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では次に、それぞれ最初にピックアップした楽器、そして現在に至るまでの経緯について教えてください。

Chad:学校のブラスバンドでトロンボーンを吹いたりしてたんだけど、ハイスクールに入ってからはロックがやりたくなって。何故か最も惹かれる楽器がベース・ギターだったんだ。それで15歳の頃からベースをやってて、たまにドラムを叩いてる。

Andrew:僕の場合、5歳の頃に義母がドラムセットを買ってくれてね。家中のものを叩いて回る子供だったから、どうせなら楽器を叩かせようと思ったんだろうけど。それで物心ついた頃からドラムを叩いてて、途中でピアノを習ったりもしたけど、結局はドラムに落ち着いてる。

Devin:うちには父親のギターが最初からあったんだ。父はアマチュアのギタリストで、いつも弾き語りとかしてた。だから僕は、本当に小さい頃からずっとギターが弾きたいと思ってたんだよ。ちゃんと弾こうと思って弾き始めたのは、たぶん11歳ぐらいかな。13〜14歳の頃には最初のバンドを組んでたね。バンドの練習をうちでやってた関係で、うちにドラムセットが設置してあったから、自分でもドラムを叩くようになったのが15歳の頃。それからは、ドラムとギターの両方とも上達していったんだ。

それぞれ、音楽を始めたきっかけとなったような、当時すごく影響を受けたミュージシャンといえば誰になりますか?

Devin:たくさんいるからなぁ。

Chad:僕の場合は、やっぱり10代の頃に聴いたパンクが一番デカかったよ。それで目覚めたし、真似しやすかったから。当時はすごくベーシックなものを聴いてたからね。パンクの中に感じられるパッションが、自分でもやりたいって思わせてくれたんだ。ブラック・フラッグ、ディセンデンツ……もちろんマイナー・スレットもだけど。

Devin:僕らはカリフォルニア出身だから、SSTの存在が大きかったんだよね。

Chad:そうそう。

Devin:それ以外では、ザ・フーとピート・タウンゼンド……。

Chad:ベースに関してはマイク・ワットだね。彼は僕にとってのグルだよ。

Devin:うん。そしてD・ブーンは僕のギター・ヒーローだよ。

Andrew:僕は小さい頃、よく父親と音楽を聴いてたから、例えばミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ホイールズみたいなのが、いちばん最初に好きになった音楽なんだよね。初期のサーフ・ミュージックとか。小6の頃にはレッド・ツェッペリン。ジョン・ボーナムにめいっぱい触発されてた。で、12歳でバッド・ブレインズにショックを受けてからパンク・ロックにのめり込んだんだ。

わかりました。さて、話は変わりますが、『バーン・トゥ・シャイン』というDVD作品に参加した経緯と、出演時の感想を聞かせてください。

Devin:最初は、ブレンダン・キャンティとGarland of Hoursというバンドでプレイしてた時に、彼からそのアイディアを聞いたんだ。彼の友人の家が建て替えのためにいったん燃やされる、ってことを知って、「燃やされる家でバンドのライヴを撮影しよう」って思い付いてね。完全な空き家になるし、きっとクールな映像になるはずだって。で、映像関係の仕事をしてる知り合いを集めて……。

Chad:ブレンダン自身が、映画やテレビのサウンドトラックの仕事をしてるからね。

Devin:そう。それから徐々に形になっていったんだ。僕らを含め、参加バンドが決まっていって。実際、驚くほどうまくいったんだよね。まる1日かけて、各バンドが1曲ずつプレイして。

Chad:最初は突拍子もないアイディアだと思ったけどね。実現するかどうか疑わしい感じだった。でも、撮影の2日前にいきなり、集合をかけられて。

Devin:本当にやるぞ!ってね。

Chad:やるとなったら早かったね。

Andrew:でも実際に出来上がったものを見たら感心するしかなかった。

Devin:すごくプロっぽいものが出来たよね。今後はシカゴ編やポートランド編も計画されててシリーズ化されるんだよ。

家をただ解体するだけでなくて燃やしてしまうというのはアメリカでは一般的なんですか?

Devin:いや、普通は解体するだけ(笑)。解体前の家を消防署に寄付する制度があるんだ。消防士の訓練用に火を付けて、見習い消防士たちに消させるわけ。僕らもDVDをやらなければ知らなかった事実だよ(笑)。

バンドの演奏中に出火させてしまおう、なんて話は出ませんでした?

Devin:アハハハ。

Andrew:このDVDのことを説明すると、「てことは、燃えてる家の中で演奏したの?」ってよく訊かれるけどね。

Devin:それだとちょっと危険すぎるから。

Chad:アイディアとしては、どう見ても二度と存在しない状況の中で演奏してるのを明確に分かるようなセッティングにしたかった、ってことだと思う。

Devin:中にはもう解散したバンドもあって、本当にその場限りの一瞬をとらえた作品なってるよ。

ちなみに、あそこに出演しているアーティスト全員がディスコード所属というわけではないですよね。

Chad:うん。ディスコードからは僕らとフレンチトーストとQ AND NOT Uだけだね。他も全部DCのバンドだけど。

Devin:初回はDCのバンドを集めたもので、第2弾がシカゴ。トータスとかウィルコ、シェラックが出演して……すごく良かったよ。

おお、もう出来上がってるんですか。

Devin:ああ、DCで2週間ぐらい前に観たんだ。

それもブレンダンの仕切りで?

