テンポ、リズムとアクセント

 

 ーバラは、ホール・ジョンソン(1887-1970)が声とピアノのために編曲した

『黒人霊歌集30選』〔G.シャーマー、1939年〕から8曲選んで録音している。

ジョンソンは南部生まれの黒人の合唱指揮者=作曲家=アレンジャーで、

黒人霊歌のテンポ、リズムとアクセントについて、次のような注意を指示して

いる。

 とたび特定の歌のテンポが設定されたら、いかなる変化も避けなさい。

プリミティブな黒人歌唱はつねにある種のからだの動きを伴っている。それは、

たとえテンポがどんなにおそくとも、歌唱中に不変の拍子を創りだすのである。

この不変の"ビート"のルールにも2つの例外がある:@数少ない"問答歌"

においては、テンポの変化は明らかきわだっている。Aおそい歌では、折りに

ふれて、ある重要な個所でフェルマータが起こることもある。とき折りきかれる

フィナーレのラレンタンド(リタルダンドと同じ)は"コンサート効果"への譲歩

であり、本物の黒人歌唱では決して起こらないものである。黒人霊歌をうたう

最善のルールはこうである:歌う人の好みによってダイナミックス(pp→ff)

を変えなさい。だが、テンポは音楽自体が決定的な変化を必要とする時だけ

変えなさい。

 

 

「スピリチュアルズ」-T

「スピリチュアルズ」-U

黒人霊歌の総体的な性格

・テンポ、リズムとアクセント

ピアノ伴奏について

黒人霊歌の背景