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ダポーズは、少し前にウィアウルフ・グレイヴとしてのアルバム『ゾンビ・エステティックス』をリリースしていますね。あのアルバムはどのようにして誕生したのか教えてください。 Dapose:ずっとアルバムを作ることが夢だったし、とにかくああいう音楽を聴きたいと思っていて、別に僕じゃなくて誰が作ってくれてもよかったんだけど、結局は誰もやってくれなかったから、自分で作ることにしたんだ。実際に制作を始めるには、アイデアやエレクトロニクスの部分をどう使ったらいいかを把握するのに思ったよりも時間がかかったけど、今はとにかく完成できて凄く満足しているよ。 トッドには、前回来日時に幼少時代の音楽経験や育った環境についての質問はしているので、今回はダポーズに、リスナーとしての音楽遍歴や、ギタリストになろうと決心したきっかけ、さらに当時よく聴いていたバンドやアルバムを教えて下さい。 Dapose:15歳くらいの時、ドラムもベースもギターも同時に勉強し始めたんだ。それから、少し年上の人達とデスメタル・バンドのヴォーカルとして活動を始めたんだけど、次第に自分で全ての楽器が演奏できるようになってきたから、ひとりでデスメタルの曲を全部作るようになったんだ。当時はモービッド・エンジェルやサフォケイションみたいな狂ったバンドに夢中だったよ(笑)。 トッド的には、何故フェイントの最後のピースとして「このメタル・ギタリストが必要だ」と考えたのでしょう? Todd:(笑)実は当初しばらくはギタリストをバンドに入れるつもりは無かったんだよ。ちょうどバンドも大きな変化を始めていた時期で、確か98年くらいだったと思うんだけど……その頃からキーボードをメイン楽器にして、ギターを排除する傾向にあったしね。ただ、その後『ダンス・マカブレ』を作っていた頃ダポーズと出会ってね。 Dapose:そうだね、ちょうどもうアルバムは完成していたくらいの頃に出会って、いろんな音楽について話をするようになって…… Todd:そう。それで、もし僕達が全く想像もつかないようなギターをプレイしてくれるなら、バンドにギタリストを入れるのもいいなと思えるようになったんだ。 わかりました。さて、最新作収録曲の歌詞は、過去の作品に比べ、具体的なイメージが浮かびやすい明瞭な内容になっているという印象を、個人的には受けました。以前トッドにインタビューした時には「歌詞には特定のストーリーを持たせるよう努めている」という発言も聞かれましたが、今回はそのストーリーをより説明したいというような気持ちがあったりしたでしょうか? Dapose:何曲かは意図的にそうやって作った気がするけどね。 Todd:昔から、自分としては「ここまでは誰にでも分かりやすく、これ以上は自分さえ分かればいい」っていうバランスは取っていたつもりなんだ。たぶん、前はそれをさほど意識しないでも出来ていたんだけど、今回はもう少し意識的に歌詞に取り組む必要があると自分に思えたから……けど、それだけのことだよ」 Dapose:誰でも趣味や思考は変るから、それと同じことだよね。 Todd:そうだね。あとは、どの曲から手をつけていくかっていうのでも当然、変わってくるよね。さっきまで作っていた曲と、これから作る曲のテーマが同じものだったり、同じアプローチにはしたくないから。 Dapose:常にフレッシュでいたいよね。だから、自分達を特定のジャンルに留めていたいとも思わないし、特に歌詩は非常にその時々の自分の感情が反映される部分だから、いろんな影響を受けるし、どんどん成長していく部分でもあるし。 例えば4曲目“フルクラム・アンド・レバー”では、大ジャンプを決行した少年の心情が丁寧に描写されていますが、この「落ちてきたら世界が少しおかしくなってしまった感覚」は、誰かが実際に経験したことをそのまま歌ってたりするのでしょうか? Todd:これはどの曲よりもストーリー性があるよね。 Dapose:これは最初にトッドからデモを聞かせてもらった瞬間に全員が「この曲は完成させよう」って気持ちになったのを覚えてるよ。僕達としても新しい試みだったと思うし。 Todd:これは初めてのラップ・ソングだったね(笑)。最初は自分を驚かせるためにラップ・ソングでも作ってやろうと思って、子供の頃の思い出を一生懸命に書き出したんだ。というのも、ラップって基本的にどれもタフガイやクールな内容ばかりだろ? だから、その正反対の内容をやってやろうと思ったんだよ(笑)。 (笑)。続く5曲目“サイコ”は、個人的に大好きなナンバーなんですが、自分がキレたことについて後から言い訳してるようなこの心情を、どうして歌詞にしようということになったのでしょう。7曲目“アイ・トリート・ユー・ロング”も人間関係の間に生じる軋轢を扱っていて、似たようなテーマだと思うのですが、何かこういう心情に興味をひかれる理由とかあるのでしょうか? Todd:僕の中の人間的な側面が強く出た曲だね。これは個人的に抱えている感覚をとにかく吐き出して、あわよくば人々も共感してくれればいいなという程度に書いたものなんだ。他にも、そういう自己満足なレベルで書いた歌詩はあるけど、この2曲についても、人々がどう受け止めるのか、全く検討がつかないまま完成させたものだね。 Dapose:きっとこの2曲に共通しているのは、誠実さだと思うんだ。別に誰にも媚は売っていない、共感できても、もしできなかったとしても、それでしょうがないっていうくらいの感じじゃないかな。
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