佐藤正人の“音楽セミナー”
第3回 「アンサンブルについて2」
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1 フルート・アンサンブル
(1)個々の演奏技術の重要性
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アンサンブルといえども、個人の演奏技術は大切です。
アンサンブルでは各パート一人で演奏することから、自分のパートは責任を持って確実に演奏しなければなりません。
このことは大変重要であり、自分のパートを完全にマスターすることが基本です。
基礎的な読譜と演奏技術は、つねに教則本、練習曲などで、磨きましょう。
フルートの基礎技術は、H.アルテスの・"ぢAltes(アルテス)・#ぢ第1〜2巻程度のテクニックは欲しいものです。
そのほかにG.ガルボルディーの・"ぢEtudes Mignonne,op.131・#ぢ,
E.ケーラーの15easy Exercise op.33Book1のマスターをお薦めします。
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(2)楽器の特性を知る
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フルートを演奏するに際して楽器の持っている性格を覚え、常に注意しておくことがポイントです。
一般的に、
・ フルートの低音域は音程が下がりやすく、発音がにぶい。また、音量も出ない。
・ 高音域は音程が上ずりやすい。指使い(フィンガリング)も困難。
・ 中音域のC♯は音色がくすみ、音程は上ずる。
このような音、音域に入った際には、すぐにコントロールします。
・低音域の息は上向きに、高音域の息は下向きに吹くと音程を正常に修正できます。
フルートの音程は吹き込む息の角度によって音程が変化するのです。
ffで強く吹き込むと音程は上がり、p,pp,になると極端に下がります。
また、cresc.で音量を増していくと音程は上がり、decresc.で音量を減らしていくと音程は下がる傾向です。
アンサンブルの際は、個々がポイントになります。
各音域に於ける音の特性を知り、音程、音色を修正、調整することが重要なアンサンブルテクニックです。
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(3)レパートリー
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作曲者/編曲者 |
曲名 編成 |
〜バロック時代〜 |
ボワモルティエ |
3本のフルートのための6つのソナタop.7 |
ボワモルティエ |
5本のフルートのための6つの協奏曲op.15 |
ドルネル |
3本のフルートのための2つのソナタ |
クヴァンツ |
3本のフルートのためのソナタ ニ長調 |
〜古典派時代〜 |
コスタンツォ |
3本のフルートのための三重奏曲 |
ドゥヴィエンヌ |
3本のフルートのための6つの三重奏曲 |
ドゥセック |
3本のフルートための夜想曲 |
ホフマイスター |
3本のフルートのための三重奏曲 |
フック |
3本のフルートのための6つの三重奏曲 |
ヴェイデマン |
3本のフルートのためのソナタ |
カール |
4本のフルートのための四重奏曲ト長調 |
グラーフ |
4本のフルートのためのノットゥルノニ長調(ノットゥルノ=夜想曲) |
〜ロマン派時代〜 |
アンドレ |
3本のフルートのためのオリジナルトリオop.27ト長調 |
ベルビギエ |
3本のフルートのための三重奏曲op51. |
フュルステナウ |
3本のフルートのためのグランドトリオop.118へ長調 |
フュルステナウ |
3本のフルートのための三重奏曲op14. |
ガブリエルスキー |
3本のフルートのためのグランドトリオコンセルタントop。31ト長調 |
ジアネルラ |
3本のフルートのための2つの三重奏曲op27. |
クーラウ |
3本のフルートのための3つの三重奏曲op.13 |
クーラウ |
3本のフルートのための3つの三重奏曲op.86 |
クーラウ |
3本のフルートのためのグランドトリオop.90ロ短調 |
クロンマー |
3本のフルートのための三重奏曲op.24ト長調 |
クロンマー |
3本のフルートのための三重奏曲op.30ニ長調 |
クロンマー |
3本のフルートのための三重奏曲op.53ハ長調 |