Devin:ブレンダンがプロデューサーで、監督はクリストフ・グリーンという人だよ。

めちゃ楽しみです。では、メディケイションズの今後の予定を聞かせてもらいたいのですが、アルバムに関してはどのような状況ですか?

Devin:アルバムのリリースは6月だっけ?

Chad:5月って話もあるけど。5月30日か6月14日。

Devin:基本的にはとにかくツアーを続ける予定だよ。全米ツアーはまだだし、ぜひヨーロッパにも行きたいから、その準備もしてる。両方とも、秋に回ることになると思う。

Devin:デヴィンは他のプロジェクトもあるから、けっこう多忙なんだよな。メアリー・ティモニーのバックでドラムを担当してるんだ。そっちのレコードが4月に出たら、ツアーもあるだろうから。

アルバムのレコーディングはどれくらい進んでるんですか?

Devin:全部もう終わってるよ。

Chad:すべて録音済みで、アートワークも完成してる。

基本的にはEPと同じ方向性の作品になりますか?

Devin:僕はそう思う。EPの延長線上で……ネクスト・ステップというか。

Chad:自然な進化を遂げてるんじゃないかな。

Devin:そうだね。

全員が太鼓を叩いてる曲とかはまだないのですね。

Devin:今のところね(笑)。それは今後のお楽しみってことで。

ところで今のアメリカのシーンでは、インデペンデントの状況が良くなっていて、反対にメジャーが落ち込んでいるという傾向があると思うのですが。

Chad:そうとも言えるかも知れないね。一般的に、インデペンデント・レーベルは音楽に関心があるけど、メジャー・レーベルは売り上げ枚数に関心があるわけで……そうなる下地はあったよね。

Devin:こういうものには盛衰があって、今はリスナーがインディー・シーンから新しい音楽を探し求めてる時期なのかも。パーティーで最新ヒット曲をかけてダンスしたいと思うだけじゃなくて、ちゃんと中身と重みがある音楽を聴きたい、っていう時期ななのならば、こちらとしては嬉しいね。全体的なレコード売り上げは落ちてるらしいけど。

Chad:今はネットもあるし。

Devin:MP3とか……経済状況とかもあるし……。

Chad:ファイルシェアリングとか。

どうやってそんなシーンの中で生き抜いていこうと思いますか。

Devin:んー、ライヴをこなすこと。

Chad:(笑)。あんまりこういうことは考えないようにしてるよ。自分達は自分達でやりたいようにやるしかないから。

Andrew:自分達のやり方で残っていけることは可能だと思うし。

Devin:バンドとして存在し続けていくことだけが僕らのプランなんだ。

Andrew:音楽の面でどんどん新しいことに挑戦していくのも重要だし。常にそれをやっていって、良いライヴをこなしていけば、不可能じゃないと思うんだよね。

なるほど。今ちらっと話に出た、インターネットのダウンロードとかは、音楽にとって有益なものだと考えていますか?

Devin:僕個人としては、結局は媒体が移ることになるだけだと思うな。レコードを買うより、iPodにMP3を入れて聴きたいと思う人が多くなってきてるわけで。ディスコードは今、全カタログをiTunesで買えるようにしてるところで、あと数週間でそうなるはずだよ。インディペンデントのレーベルとバンド達はテクノロジーの進歩に合わせていけば大丈夫だと思う。その辺は楽観視してるんだ。

Andrew:僕も賛成だね。人々にとって入手しやすい形になればなるほど、ライヴの動員数が増える、ってことは期待できると思う。僕らにとって重要なのは、人々がライヴを見に来てくれることなんだ。根本的にライヴ・バンドだからね。

わかりました。iTunes Music Storeは日本ではまだオープンしていないんですけれども、ちゃんとアーティストに利益が還元されるのか気になってしまうんですが、そこはそんなに気にはしてないですか?

Chad:僕らの場合は何も変わらないからなぁ(笑)。

Devin:インディペンデント・レーベルの場合は、ただ音楽を広められるだけで十分なんだ。ある程度売れてくれれば、無駄にはならないっていう考え方。それに、アメリカではCDの値段が全体的に低いから、iTunesとの違いはそんなに感じられないんだよね。日本のCDはすごく高いね。チケットの値段も、リハーサル・スペースやスタジオを借りるのも、全てがやたら高くてびっくりするよ。

そうなんですよね。では最後に、日本のファンにメッセージを。

Devin:みんな、愛してます。

Andrew:日本でライヴができて、心から楽しかった。日本の人達、ファンのみんな、本当によくしてくれたし。

Chad:帰国しなくちゃならないのが残念だよ。

Devin:ホント、その通りだね。素晴らしいひとときをありがとう。

こちらこそ。あ、そうそう、アルバムも日本盤は出るんですか?

Chad:いや、多分出ない。ライセンスは1枚限りの契約だったからね。

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