2002年9月18日→9月22日北海道旅行記
 
僕にとって長年、憧れの土地だった北海道。そして最北端の街[稚内]。その、念願の稚内へとうとう行って来ました!! たった一人で、しかも鉄道だけを使って!! その旅行記(らしきもの)をちょこっと書いてみようと思います。北海道の、稚内の魅力を少しでも伝えることが出来れば幸いです。
 
 
 
 
(3) いざ、憧れの稚内へ!!
 
 
今日(9/19)、はいよいよ、今回の旅の目的地[稚内]へと向かいます。憧れの地[稚内]では何が待つのか…もうドキドキ!!
 
そんなワケで、朝7:00前にはもう起床。シャワーを浴びて服を着替え、ホテルのモーニングで朝食を済ませます。メニューは一般的な洋朝食でした。パンに卵(目玉焼き)にベーコンにサラダ・そして牛乳・コーヒー・デザートのヨーグルト…。腹ごしらえも済んでいざ出発!!
 
ホテルに別れをつげ、てくてく歩きます。そして函館駅に8:00過ぎに到着。駅に入るなり、いきなりアナウンスが入ります。「8:30発 札幌行き特急[スーパー北斗]3号、乗車準備整いました」 え、もしかしてホームにもう来てるの!? はやる気持ちを押さえきれずにホームへとダッシュします。やっぱり、初めて乗る列車にはつい興奮してしまいますね(笑)
 

朝の函館駅。

一番奥のホームに…
停まってました!! 281系[スーパー北斗]
 
僕の乗る特急[スーパー北斗]3号は、一番奥のホームにもう停まってました。「うわぁ~~…カッコいい!!」 見るなり、思わず声をあげてしまいました。でも、こんな風に心から「カッコイイ」と思った車両は久しぶりでした。顔立ちはややのっぺら坊な気もしなくもないですが(笑)、でも全体的なスタイルがとってもスマートでどこかお洒落な感じがします。
 
ワクワクしながら乗り込みます。内装もイイ感じです。天井の間接照明は何とも言えないやわらかさがあって個人的に大好きです。座席の色と相まって、車内は全体的にやさしい、暖かい雰囲気がします。まさに北国の車両、って感じですね。
 

281系[スーパー北斗]前面。

281系[スーパー北斗]車内。
 
[スーパー北斗3号]は定刻通りに函館を出発しました。この列車で札幌まで向かい、そこで別の列車に乗り換えて稚内へと向かいます。一日がかりの移動です。
 
座席の座りごこちもなかなかのもの。シートピッチ(座席の前後間隔)はそんなに広くはないけど、もちろん狭くはないです。言うまでも無くリクライニングシート。これなら札幌までの3時間強も快適に過ごせそう。ここでふと、座席の手元を見ると、前の座席の背面、マガジンラックに何やら挟まっているのを見つけます。取ってみると、車内販売のメニューとJR北海道の車内誌…。これはちょっと驚きでした。グリーン車なら雑誌類等のサービスもよく聞くのですが、まさか普通車にまで同じ様なサービスがあるなんて…。あとで分かったのですが、どうやらJR北海道の特急では全列車全座席で同様のサービスを行っている様です。なんて凄いサービス…ここでまた感激(涙) ちなみに、この車内誌、なかなか内容の濃い、面白い本でした。中でも、小檜山博と言う人のエッセイがあまりにいい話で…僕、ちょびっと泣きました(笑) なんかホント、北海道来てから涙腺もろくなってるなぁ…。
 
函館を出て20分ほど。[大沼]と言うところを通過します。ここが非常に景色の良いところでした。木々の間から湖が広がり、その向こうには駒ヶ岳…。北海道旅行中、車窓からも色々な景色を見ましたけど、その中でも最高の景色の一つでした。
 

大沼付近その(1)

大沼付近その(2)
 
ところでこの[スーパー北斗]用の281系。実はJR在来線特急で最速の足の持ち主なんだとか。最速列車だと函館⇔札幌を3時間ジャストで結び、表定速度(つまり平均速度)は100キロを超えるんだそうな…。凄いです。この281系、実は電車では無く気動車(ディーゼル車)なんですね。普通、気動車って電車より遅いと言うのが定説なんですが、それを全く無視してます…凄ぇ(笑)
 
ただ、速いのはいいのですが、結構揺れます。この車両、スピードを上げる為に振り子式(カーブを曲がる際に内側へ車体を傾斜させることで、カーブでもスピードが落ちない様にするしくみ)を採用しています。そのせいか横揺れが激しいです。普通に座席に座ってる分には全然気にならないのですが、立ち上がって通路を歩くと途端によろけます。この車内で車販をしているスタッフの方々、大変だろうなぁ…。
 
車窓を眺めつつ、「まだまだ先は長いのだし…」と、持ってきたCDウォークマンを取り出します。でも、5分もせずに聴くのを止めてしまいました。…なんか、せっかくここまで来て音楽なんか聴くのが凄く勿体無く思えてきてしまって…BGMが欲しいのなら、列車の走行音で充分。
 
ボーっと車窓を眺めたり、車販でホットコーヒーを頼んだり、アイスクリームを食べたりしてのんびり過ごす車内。そうそう、オレンジカードも買いました。やっぱこれは定番。買っとかなきゃ。ちなみにこの車内で販売されてたのは、[スーパー北斗]281系と[はつかり]485系がセットになった図案のものでした。[はつかり]は僕が昨日乗り損ねたリニューアル車…う、うらめしい(涙)
 
