2002年9月18日→9月22日北海道旅行記
 
僕にとって長年、憧れの土地だった北海道。そして最北端の街[稚内]。その、念願の稚内へとうとう行って来ました!! たった一人で、しかも鉄道だけを使って!! その旅行記(らしきもの)をちょこっと書いてみようと思います。北海道の、稚内の魅力を少しでも伝えることが出来れば幸いです。
 
 
 
 
(4) 道北観光Pt.1 〜道北観光バスツアー
 
 
今日(9/20)は、ここ稚内を拠点に道北を色々と巡ります。はやる気持ちを押さえられずに、朝6時前にはもう起床。軽くシャワーを浴びて、そして朝食を取ります。朝食は和食でした。焼き魚や豆腐、納豆、味噌汁…僕、基本的に朝は取らないor洋食派なんですが、こういう時だと不思議とちゃんと食べられます。結構量も多かったのにきちんとたいらげました。腹ごしらえも済んで、さあ出発。
 
[ホテル奥田屋]に別れをつげます。ここはホントいい宿でした。稚内に旅行する際にはかなりオススメな宿だと思います。ただ、難点が一つ…しかも最大の難点…。稚内駅から遠いんです。実を言うと稚内駅よりもその一つ手前、南稚内駅からの方が近いんですよね。まあこればっかはしょうがないのだけど。
 
さて、タクシーで稚内駅へと向かいます。今日は稚内バスターミナルより出ている、定期観光バスを使用します。最初は、バスなり徒歩なりで自力で色々見てまわろうと思っていたのですが、下調べを進めていくうちに「絶対ムリ!!」と断念(宗谷岬へ向かうバスとか、一日数本しかないんですよね) そこに見つけたのが、宗谷バスが運行している定期観光バスでした。シーズン中は毎日、半日コースを2本・1日コースを1本の計3本運行していて、事前予約無しで利用できます。
 
早速チケット売り場へ行き、1日コースを申し込みます。整理券を渡されました。見ると番号1番!! なんとなくウレシイです(笑)
 
観光バスの出発時刻は7:50。時計を見るとまだ7時過ぎ。時間があるので駅付近を散策。すると、261系[スーパー宗谷]が駅に入って来るのが見えました。そこで写真撮影開始。しばらく撮っていると初老の夫婦連れの旅行者がやって来たので、写真を撮ってもらおうとお願い。このおじさんが親切な方で、「じゃあ次はこの角度から」などと言いながら何枚も撮ってくれました。感謝感謝。ちょこっと話をして、僕が愛知から来たと話すと、この方も以前仕事の関係で名古屋に住んでいたことがあるそうでビックリ。こんなちょっとした出会いがあるのも、旅のいいところですね。
 

稚内駅構内の261系[スーパー宗谷]。

[最北端の線路]看板と261系をバックに。
 
そしてバス乗り場へ戻ります。程なくして、僕が今日乗る観光バスが入ってきました。なかなか立派なバスです。早速乗り込んでみます。シートもゆったりしててかなり快適。時間になりバスは出発。この日、乗車客は結局、僕を入れてわずか5人でした。発車してすぐにバスガイドさんから色々案内が入ります。これからまわる先の予定・時間のスケジュールなどなど…。そして、いきなりこの日の乗客全員にプレゼントが配られました。なんでも今日9/20は[バスの日]なんだとかで、オリジナルのジクソーパズルをもらいました。なんか何かとツイてる気がします、今回の旅行。
 
さて、バスのスケジュールなんですが、こんな感じです。 
[稚内バスターミナル〜宗谷岬〜猿払村営牧場〜浜頓別〜クッチャロ湖〜豊富(昼食)〜サロベツ原生花園〜西海岸〜ノシャップ岬〜稚内公園〜稚内フェリーターミナル〜稚内バスターミナル] 
終了は15時過ぎの予定。これから7時間ちょいの観光旅行に出発です。
 
まずは宗谷岬を目指します。日本の北の果ての果て。真の最北端へ。バスは海岸沿いをひた走ります。海の色がやはり、いかにも北の海!!と言う冷たそうな色をしてます。「ああ、本当に遠くへ来たんだなぁ…」 ふと、そんなことを思い、またもや目頭が熱くなります。
 
ガイドさんが、「今日はサハリンも見えますよ」と案内。海のはるか向こうに目をこらすと、なるほど、確かに島影がはっきりと確認出来ます。サハリンもいつも見えるワケではなく、また、晴れていれば必ず見れると言うものでもないそうです。やっぱり何かとツイてます、今回の旅行。
 
