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現在すでにツアーを開始していますよね。実は来日公演の時点で、最新アルバムの方向性は垣間見えていたような気も今となってはするのですが、新曲が加わって何かこれまでとライヴ・セットにおいてもさらなる変化はありましたか?

Chris:特に変化はないよ。DJセットやミックス・テープみたいなライヴにしたくて試行錯誤してきたんだ。楽器を持ち替えながらもビートやグルーヴを維持させていくのは難しいんだけど、曲間とか中断がない方が絶対に音楽が生きると思うんだよね。

サウンドの変化は、歌詞にも変化をもたらしたと思いますか? サウンドがファンキーになったせいか、英語が完全にヒアリングできなくてもライムが耳に入ってくる感じになっていますね。

Chris:そう言ってもらえて嬉しいよ! 英語以外の、自分に話せない言語圏の音楽もよく聴いていて、歌が言葉を超えるあの感覚に惹かれるんだよね。だからそんな風に言ってもらえて嬉しいよ。歌詞ってやっぱり曲のリズムに合って(楽器をプレイするように)言葉をプレイするような感覚に持っていけると、より曲のスピリットに近づけると思う。

近年のアメリカ合衆国をとりまく社会情勢の特殊な状況が、今作における創作への影響を及ぼしたと思いますか?

Chris:過去4年間、政治に関してはいつだって声を上げてきたけれど、この選挙の悲しい結果に対して僕等が導き出した答はその声をさらに強めるしかないってこと。政治と音楽が強く結びついていたD.C.のハードコア・シーンで育った僕達は政治から免れることはないよ。

音楽的表現だけでなく、具体的な政治活動については、どのようなことをしてきているのですか?

Chris:この2年間はライブにできるだけ選挙権を登録する用紙を持っていくようにして若い層に選挙にいくように呼びかけたり、PUNK VOTERやMUSIC FOR AMERICAにも協力してきたりしたよ。今年の選挙の結果はひどいものになってしまったけれど、若い子達が「自分の声」を実感して、これからも自分達の地域で活動を続けてくれたら、と願ってる。

『POWER』というアルバム・タイトルには何を象徴させたかったのでしょうか?

Chris:いろんな物事を象徴するからこそ、この言葉に惹かれたんだ。ポジティヴな力にもなるし、ネガティヴな力にもなりうるし、君のステレオのスイッチを入れるのも"POWER"だよね。

ちなみに裏ジャケに、あなたがキスをしている写真が載っていますが、これは「愛もひとつのパワーである」というような意味を表したかったのでしょうか?

Chris:カエターノ・ヴェローゾがアルバム"Nomes Cores"で彼の父親にキスしている写真を見て、すごく優しい感じなんでマネしたくなったんだよ。でも自分が相手となると自己愛と自己中心という相反する意味合いも出てきていいかなと思ってさ。

『POWER』を作り上げる際に、あなた方の栄養となったと思われるような、最近のフェイバリット・ミュージック、アルバム、アーティストなどを教えてください。

Chris:無限にあるよ! でもスタジオでの会話に挙がったアーティストは……ミッシー・エリオット、ブライアン・イーノ、デヴィッド・ボウイ、T-REX、カーティス・メイフィールド、プリンス、クラッシュ、DAF、ジョニ・ミッチェル、ダフト・パンク、ジェイ-Z、ディス・ヒート、フェアポート・コンベンション、ビートルズ、マイケル・ジャクソン、シック(CHIC)、スクリーマーズ、ビキニ・キルなどなど……ってところだね。

先日、あなた方とともにディスコードの有望な若手バンドであったブラック・アイズが、素晴らしいセカンド・アルバムを完成させながら解散してしまいました。非常に残念なのですが、何かコメントをお願いします。

Chris:そうだね、あんなに短い活動期間で解散していくブラック・アイズを見ていくのは残念でならなかった。でも彼等はみんな生まれついてのミュージシャンだから、形を変えて音楽を続けてくれると信じてるよ。ダンとマイクとヒューはET AT ITのフィオナとホーシズ(HORSES)というバンドを組んだしね。

ご存じの通り、L.A.に引っ越したジョー・ラリーが、フガジの過去のライヴ・アルバムを通信販売するサイトを立ち上げました。現在までにリリースされている全20タイトルのうち、あなたのお勧めの公演を収めた作品を教えてください。

Chris:まだ聴いてないんだ。でも10周年ライヴ(#18、9-3-97 WASHINGTON,DC/ WILSON CENTER "10TH ANNIVERSARY SHOW") の会場にはいたよ!

ところで、この最新アルバムに関しては、当初は日本盤をリリースする話も進んでいたと聞いています。個人的には、あなた方の存在をより多くの日本人リスナーに知らしめるチャンスと考えていたので、結局実現しなかったのは少々残念でなりません。差し支えなければ今回うまくいかなかったいきさつと、今後その問題点が解消される余地はあるのかどうかについて教えて下さい。

Chris:ぜひ日本でもライセンス・リリースしたいんだけど、今回はそのための準備がきちんとできていなかった。ヨーロッパ・ツアー中にこの話をすすめなきゃいけなかったんだけど、焦って決断をするべきではないと判断して、残念な方を選ぶしかなかったんだよ。ライセンスには今も前向きな考えだし、将来的には実現させたいけれど、今回のようなことを繰り返さないように、もっと早い段階から準備をすすめなきゃね。

今後は欧州ツアーが続く予定だそうですが、その後の活動に関してどのようなヴィジョンを持っていますか? 再来日の可能性についても教えてください。

Chris:2005年に日本に行くためになら何だってするさ! 待ってておくれ!

再来日を待ち望んでいる日本のファンと、前回の来日時にできた日本の友人達に向けてメッセージをお願いします。

Chris:みんなに会いたくてたまんないよ。それまでは代わりにASA-CHANG & 巡礼を聴いていてね!

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