2003年8月17日→8月23日鹿児島(枕崎)一人旅
 
 
(6) そして枕崎へ-前編。
 
 
 
2003年8月20日(水)。昨日の天気予報では「曇り」と言っていたのですが、夜が明けて起きてみれば見事な晴天。気分も高ぶります。そうです。今日はいよいよこの旅行の最終目的地、枕崎へと向かうのです!!
 
朝7時前に起床して、まずは朝御飯。昨日と同様、西鹿児島駅構内のレストランで取ります。三種類のメニューから、今日は卵と野菜炒めとパンのセット。なかなかに美味しかったです。やっぱり朝は洋食が好きみたいですね、僕の場合。
 

朝、ホテルの窓より。
朝日を浴びて眩しい鹿児島の街。

西鹿児島駅前にあるモニュメント。
たくさんの銅像があります。
 
今日は11時過ぎの列車に乗る予定なので、まだまだ時間があります。と言うワケで、軽く鹿児島市内を観て回ることにします。8時過ぎにホテルをチェックアウトし、外へ。まずは市電に乗ります。鹿児島滞在中、この市電は本当によく利用しました。料金も安いですし、気軽に乗れます。そして10分ほど。[朝日通]で降りて歩くこと10分。有名な[西郷隆盛の銅像]に到着です。
 
ここはまあ、像が立ってるだけなんですけど、でも結構有名な写真スポットの様で、僕が来て観ている間にも何人かの観光客が来て、そしてパチリ。僕ももちろんパチリ。まあ別に西郷隆盛は好きじゃないですけど(と言うかむしろ大久保利通の方が好きですが)、やっぱり記念に、ね。
 
そして通りに沿ってそのまま更に少し歩きます。すると、鹿児島城の城跡である[鶴丸城跡]に到着。城自体は残っていないのですが、石垣とお濠があってなかなかに情緒があります。お濠にはハスの花も。こんな散策もいいものです。…しかし、もの凄く暑い。歩いているだけで汗が溢れて止まらないのです…。
 

西郷さんの像です。
顔がよく見えませんが…。

鶴丸城跡。
石垣がイイ味出してます。
 

お濠に咲く、一輪の花。

黎明館。
色々な展示をやっています。
 
さて。時計を見るとまだ9時くらい。時間はまだまだあります。どこか博物館か美術館でも行ってヒマ潰しを…と思ってみると、城跡を登ったすぐの場所に[鹿児島県歴史資料センター黎明館]と言う博物館があります。何でもこの施設、明治百年を記念して、1983年に造られたのだとか。特別企画展の[マヤ文明展]というのに魅かれたので、入ってみることに決定。

[黎明館]、入ってみるとかなり大きな建物。この日は、[マヤ文明展]の他に[北京故宮博物院展]というのもやっていました。そちらの方も魅かれますが…両方観ている時間までは無さそう。しかし建物の中はさすがに冷房が効いています。さっきまでの汗がすっと引いていきます。気持ちいい。
 
[マヤ文明展]の展示会場に入ってみます。マヤ文明の石碑や、マヤ人達が身につけていた衣服やアクセサリー、そして様々な工芸品などが、マヤの歴史とあわせて展示してあります。石碑は、部分的に解読されているものも多い様ですが、こんな昔の文明の言葉、一体どうやって解読するのでしょうか? そしてマヤ文明では飾り物にはヒスイを使うことが多い様で、装飾品の数々は緑色がとても綺麗…。
 
ところで、話には聞いたことあったのですが、こういった古代文明では生贄として生きた人間を殺すと言う風習が本当に存在していた様ですね。マヤ文明も勿論例外ではなく。何と言うか、それが単純に間違っているとは言い切れない部分もあるのかもしれませんが(現代と太古とでは倫理観・人生観にも大きな差があると思いますので)、でも、「生きる」て何なんだろう…。昨日の[知覧特攻平和会館]とはまた少し違った意味で、「命」と言うものについて考えさせられもしました。
 
結局、ゆっくりと[マヤ文明展]を観ているうちに時間も過ぎ、いつの間にかもう10時をまわっています。さあ駅へ戻るとしましょうか。
 
ちなみに、この鶴丸城址付近にはこの[黎明館]の他にも[かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館][鹿児島市立美術館]と、見どころが幾つかある様です。どれも観てみたかった…またの機会に行きたいです。
 
さて、市電に乗って再び駅へ。10時半くらいには駅に到着しました。これからいよいよ枕崎へ向かう列車に乗ります。さあ、列車旅と言えばまずはこれ。駅弁を買わないと。駅構内のお店で、[うなぎ弁当]を買いました。そしてビール!! せっかくなのでここは美味いヱビスビールを買いましょう。…と思ったのですが、ヱビスは350缶しか置いてないのです。500が欲しいのに…。さあ、どうしましょうか。500缶があるのを見ると、スーパードライにサッポロに…。ドライは嫌いだし、やっぱりサッポロかなぁ…。と散々悩んだ挙句に結局、ヱビスの350×2を購入。…だから何でそうなるよオレ(笑)
 
さあ、買うものも買っていよいよホームへ。指宿枕崎線の列車が出るホームは0番線。一番端っこのホームです。待つことしばらく、ホームには鮮やかな黄色の気動車が入って来ました。11:05発の山川行き普通列車、使用車両はキハ200系です。
 

ただ今0番線ホームに停車中。
キハ200系のアップ。鮮やかな黄色…

キハ200系の車内。
外観とは変わって結構シック。
 
早速中へと乗り込みます。このキハ200系、車内は転換クロスシートがズラリと並んでいます。座ってみるとシートの大きさもピッチもそこそこ大きめ。これなら山川までの道中もとても快適そうです。そしてイエロー一色の派手な外見とはイメージが変わって、車内は割とシックで落ち着いた雰囲気です。シートは枕部分まで含めて全てブラックトーン。そして、壁面の化粧版が全てグリーン系なのが以外でした。一昔前の車両はこのグリーンの化粧版がよく見られましたけど、最近の車両では非常に珍しい気がします。
 