バスは50分ほど走り、そして宗谷岬へ到着。バスを降りるなり、走り出してしまった僕。「遂に、遂に日本最北の地までやって来たんだ!!」 妙な興奮を覚え、走らずにはいられないのです。まずは海沿いの方へ。噂に聞く、[日本最北の地標]へ駆け寄り、写真バシバシ撮りまくり。そして前で記念撮影。全くもって観光客丸出しです(笑)
 
あと、海辺へ降りて海の水をなめてみました。最北端の海の味は…う〜ん、しょっぱい!! 普通に海の水の味でした。当たり前と言えば当たり前なんですが。
 

オレは、オレは今、
まぎれもなく日本最北の地に立っているのだ!!

最北端の海と空。
写真では分かり難いのですがサハリンも…。
 

宗谷カモメ(笑)
カモメよ、君は最北の地で一人何を思う…

宗谷岬に立つ、間宮林蔵の像。
 
次は土産物屋へ。宗谷岬へ来たら絶対に購入しなくてはならないものがあります。それは[日本最北端到着証明書]。到着日と日付が入った証明書みたいなもんです。宗谷岬のお土産屋さんならどこでも売ってるみたいです。一枚100円なり。まあベタと言えばあまりにベタですが(笑) そうそう、僕が入った土産屋には[流氷館]なるものがありました。そんなに広くないスペースに流氷が並べられてて…流氷がどうこうよりもとにかく極寒体験ゾーンな部屋でした。ちなみに見学無料。
 
今度は宗谷岬背後に広がる宗谷岬平和公園へ。道路を渡って、丘を登っていくと…そこからは宗谷岬を一望出来ました。なんとも見事な風景。ああ最北の地…憧れの…。
 

宗谷岬平和公園にて。右が宗谷灯台。

高台より見下ろす宗谷岬。
 
こうして一通り見終ったところで見学時間終了。バスは次の目的地[猿払村]へと出発します。右手に海岸、左手には宗谷丘陵という見事な景色の中をひた走り、30分ほどで[猿払村]到着。ここはさしあたって何も見るものは特になかったのですが、ただただ広がる牧場がなんとものどかでいい感じでした。そして何より空の青さ。北海道の空って、どうしてこんなにも青いのでしょう。
 

猿払村看板。
大地の緑。そして海と空の青…

猿払村にて見つけた風車。
風車胴体のオレンジと空の青さの対比…
 
およそ20分ほどの見学の後、今度は浜頓別町の[クッチャロ湖]へと向かいます。バスは海岸線を次第に離れ、車窓にはひたすら平野が広がっていきます。そして所々には牧場。牛の群れ。なんとものんびりした光景。もはや日本離れしています。北海道は、日本であって日本じゃない…北海道に憧れる旅人(自分もそうなんですが)が多いと言うのも納得できます。この風景、これだけでもう充分に大御馳走。
 
バスはひた走り、30分ほどで[クッチャロ湖]に到着。ここは冬になると白鳥の群れが渡来することで有名らしいのですが、あいにく季節がまだ早すぎます。見たところ、白鳥はおろか、他の水鳥の姿も見られませんでした。ただ、白鳥や他の野鳥達を観察する為に、水鳥観察館(入館無料)がほとりに設けられてました。館内に入って係員の方に色々話を聞くと、ここには水鳥だけでなく、オオワシやミサゴなんかの猛禽類もやって来るのだとか。見、見てぇ!! 鳥好きの僕としては、ここでじっくり野鳥観察でもしたかったのですが、観光バスで巡っている以上そうも言っていられません。泣く泣く断念。
 
あと、このクッチャロ湖、近くには縄文時代のたて穴住居あとなんかもありました。
 

クッチャロ湖畔。

たて穴住居。
 
ここからは温泉で知られる[豊富]へと向かいます。そして昼食。豊富までは約1時間。(自分含めて)乗客達にも少し疲れが見え出し、バスのガイドさんも沿線案内をしばし中断。豊富までは仮眠タイムです。バスは今度は山の中をひた走ります。1時間のドライブの後、豊富温泉[ホテル豊富]に到着。
 
