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なかなか激しいギター・プレイを聴かせてくれましたが、ギタリストとしては特にどういう人から影響を受けたのでしょう?

Aimee:うーん……16歳くらいの時には、周りから女の子と気付かれないくらい私は男っぽかったの。だから他の女子と違って自然に男子の中に溶け込めたし、彼らと一緒に激しい音楽を聴いていたのね。それで、周りの男の子達が激しくギターを演奏するのを、自分にとっても自然に感じたわ。演奏において感情を吐き出すといった行為があることを知ったのよ。ただ、特にどのミュージシャンに影響を受けたとかはないわね。

Ben:僕は彼女の演奏にブルースを感じるよ。感情に訴えかけるような演奏だと思う。

Aimee:ブルースも好きよ。高校生の時には、ラジオのDJみたいなこともしていたんだけど、そこでは今まで聴いたことのないようなアフリカの音楽とか、いわゆるワールド・ミュージックなんかを聴くことができたの。その経験によって、音楽や演奏に関する既成概念というものがなくなったと思う。

ちなみに、ヴォーカルもかなりのものでしたから、いつかはPJハーヴェイみたいな感じでソロ・アルバムとかを作ってみてはどうでしょうか。

Aimee:ありがとう。ティムと2人でやってるデス・アークというバンドは、そんな感じよ。ティムがドラムで私がギターで歌ってるの。

そうだったんですか。では最後にイリアーナさん。

Ileana:私は、ピアノのレッスンを7歳から受けてきて、ずっとクラシック音楽の演奏しかしてこなかったの。大学に入ってからも、クラシックを専攻していたのね。それでもチャペルヒルに住んでいたことで、13歳くらいの頃から地元のバンドをよく見に行ってはいたわ。私にとっては音楽の世界はふたつあって、ひとつはクラシックの世界、もうひとつがロックの世界なの。ただ、大学を卒業するまでは、クラシックの勉強に時間を追われていて、誰かと一緒にバンドを組んだりする時間すらなかったのよ。だから大学を卒業した後しばらくの間は一切音楽をしなかったわ。その時は、もう音楽にコリゴリだったのね。でもやっぱり時間が経つと音楽が恋しくなってきて、ちょうどそんな時に友達から一緒にやらないかと誘われたの。それまで誰かと一緒に音楽をやれる機会なんてなかったから嬉しかったわ。昔から友達はバンドをやってて、ライヴをしたりツアーしたりと楽しそうな話をさんざん聞かされていて、うらやましくてしょうがなかった。だから今はその分も楽しんでいるわ(笑)。バッハやショパンといった昔の音楽を演奏するだけではない、私にとっては新しい音楽の世界で、よりクリエイティヴに演奏できることが嬉しいわ。

ちなみに、あなたがやっているデヴィルというバンドは、どんな音を鳴らしているのですか?

Ileana:デヴィルっていうバンド名は半分冗談みたいなもので、やっている音楽自体はこのバンドよりも静かなサウンドなの。うまく説明できないんだけど、よりニール・ヤングとかのクラシックなロックといった感じかしら。この場で演奏できる曲があればよかったんだけど(笑)。

そのうち機会があれば、ぜひ聴きたいと思います。

Ben:僕は、みんながやってる他のバンドの音楽を好んで聴いているよ(笑)。

Ileana:(笑)。いつかみんなそれぞれのバンドで一緒にライヴをやりたいわね。

さて、アルバムについて聞きたいと思います。ピアノを主体にした曲がたくさん入っていますけども、やはりキーボードで作曲することが多いのでしょうか? そうなった経緯は?

Ben:以前やっていたスリーピィタイム・トリオやマイルマーカーではとても激しい音楽を演奏していたから、それとは違うシンプルで静かな音楽を作りたいと思ったんだ。その最初の結果がファースト・アルバムで、自分でも気に入ったからその後もキーボードで作曲を続けてる。僕がやっているもう1つのバンド=バッツ・アンド・マイスはギター主体だから、僕はふたつのバンド、ふたつの違った表現方法を持っているということになるね。僕の中でもパンク・ロックは変化し続けていて、歳をとるにつれてより静かなものも楽しめるようになってきた。ただ、ベン・デイヴィス名義の作品では、アルバムだとピアノ主体の静かなものに仕上がっているけど、ライヴにおいては自然にもっと激しくなってくるね。

今回のステージでは、あなたはスチール・ギターを使っていますが、これはどういった理由で?

Ben:アルバムを製作するにあたって通常のギターとは違った面白い音色を求めていたんだけど、ファースト・アルバムを作っている時、スタジオにホット・ウォーター・ミュージックが置いていったスチール・ギターがあって、それで面白がって遊んで、その時には1曲だけ使ってみたんだ。で、その後になって自分でも買って、使うようになった。僕にとってはとても新鮮だよ。

Tim:このバンドが他と違うユニークな点は、やはりベンのスチール・ギターとイリアーナのキーボードにあると思う。これらふたつの楽器が通常のバンドとは違ったサウンドスケープを形成することに貢献してるんだ。イリアーナのキーボードとベンのスチール・ギターは、曲によっては他の楽器が入り込む余地がないと思えるくらい素晴らしい音色をしているよ。

なるほど。ところで、プロデューサーのブライアン・マクターナンについて、彼との仕事がどのようなものであったか聞かせてもらえますか?