トゥルー |
3本のフルートのための三重奏曲op.65 |
トゥルー |
3本のフルートのための三重奏曲op.24 |
トゥルー |
3本のフルートのための三重奏曲op.51 |
ワルキエ |
3本のフルートのための3つのグランドトリオop.93 |
ワルキエ |
3本のフルートのためのグランドトリオコンセルタントop.2へ長調 |
ライヒャ |
3本のフルートのための三重奏曲op.26ニ長調 |
フュルステナウ |
4本のフルートのためのグランドカルテットop.88へ長調 |
ガブリエルスキー |
4本のフルートのためのグランドカルテットop.53イ長調 |
ジアネルラ |
4本のフルートのためのグランドカルテットop.52ト長調 |
ケーラー |
4本のフルートのためのグランドカルテットop.92ニ長調 |
クーラウ |
4本のフルートのためのグランドカルテットop.103ホ短調 |
ライヒャ |
4本のフルートのための四重奏曲「シンフォニコ」op.12ニ長調 |
シュナイダー |
4本のフルートのための第1グランドカルテットop.68変ホ長調 |
シュナイダー |
4本のフルートのための第2グランドカルテットop.72へ長調 |
スッスマン |
4本のフルートのための四重奏曲op.27ト長調 |
〜近代・現代〜 |
アルビージ |
3本のフルートのための小組曲第1番 |
ロレンツォ |
3人のヴィルトゥオーゾのための奇想曲op.31 |
トマジ |
3本のフルートのための3つのパストラール |
チェレプニン |
3本のフルートのための三重奏曲op.59 |
ベルトミュー |
4本のフルートのための「アルカディエ」 |
ベルトミュー |
4本のフルートのための「猫」(A.Flを含む) |
デポルトゥ |
4本のフルートのための「イタリア組曲」 |
★お薦めレパートリー★ |
作曲者/編曲者 |
曲名 |
出版社 |
ボザ E.Bozza |
4本のフルートのための山の夏の日 JOUR D'ETE A LA MONTAGNE |
ALPHONSE LEDUC |
デュボワ P.M.Dubois |
フルート四重奏曲 QUATUOR pour Flutes |
ALPHONSE LEDUC |
アルビージ/ラウベ A.Albisi |
小組曲 第2番 MINIATURE SUITE NO.2 |
CUNDY BETTONEY |
カステレード J.Casterede |
フルート吹きの休日 FLUTES EN VACANCES |
ALPHONSE LEDUC |
ロレンツォ L.d.Lorenzo |
シンフォニエッタ SINFONIETTA |
C.F.PETERS |
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2 クラリネット・アンサンブル
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クラリネット・アンサンブルは、管楽器のアンサンブルの中でも身近で、また効果の高い演奏が可能な形態です。
クラリネットという楽器は音域が広いのですが、その広い音域が比較的自由に使えます。
弦楽器が音域の高い、低いに制約されることなく使えるのに似ています。
クラリネットで現在使われている楽器は次の通りです。
A♭クラリネット、E♭クラリネット、Dクラリネット、Cクラリネット、
B♭クラリネット、Aクラリネット、Fバセット・ホルン、E♭アルト・クラリネット、B♭バス・クラリネット、
E♭コントラ・アルト・クラリネット、B♭コントラ・バス・クラリネット
これだけたくさんある種類のうち、吹奏楽やアンサンブルでは太字の楽器が一般的に使われます。
他の楽器は特別の編成の吹奏楽やオーケストラ、またこれらを用いたアンサンブル、独奏などに使われます。
ですから、ごく常識的には吹奏楽の世界を考えているならば、太字の楽器のことがわかっていればよいということになります。
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(1)編成
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クラリネット・アンサンブルの形態には通常次のようなものが多く組まれます。
<三重奏>
●B♭クラリネット 3
○B♭クラリネット 2 B♭バス・クラリネット 1
<四重奏>
●B♭クラリネット 4
●B♭クラリネット 2 E♭アルト・クラリネット B♭バス・クラリネット