ここでは昼食を取るだけなのですが、しかしこの[ホテル豊富]が凄く感じのいいホテルでした。閑静な大自然の中にたたずむリゾートホテルって感じで、いつか泊まりに来たい!! そう思わせるホテルでした。天然温泉の大浴場もあるそうですし…。ただ、なにぶんこの豊富、まわりに本当に何もありません。だからここを観光拠点にするのは無理そうだなぁ…。まあここに泊まるのならのんびりゆったりリゾート、てコトで。
 
[ホテル豊富]のロビー(レストラン?)で昼食。焼き物・煮物・揚げ物・お刺身…色々入ったお弁当でした。それにお味噌汁が付いていて、中にはタラバガニの足が2つ入ってました。何気に北海道ぽくて嬉しくなります。お味の方も良かったです。
 
お昼ご飯も済んで、道北観光もいよいよ後半戦へと入ります。今度は[サロベツ原生花園]へ。ここからすぐ、バスで10分ほどで着きました。
 
降りるなり、「うわっスッゲェ〜!!」 思わず声に出しちゃいました。北海道へ来てから、色々と「これぞ北海道」な景色を見ましたけど、これは極めつけです。止めを刺されました。面積23,000haと言う広さの原野が見渡す限りに広がってます…。今は季節が中途半端なので秋枯れの草しか見えないのですが、これが春や夏なら見渡す限りの緑だったり、色とりどりの花々で飾られるのでしょう…。いやでも、今の季節の秋枯れの野草でも充分です。充分すぎます。限りなく広がる大平原。そして澄み切った青空…一体これ以上、何を求めると言うのでしょうか。
 

サロベツ原野。どこまでも果てなく続く…。

サロベツ原野から臨む利尻富士。
 

[サロベツ原生花園]看板前にて。
僕の頭後ろに利尻富士がちらりと…

[サロベツ原生花園]前の道路。
ひたすら続く一本道。遮る物は何も無い…
 
この原生花園内、一周約20分ほどでまわれる遊歩道が敷いてあります。それともう一つ、5分程度でまわれるショートコースの遊歩道もあります。ここでの滞在時間は30分程と言うことで、皆さんはショートコースの遊歩道を回ってました。が、僕は行ってやりましたよ。ロングコース20分の遊歩道にチャレンジ!! …でも、思いっきり早歩きで回ったら10分程度で終わってしまいました(ヲイ!!)
 
ところでこの原野も、年々様子が変わってきているらしいです。原野内の立て看板に書いてあったのですが、原野内へクマザサの侵入が激しく、原野本来の姿が徐々に失われていってしまってるのだとか。何とかしてこの貴重な自然を守って行きたいものですね。…と少々マジメなことも書いてみる(笑)
 
原野内を一通り回って、併設のビジターハウス(色々展示などがありました)も見学。そして休憩所で冷たい牛乳を買って飲みました。美味い!! やっぱり北海道の牛乳は美味いっす。
 
こうして[サロベツ原生花園]での時間は終わり、今度は西海岸を通って再び稚内市内へと戻ります。バスは海岸沿いの道を走ります。さえぎるものは何もない一本道をひた走ります。車窓からは利尻富士が見えます。海を隔てた向こうに利尻・礼文の2島。そして利尻のシンボル利尻富士。
 

バスの車窓より眺める利尻富士(1)

バスの車窓より眺める利尻富士(2)
 
こうして1時間ほど走ってバスは次の目的地[ノシャップ岬]へと到着。ここは夕日が凄く綺麗な場所なんだそう。でも、まだまだ夕日の時間には早過ぎます。ガッカリ…はしません。まだ僕には計画が…むふふ。
 
さて、まずは岬へは行かずに駐車場そばにある南極越冬隊資料展示館(だったかな…)と言うのに入ります。昭和基地のことだとか、南極犬[タロ][ジロ]のこととか展示されてました。でも僕ら以外には見学者は誰もいなくてかなりさびれた様子(笑)
 
さていよいよ岬へ。岬近くには稚内市青少年科学館
、それに稚内市立ノシャップ寒流水族館と言うのがあって、○○館と名の付くものが大好きな僕には大いにそそられたのですが、これは時間の関係で見れず終い。残念。だけど…。
 
岬には結構たくさんの人がいました。そして結構寒いです。稚内自体は思ってたほど全然寒くも無かったのだけど、やっぱり海の近くまで来ると風が強いです。ここと言い、午前中に行った宗谷岬と言い強風が吹き荒れていました。ノシャップ岬にはシンボルのイルカ像があります。そして近くの稚内灯台は、日本で二番目に高い灯台なんだそう。岬からは利尻富士も臨めます。宗谷岬とはまた違う趣でイイ感じです。せっかく道北に来たのなら、二つの岬両方とも回って色々比べてみると面白いかも。
 

