欲しかった。どちらかといえば、Zeppelinはincubus、ディープパープルはCREED、って感じだろうけど。)
、lit、クランベリーズなどは、かなり臆病な路線を選択している。
たしかにまぁ、時代背景として、景気のいい曲はかけそうにない。
けれども、この2001年のタイミングにふさわしいアルバムとはいえなかった。

しかし、CREEDはやってくれた。
このアルバムも明るい、って訳ではない。
ただ、時代を照らす、という、灯台の役目を見事に果したまでのことだ。
灯台は、、絶対に動いてもらっては困る。時代の波風くらいで勝手にライトの色を変えたり、
妙な音を出しちゃってくれたりしても困る。
いつも変わらないこと。
ただ、劣化しないための変化、ならOKだ。
rockという音楽が人の耳に届くようになってから、いつの時代にもこういうバンドは存在していたのだが、たしかに90年代以降はそういう確固たる位置に立つバンドはいなかった。ニルバーナ、r.e.m.、カウンティングクロース、live、フーティアンドザブローフィッシュ、ブッシュ、そしてパールジャム。アラニス・モリセットも入れても良いだろう。
みんな、逃げていた。
時代のイコンになること、カートの失敗に対する反省と、恐怖がそうさせていたのだろう。
それが、オーティエンスに伝わらないわけがない。
アーティスト自体のそういう態度が、ロック自体の地盤沈下を招いていたと考える。

そんな中、ついに出て来てくれた。
CREED。チャートで馬鹿売れしてる理由。
みんな人生の頼りになる音楽を求めている。
CREEDは見事にその頼みの綱、になった。
これからも、頑張って欲しい、と思う。

特に今年は、カートを知らないのではないだろうか、という世代がぞくぞく出て来ている。
昨年から今年のA.T.D.I.のゴタゴタでショックを受けてはいたが、ついに新しい時代がやってきたんだなぁ。と、ひとり、酒を煽りながら確信するミーやんであった。