11:05。定刻通りに列車が出発しました。二両編成の車内、乗車率は5割くらい。もっと少ないくらいかもしれません。見ると、色々な人がいます。サラリーマン・現地のおばあさん。荷物を持った若者は、きっと指宿かどこかへ旅行なのでしょう。と、近くの席を見ると、20前後の娘さんと40過ぎの男性と言う、一見父親と娘風なのだけど、でも親子とはちょっと様子の違う、何やらワケあり風なカップルが…怪しい!! て、あんま人様のプライベート突っ込んじゃいけないですよね(笑)
 
指宿枕崎線はまぎれも無くローカル線なのですが、西鹿児島駅を出てしばらくは街の中を走っていきます。途中の五位野辺りまでは通勤通学輸送の都市近郊路線の役割を果たし、そこから山川までは指宿などの観光地へ旅客を運ぶ観光路線。そして山川から枕崎までは純然たるローカル線、と言った模様です。
 
さあ、時間は少し早いのですが、ここで景色を眺めつつのお弁当タイムと行きましょう。まずはビール!! 一人心の中で「乾杯!」と叫びます。何にって? もちろん、最南端の鉄路の旅に乾杯!! グイッと飲んでみると…美味い!! あまりにも美味いのです。この暑さですっかりノドがカラカラだったのと、指宿枕崎線に乗ったと言う旅の期待感・満足感。そしてヱビス自体の美味さ。そんな色々な要素が重なって、とても美味しい一口でした。この時飲んだヱビスが、この旅行中飲んだビールの中でも間違い無く最高でした。
 
そしてお弁当に手を伸ばします。たれの混ざったご飯の上にうなぎがたっぷり乗って、その上には錦糸卵が。そこに、更に別付けのたれを自分でかける様になっています。これもとても美味い。うなぎの身がフワフワしてて、それが錦糸卵の食感と合わさって何とも言えない美味しさ。快適な車内、いい景色、冷たいビールに美味しいお弁当。とても贅沢なイイ気分です。
 
車窓を眺めていると、鹿児島の市街を離れ、やがて海が見えてきます。途中からはずっと海に沿って走る形になります。まさに昨日の定期観光バス車内から観た枕崎線の様子そのもの。
 

枕崎線の車窓その1。
家々の向こう側にはもう海が。

枕崎線の車窓その2。
海沿いをずっと走って行くのです。
 

枕崎線の車窓その3。
ホラ、椰子の木だって生えてますヨ。

枕崎線の車窓その4。
どこかの駅で見つけた、小さな花壇。
 
軽いアルコールの回った頭で、海をボーッと眺めながらの鉄道の旅。本当に気持ちのイイものです。旅行と言うと、目的地に着いてからを重視しがちですが、僕は道中のこんな時間。それも大切にしたいです。
 
終点の山川に向かうにつれ、乗客も段々と少なくなっていきます。ローカルムードが増していきます。そして西鹿児島を出て約1時間20分。12:28に山川到着です。
 
ここで枕崎方面の列車に乗り換えです。乗客ももちろん全員降ります。と、例の怪しげカップルを見ると、娘さんの方が男性を「先生」と呼んでました。…余計に怪しい(笑)
 
さて、次の列車が来るまで一時間近くもありますし、せっかくなので駅の外に出てみることにします。と言うか、実はこの駅自体もこの旅の目的の一つなのです。
 
日本最南端(現在は沖縄モノレールが走っているので、正しくは本土最南端なのですが)を走る指宿枕崎線には、実は最南端の駅が三つもあるのです。正真正銘最南端の駅である[西大山]。最南端の終着駅[枕崎]。そしてこの[山川]は日本最南端の有人駅なのです!!
 

山川駅に到着。
ここで一旦下車します。

「やまかわ」看板。
 

山川駅駅舎を外から眺めます。
右側には「本土最南端の有人駅」看板が。

ハッキリと明記されています。
「本土最南端の有人駅」
 
駅舎の外に出てみると…あった。ありました!! 駅舎の向かって右側に、「本土最南端の有人駅」立て看板が。これこれ。これを見たかったのです。そしてここで写真タイム。ちょうど運良く出てきた駅員さんに頼んで、看板とのツーショット(?)とかも撮って貰ったりしました。
 
そしてこの山川。漁港の町なんだそうで、駅のすぐ前には青い海が広がっています。駅の横の道路を渡って下を見ると、そこはもうそのまま海。これはとてもイイ眺め。そして潮風に潮の匂いが気持ちイイです。ああ、トンビが輪を描いて飛びながら鳴いています…。
 

山川駅前。
道路を渡るとそこはもう海。

こんな素敵な風景もありました。
静かな海の1シーン。
 
さあ、そうこうしているうちに、山川での滞在時間もそろそろ終わりです。13:25発の枕崎行き普通に今度は乗ります。再び駅へ入り、ホームへ向かいます。ホームには地元の高校生が4人ほどいるだけ。後は乗客はなさそうです。
 

山川駅の待合室。
田舎の駅、と言った風情に溢れてます。

やって来た枕崎行きの普通列車。
 
そして13:25。枕崎行きの普通列車がホームへやって来ました。乗り込むとそこそこの乗車率。でもほとんどが地元の高校生ばかり。どうやら通学路線として使われている様ですね。そして列車は山川を出発し、走ること約10分。いよいよ、正真正銘の日本最南端の駅[西大山]の姿が見えて来ました!!
 
 
 
 
 
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