ノシャップ岬のシンボル、イルカ像。

稚内灯台。日本で二番目に高いそう。
 
色々写真を撮ったり、岬から景色を眺めたりしてノシャップ岬での時間も終わり、いよいよ道北観光の最終目的地[稚内公園]へと向かいます。バスは稚内の街へ戻り、そして小高い丘の上へとぐんぐん上って行きます。こうして、[ノシャップ岬]から15分程度で[稚内公園]へと到着。
 
公園は、稚内市街を一望できる高台の上にありました。バスを降りて、ぶらぶらと公園を散策。この公園、何かいろんなモニュメントやら碑やらがたくさん立ってました。中でも一番有名な[氷雪の門]へまずダッシュ。で写真をパチリ(笑) この稚内公園、他にもツアーの観光バスとかが結構止まってて、この門の前で写真を撮ってる人が非常に多かったです。ちなみにこの像、海を隔てた樺太(つまりサハリン)への望郷の念だとかが込められてるんだそうな。
 
隣を見ると、[九人の乙女の碑]と言うのがあって、これは第2次大戦直後に樺太で自決してこの世を去った、9人の女性電話交換手を慰霊しているのだそう。僕は普段は全然信心深い方じゃないし、むしろ神も仏も信じていないタチなのだけど、でもなぜかこの碑の前では目を閉じて黙祷をささげてしまいました。なぜこの時そんな気持ちになったのか、自分でも不思議。
 
今度は景色を眺めます。この公園、高台にあるだけあって見事な眺望が臨めます。稚内市街全域が見渡せます。こうして見ると、稚内の街はいかにも北の港町って雰囲気で、なんとも言えず風情があります。ちなみにこの公園からもサハリンが見えました。
 

公園のシンボル、[氷雪の門]。

稚内公園より稚内市街を一望。
 

別角度からもう一枚稚内市街を。

公園にてパチリ。後ろには[氷雪の門]。
 
一通り見てまだ時間があったので、お土産屋さんへ。ここの土産屋では[稚内到達証明書]なるものが売ってたんでとりあえず買っときました。やはり到着日・時刻が入ってます。なんか宗谷岬で売ってた[最北端到達証明書]のパクリみたいですね。でもこれ、見開きになってて開くと中に折りたたまれてた[氷雪の門]が飛び出す仕組みになってたりと、何気に凝ってます。あと、ここでは色々な変り種のアイスクリームが売ってました。北海道らしさ、てコトでジャガイモ味を購入。ジャガイモて言うよりもクリみたいな風味で普通に美味しかったです。でも、メニューには[ウニ]とか[サーモン]とかとてもヤバそうなアイスがあったのに、実際に売られてなかった(まさか売り切れ!?)のがとても残念。
 
そんなこんなで、[稚内公園]での滞在時間も終わり、これでこの観光バスでのコースは全てお終い。これからバスターミナルへと向かいます。市街へとバスは走り、そしてまずフェリー乗り場へ到着。ここで今日の乗車客5人のうち、2人が降りました。なんでも、これから礼文島へ向かうのだそう。…そっか、今回の僕の旅、[礼文][利尻]は全然頭に無かったなぁ…よし、今度道北へ来る機会があったら、この2島へも行くことにしようっと!! 利尻島はウニが美味いらしいし(笑)
 
そして15:00過ぎ。観光バスはバスターミナルへ無事到着。ガイドさんと運転手さんにお礼を言ってバスを降ります。いやホントに楽しかった。満足満足。この定期観光バスによるバスツアー、これはかなりオススメです。僕の乗車した1日コース、お昼御飯付きで\7,500でした。これでほぼ1日過ごせるワケですし、決して高くは無いと思います。まあどうしても、一箇所一箇所での滞在時間が短くなってしまうのが痛いけど(大体20〜30分)、でもその代わり道北の主要な部分をほぼ全て見てまわれますし。自力で1日にこれだけ見るのはまず無理。不可能に近いです。「色々見れたぁ〜」と言う充実感と満足感は凄く得られます。
 
さて、バスによる観光は終わってしまいましたけれど、まだ宿へ向かうにはあまりにも時間が早過ぎます。そこで、僕はとある計画を実行に移すことにしました。名付けて、[ノシャップ岬で最北端の夕陽を見てやるぜ!!]大作戦!! 行きます!!
 
 
 
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