●B♭クラリネット 3 B♭バス・クラリネット
○E♭クラリネット 1 B♭クラリネット 2 B♭バス・クラリネット 1
○E♭クラリネット B♭クラリネット E♭アルト B♭バス
<五重奏>
●B♭クラリネット 3 E♭アルト・クラリネット B♭バス・クラリネット
●B♭クラリネット 4 B♭バス・クラリネット
<六重奏>
●E♭クラリネット 1 B♭クラリネット 3
E♭アルト・クラリネット 1 B♭バス・クラリネット 1
※これ以上はクワイア形式になり、六重奏にコントラバス・クラリネットが加わったり、
B♭・E♭アルト、B♭バスを複数で使うようになったりします。
一般的に普及しているものは●のものです。
これらの形態は楽譜も多く出版されていて、編成にも無理がないので気軽にグループを組むことができ、
とても手軽にアンサンブルを楽しむことができます。
吹奏楽のでは、クラリネット・セクションに大勢の人がいるわけですが、
このような小さいグループをたくさん組ませて活動したらどうでしょうか。
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(2)クラリネット・アンサンブルのテクニック
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クラリネット・アンサンブルは同属の楽器で音色も高い方から低い方まで統一されているので、音色を混ぜる苦労をしなくてすみます。
また音量もだいたい似かよっていますのでバランスも大変とりやすいのですが、それだけにひと通り音が出てしまうと、
それだけでよしとしてしまうきらいもなくありません。
アンサンブルを行うには一人一人が正しいピッチ、美しい音色を出す奏法、正しい運指法を用いることが第一の条件となります。
お互いのパートの動きを理解してそれに対応する、これがアンサンブルの本当の面白さにつながるのです。
また、各々のパート間のリズムの関係、アーティキュレイション、イントネーションを統一しなくてはいけません。
こういった問題を様々な場合に応じて整理していく作業がアンサンブルのまとめのひとつの基礎技法になります。
主旋律と伴奏部はっきり区別されているような曲では、伴奏部を少し小さめに押さえると主旋律が引き立ちますし、
また低い音のパートは同じ音量だとどうしても高い音のパートに負けますから相当しっかり音を出さないといけません。
バス・クラリネットは全体に大きめに吹くと意識していたほうがよく、アルト・クラリネットも同様に考えられます。
それぞれのパートの役割を理解するところからアンサンブルは始まるのです。
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(3)レパートリー
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作曲者/編曲者 |
曲名 |
編成 |
〜三重奏〜 |
オスタリング |
アルエット |
3B♭Cl. |
ウォーカー |
クラリネット三重奏変ロ長調 |
3B♭Cl. |
モーツァルト/オストリング |
メヌエットとトリオ |
3B♭Cl.またはE♭Cl.2B♭Cl. |
ヴォクスマン |
3本のクラリネットのための室内楽曲集第1巻および第2巻 |
3B♭Cl. |
エンドレッセン |
木管楽器のお祭り |
3B♭Cl. |
ウォーカー |
ときめき |
3B♭Cl. |
ブーフィル |
3本のクラリネット三重奏第1番 |
3B♭Cl. |
プート |
クラリネット三重奏曲(テルツェット) |
3B♭Cl. |
〜四重奏〜 |
カプラン |
昔話 |
4B♭Cl. |
ブラダーグ/ヴォクスマン |
ボヘミア組曲 |
4B♭Cl. |
グランドマン |
バガデル |
4B♭Cl. |
フランカイザー |
踊る妖精 |
4B♭Cl.またはE♭Cl.3B♭Cl.またはE♭Cl.2B♭Cl.B♭B.Cl |
フランカイザー |
粉雪の舞 |
4B♭Cl.またはE♭Cl.3B♭Cl.またはE♭Cl.2B♭Cl.B♭B.Cl |
フランカイザー |
秋によせて |
4B♭Cl.または2B♭Cl.E♭A.Cl.B♭B.Cl |
ベートーヴェン/オストリング |
スケルツォとトリオ |
3B♭Cl.B♭B.Cl、または2B♭Cl.E♭A.Cl.B♭B.Cl |
ドビュッシー/J.Thilde |
ダンス |
3B♭Cl.B♭B.Cl、または 4B♭Cl |
ジェイコブ |
