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では、音楽活動を真剣に考えるようなったのはいつ頃でしたか?

Matt:バンド結成当時から真剣だったよ。

Tim:ああ、エレキとベースを買ったその日からずっと。

Matt:即座にのめり込んで毎週のように練習をしていたし、最初から自分たちに厳しい鍛錬を課したんだ。だからこそバンドとして成功できたんじゃないかな。

Tim:14歳という年齢を考えるとおかしいほどしっかりしてたよな。当時はMarch Haresというバンドを結成していて、16歳でカセット・テープの音源を初リリースしたんだ。「ソングライティングもこなすティーンエイジャー・バンド」として地元プレスから大注目されたよ。

Matt:あまりに若かったんで話題になりやすかったんだと思う。

Tim:地元紙に記事が載ったり、インタビューの依頼が来たり。

Matt:生まれて初めてサインを頼まれたり(笑)。それまで頑張ったことに対するご褒美をもらえたような気分だった。みんなが僕らを理解し評価してくれていると感じたんだ。それにたくさんの友達がいつも応援してくれていたから、やる気がさらに強くなったんだよね。

多分そういったことが後々のサドル・クリークに繋がっていくと思うのですが、やっぱり当初から周囲の応援ムードは強かったのですね?

Matt:うん、最もサポートしてくれたのはやっぱり友達だった。オマハ市内でも盛り上がってはいたけど、僕たちは最初から甘やかされてたところがあったからね(笑)。サドル・クリークと契約する頃まで、仲の良い友達がずっと応援してくれたんだ。

そうして、当時からバンドは変われど、2人はずっと一緒に音楽活動を続けてきたわけですよね。どうしてそんなに長くこのような関係が続けられたのだと思いますか?

Matt:本人たちでさえ、まさかこんなに長く続くとは思ってなかったよ(笑)。この年になるまで一緒に活動してこれたのは本当に素晴らしいことだと思う。ここまで続いてきた理由は、何よりもまず友情だね。楽しくてクリエイティヴな作業を一緒に楽しむことが出来る相手だし、2人ともチャレンジ精神が旺盛だからアイディアを共有しながらお互いを高め合えるんだ。

Tim:兄弟だったらそういう質問はされないかもしれない。幼い頃から家族同然に育ったから、僕たちにしてみれば何をするにも2人に落ち着くって感覚はごく当然のことなんだ。

時には、バンドの創作活動や運営面における意見の相違もあるかと思いますが、どのように解決していますか?

Matt:話し合いかな。

Tim:2人とも自分の意見に関してはかなりの頑固者だけど、他の意見に耳を傾けるだけの器量もあるんだ。例えば、何かを決定する状況になって僕には理解できなかったり賛同できなくとも、マットが理解し賛同できる理由が手に取るように分かるんだよ。実際にこれまで激しく対立したことは一度もないんじゃないかな。

Matt:必ず交渉や話し合いに持ち込んで。

Tim:ああ。そして相手の意見を尊重し、お互いが満足出来る結果を導くんだ。

Matt:ティムのアイディアに対して自分が懐疑的だったらそれをちゃんと伝えるし、彼の返答にもちゃんと耳を傾けるよ。疑問が消えなかったとしても、ここまで築いてきた信頼があるからとりあえずやってみようと思えるんだ。そして完成作を聴いて、やっぱりこれで良かったんだと納得すると。

じゃあ逆に、ヒドいケンカをしたエピソードなんかがあれば教えてください。

Matt:最後にケンカしたのは大分前じゃないかな。その時もカチンときたぐらいで、それ以上ヒドい状態になったことはないね。

Tim:2人で共闘して他の誰かを相手に腹を立てるほうが圧倒的に多いからさ(笑)。身近なエピソードだったらツアー中だろうな。あまりに長いと2人ともすっかり疲れきってしまいお互いを思いやれなくなってしまうから。でもマットが僕に腹を立てたりブチ切れたりしてもどうってことないけど(笑)。

Matt:(笑)。

Tim:さっきも言ったように家族同然で育ったからそんなもんだって思える。犬のケンカみたいなもので深い意味はあまりないんだ。

Matt:うん。どちらかっていうと自分や相手の機嫌次第(笑)。

バンドの創作面ではティムが主導権を持ってやっていると思うのですが、運営面──例えば一旦カーシヴを休止する、といったことなどを決めるのはマットだという風に思えます。そういった役割分担は意識していますか?

Matt:勿論! バンドを続ける中でメンバー間の役割が徐々に明確になっていったんだと思う。というのも僕としては、ベースは簡単すぎるから他のことも手伝わなくちゃって気付いたんだ(笑)。ティムやテッドが一日中曲を書いてる間に僕も何かすべきだと思った。そのおかげで自分はバンドというチームの一員としてカーシヴに貢献しているという気持ちが持てるようになったよ。何かを決める時は、メンバー全員ではなくともティムには必ず相談してる。

Tim:まあ、謙遜するなって。確かにカーシヴはメンバー全員がいて成立しているけど、マットのバンドだっていう認識も強いよ。

Matt:(笑)。

Tim:彼が長い時間をかけて育ててきたバンドだし、みんなその一員になれて嬉しいんだよ。それにマットはバンドのビジネスや運営面に関わるのが好きだからまさに適材適所だね。これまで色んな人達を見てきたけど、そういう仕事に喜びを見出す人っていると思う。2人の得意分野が違うのはまったくの偶然なんだ。僕はマネージメントに関してはある程度まで首を突っ込んで状況を把握するのはいいけど、オフィスに一日中カンヅメなんてごめんだから(笑)。

Matt:(笑)。

わかりました。では、ここで昨日のライヴについての話を。とてもパワフルな演奏でしたが、グレッタ脱退後、チェロを外したアレンジをどのように作り上げていったんですか?

Tim:今後は柔軟性のある音楽活動を展開していくつもりで、異なるタイプのライヴやアレンジに挑戦したいと考えてる。昨晩のライヴはその良い例で、キーボードさえも外して久しぶりに4ピースのシンプルなギター・ロックに挑戦したんだ。でも来年リリースする新作のツアーでは、サポート・ミュージシャンにも参加してもらうつもりだよ。まだ具体的な内容は固まっていないけれど、『The Ugly Organ』のチェロ・パートは新しいアレンジにしようと思ってる。そうやって楽曲が生まれ変わるのは勿論、ライヴも進化を遂げていくからすごく楽しみなんだ。

Matt:ライヴでは音色を追加して新しいアレンジを生み出す柔軟性を持ちながら、昨晩のように4人だけでも今まで同様のクオリティーと迫力のあるサウンドを紡ぎ出したいね。

では次のアルバムは、必ずしも昨晩のライヴのようにストレートでパワフルなロックに回帰するわけではなくて、引き続きアレンジの幅を広げていくような作風を展望しているのですね?

Matt:そこは実際レコーディングを始めてから楽曲が言わんとすることに耳を傾けつつ決定していくと思う。ティムにはもう色んなアイディアが浮かんでるはずだし(笑)。

制作状況はいかがですか? リリースはいつ頃を予定しているんでしょう?

Matt:アルバム用に書いた曲は現時点で20曲。最終的には28曲ぐらい作ると思う。レコーディングは2月中旬を予定していて、ミックスやマスタリングといった全作業を4月22日までに終わらせたい(笑)。締め切りってわけじゃなくあくまで自分たちの目標ってことで(笑)。リリースは8月もしくは9月頃になるだろうね。

そして11月には来日?

Matt:そう! それか12月……いや、9月かもしれないな(笑)。

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