Ben:ブライアンはフローダスやマイルマーカーのプロデュースもしてくれたし、家のすぐ近くにスタジオを持っていて、友達だし信頼もしている。ただ、ファーストの時ほどセカンドでは関わっていないんだ。彼はメリーランドという、僕らの住んでるチャペルヒルから少し離れた所に住んでいて、今回はほとんどチャペルヒルでレコーディングをした関係から彼には少しミキシングを頼んだくらいかな。

それは今回、自分自身でアルバム製作をよりコントロールできたからということなんでしょうかね?

Ben:今作ではプロデュースを主にニック・ピーターソンという友達に頼んだんだけど、ファーストとセカンドの大きな違いをあげると、前作は1つのバンドでスタジオに入って短期間で仕上げたけれど、今回は長い期間をかけて、週末にはD.C.やリッチモンドから色んなミュージシャンを招いてレコーディングしたりしたんだ。だから、今回は僕がよりコントロールしていたと言うより、もっと大勢の人と広く関わった、と言った方が正しいかもね。それから、今回のプロデュースに関してはエンジン・ダウンのジョナサンにもすごく助けてもらったよ。

分かりました。さて、あなたはもう1つバッツ・アンド・マイスというバンドもやっているわけですが、自分の中ではどのように区別をつけているのでしょう?

Ben:うーん。バッツ・アンド・マイスは基本的にメンバー全員で曲を作っていて、ベン・デイヴィスの時には曲のアイディアを僕が考えるといった感じだね。このふたつをやることで一番大変なのは、スケジュールを管理することかもしれない。5月にはバッツ・アンド・マイスとしてのヨーロッパ・ツアーがあるし、その後にはまたベン・デイヴィスのライヴも予定されてて、ふたつのバンド活動の間を行ったり来たりしている状態だよ。曲作りにおいては、曲のイメージが頭に浮かんだ時、最初はどっち用の曲なのか分からないこともあったりするけど、基本的にバッツ・アンド・マイスはベースで曲を作るし、ベン・デイヴィスではピアノといった感じに、自然と楽器を選んだ時点でどっちの曲なのか決まってくるね。

それでは歌詞に関して質問します。やはり、あなた自身の日常生活を歌うことが多いですか?

Ben:僕の書く歌詞の内容はフィクションではなくて、ほとんどが真実に基づいて書かれた物だよ(笑)。ファースト・アルバムは、僕個人の世界を歌ったとても内向的な歌詞になっていると思う。それに対して、セカンドでは、周りの人間をも含めた僕の現状を歌ったものになっているね。

けっこうツラい気持ちを歌ったナンバーが多いようにも感じるのですが?

Ben:確かに、辛い時や悲しい時に曲を作ることが多いよ。悲しい出来事や日常生活で感じる苦悩などが、僕の音楽の原動力に今なっていることは確かだね。以前は、不満や怒りから曲が生まれることが多かったけど、徐々に変わりつつあるんだ。

では、今後の予定と音楽活動を続けるにあたっての指針などがあれば教えてください。

Ben:ベン・デイヴィスとしてはこの後、アメリカに帰って幾つかのショウを行ない、フェスティバルにも参加する予定だ。バッツ・アンド・マイスとしてもヨーロッパ・ツアーの計画があるし、来年まで色んな予定が詰まってる。僕は、曲を作ったり演奏したりし続けるだけだよ。ずっと継続して音楽をやり続ける――それだけさ。

Tim:僕はアメリカに帰ったら、まずアイメイとやってるデス・アークのアルバム・レコーディングを終えて、BIFOCAL MEDIAからリリースする予定で、その後はツアーもする。これからも今みたいに音楽を続けられたらと思っているよ。ベン・デイヴィスとしては、ライヴにおいてアルバムの音を再現する以上のことを心がけていて、新しい曲も古い曲も常に変化し続けている。あと、ベンが俺達にももっと曲を書かせてくれたら嬉しいな(笑)。他にはなんだろう……とりあえず何事もやり続けることだね。

Aimee:ひとまず、アメリカに戻ったら十分に睡眠をとりたいわ(笑)。ふたつもバンドに関わっていると、常に音楽に関わっていられて幸せよね。そして、何事も継続させることと、あとはベンにどんどん曲を書いてもらわなきゃね(笑)。

Ileana:ベン・デイヴィスでの活動が落ち着いたら、もうひとつのバンド、デヴィルに集中したいと思ってる。もうアルバムのレコーディングを始めて1年近く経ってるの(笑)。曲も忘れかけてるから、急いで練習して自分のパートをレコーディングしないとね。みんなも言ってるようにふたつのバンドを掛け持ちするのは大変だけど、忙しいのはいいことだと思う。あとは私もみんなと同意見で、ただ音楽をやり続けたいわ。

最後に、昨日ライブで被っていたディッキーズのキャップはどこで買ったんですか?

Ben:アメリカだよ。どこでも手に入るし、安くて丈夫だし、送ってあげようか(笑)? ちなみにベン・デイヴィスもいいブランドだよ(※アメリカにはベン・デイヴィスという同姓同名の猿のマークでお馴染みのブランドがある)。もちろん、何処からもお金はもらってないよ。誰かくれないかなぁ……(笑)。

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