4本のクラリネットのための「スケルツェット、パバーヌとゴパック」 |
4B♭Cl. |
ウィルソン |
4本のクラリネットのための「パガニーニの主題による変奏曲」 |
4B♭Cl. |
ハーヴェイ |
4本のクラリネットのための「ファンタジア」 |
4B♭Cl. |
永井彰 |
くまさん変奏曲 |
3B♭Cl.B♭B.Cl. |
ベネット |
クラリネット四重奏のための「アルゼンチン」 |
2B♭Cl.A.Cl.B.Cl. |
デュボワ |
クラリネット四重奏曲 |
4B♭Cl. |
トマジ |
◎3つのディベルティメント |
4B♭Cl. |
磯崎敦博 |
兎率の憂い |
4B♭Cl. |
三浦真理 |
クラリネット4重奏のための「クローバー・ファンタジー」 |
3B♭Cl.B.Cl. |
ウール |
ディベルティメント |
3B♭Cl.B.Cl. |
〜五重奏〜 |
ベートーヴェン/ジョンソン |
アダージョ・カンタービレ |
3B♭Cl.E♭A.Cl.B♭B.Cl、または4B♭Cl.B♭B.Cl |
モーツァルト/ジョンソン |
メヌエット〜セレナーデ第1番より |
3B♭Cl.E♭A.Cl.B♭B.Cl、または4B♭Cl.B♭B.Cl |
マクダエル/ジョンソン |
森のスケッチ |
3B♭Cl.E♭A.Cl.B♭B.Cl、または4B♭Cl.B♭B.Cl |
J.S.バッハ/森田一浩 |
シャコンヌ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV1004」より |
4B♭Cl.B.Cl. |
〜六重奏〜 |
ボザ |
クラリネット・アンサンブルのための「ほたる」 |
E♭Cl.2B♭Cl.A.Cl.B.Cl. C.B.Cl. |
ルーシュール |
クラリネット六重奏のための「家族」 |
E♭Cl.2B♭Cl.A.Cl.B.Cl. C.B.Cl. |
〜七重奏〜 |
森田一浩 |
クラリネット七重奏のための「エレジーア、リトミカ、サンバ・オスティナート」 |
7B♭Cl. |
〜八重奏〜 |
森田一浩 |
クラリネット・クワイアのための「オーバード」 |
E♭Cl.4B♭Cl.A.Cl.B.Cl.C.A.Cl |
ネリベル |
クラリネット・クワイアのための「コラールと舞曲」 |
E♭Cl.3B♭Cl.A.Cl.B.Cl.C.B.Cl. |
★お薦めレパートリー★ |
作曲者/編曲者 |
曲名 |
出版社 |
ジェイコブ G.Jacob |
クスケルツェット、パヴァーヌとゴパック SCHERZETTO,PAVANE&GOPAK |
EMERSON |
ブーフィル J.Bouffil |
三重奏曲 第1番 TRIO NO.1 |
GERARD BILLAUDOT |
森田一浩 K.Morita |
エレジーア、リトミカ、サンバ・オスティナート ELEGIA, RITMICA&SAMBA-OSTINATO |
音楽之友社 |
ルーシュール R.Loucheur |
家族 EN FAMILLE |
GERARD BILLAUDOT |
ベネット D.Bennett |
アルゼンチン ARGENTINE |
CARL FISCHER |
デュボワ P.M.Dubois |
クラリネット四重奏曲 QUATOUR |
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ポート M.Poot |
クラリネット三重奏曲(テルツェット) TERZETTO |
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磯崎敦博 A.Isozaki |
兜率の憂い BRAHMAN'S MELANCHOLY |
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三浦真理 M.Miura |
クローバー・ファンタジー CLOVER FANTASY |
カワイ出版 |
バッハ/森田一浩 J.S.Bach |
シャコンヌ CHACONNE |
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森田一浩 K.Morita |
オーバード AUBADE |
音楽之友社 |
ネリベル V.Nelhybel |
コラールと舞曲 CHORALE AND DANZA |
SOUTHERN |
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