そうこうするうちに、列車はそれまでの田園地帯を抜け、街の中へと入りました。11:47、札幌に到着です。
 
札幌駅はやっぱり大きいですね。都会のターミナルって感じです。さすが北海道一の都市です。北海道各地の路線から、色々な列車がホームへと滑り込んできます。せっかくなので色々と列車見物。まだ乗り換えに結構時間がありますし。
 

785系特急[スーパーホワイトアロー]。

都市圏輸送に活躍する通勤車731系&201系。
同じ顔してますが片方は電車。片方は気動車。
 
そんなこんなで待つこと約20分。僕の乗る特急[サロベツ]がホームに入ってきました。この列車で一路北へ、稚内へと向かいます。ホームの売店で駅弁と缶ビールを買って、列車の前で記念撮影して(笑)、それから乗り込みます。ちなみに、この時写真をお願いした車掌さんがとても親切な方で、「上手く写ってないといけないから」と言って何枚も撮って下さいました。感謝感謝。
 

これから乗り込む183系特急[サロベツ]の前で。
花のヘッドマークがカワイイ。

183系[サロベツ]車内。
随所に国鉄っぽさがあふれてます。
 
[サロベツ]用183系の内装は、ここまで乗ってきた281系に比べるとやっぱり、数段見劣りしてしまいます。鉄パイプの荷物棚、飾り気のない照明…どこか無骨な感じがします。やはり末期とは言え、国鉄時代に造られた車両なんだなぁ、と言う感じです。ただ、座席だけは新しいのに取り替えられていて綺麗です。ちなみにこの座席、車両ごとに色が変えられてました。僕の乗った2号車はグリーンのシート。1号車と3号車がそれぞれ、ブルーとレッドと言う風に。同じ線区を走る、特急[スーパー宗谷]用261系と合わせた仕様にしてあるみたいですね。
 
そしてこの[サロベツ]、座席に腰掛けてみて初めて気がついたのですが、他のどんな特急車両にも劣らない素晴らしい点が一つだけありました。それは、シートピッチがとてつもなく広いということ。281系なんかとは比べ物になりません。悠々と足を伸ばせてくつろげます。普通車でこれだけシートピッチの広い列車は他にそうは無いでしょう。これなら稚内までの5時間半もの長旅も、なんとか快適に過ごせそうです。
 
12:20、特急[サロベツ]はゆっくりと札幌駅を出発しました。早速缶ビールを開けて一人乾杯。そして駅弁に手を伸ばします。売店のおばちゃんがしきりに勧めてきた、[ミクニBOX]。三國清三シェフプロデュースのこの弁当、鮭フレークの入った炊き込み御飯(ピラフ?)の上に、様々な野菜・鮭の切り身・ウニ・帆立などなど色々と乗ってます。で、バルサミコのソースかなんかがかかってます。見た目にも豪華で、ビールに凄く良く合いました。美味かった。
 
缶ビールをぐぃっと開けると、なんともいえないいい心地。列車はただひたすら田園風景の中を走って行きます。札幌まで乗ってきた[スーパー北斗]に比べてこの[サロベツ]、どこか非常にのんびりした空気が漂ってます。実際、スピードも全然出てませんが(笑)、その代わりに走行中の横揺れなんかもほとんどありません。今となってはやや古い感もする183系ですが、乗り心地はなかなか上等。ただ、発車時にガクン!!と言う衝撃が来るのだけはちょっと参りました。何はともあれ、昼下がりのローカル特急の旅と言うのもオツなもんです。時間とゆとりのある人にはオススメです。ただし、この[サロベツ]。本当に何もない特急なんでそこだけはご注意。JR北海道は全線の特急で車販を行ってる様ですが、[サロベツ]にはありません。なんで、あらかじめ駅で食糧等買っておかないと、5時間半の兵糧攻めに合うことになります(笑)
 

途中岩見沢の駅にて。牛? 馬??

どこまでも広がる田園。そして見事な青空…
 
途中、旭川で結構な乗車があって、ガラガラだった[サロベツ]車内もようやく観光特急らしくなってきました。と言ってもまだまだ50%程度の乗車率なんですが。ここから北上して宗谷本線へと入っていきます。
 
列車はどんどん北へと上っていきます。景色も少しずつ変わって行きます。田園地帯を抜け徐々に山の中へ…山を抜けるとまた広い平野が広がり…。もう何時間くらい走ったでしょうか。かなり宗谷本線奥地まで入り込んだところで、急に列車がブレーキをかけて停車しました。駅も何もないところです。そして入ったアナウンス。「ただ今、鹿が線路に飛び出した為、列車は急ブレーキをかけました。鹿は右手奥の山ヘと逃げて行きました…」 こんなことって本当にあるんですね。改めて北海道の自然の凄さを垣間見た気分。
 

宗谷本線車窓。白樺の森の中をただ走る。

夕暮れの抜海~南稚内間。
 
そして列車は更に北上し、宗谷本線最奥地へと入って行きました。終点稚内の二つ手前、[抜海]と言う駅を過ぎた辺りで僕は急に落ち着かなくなりました。と言うのも、この先に僕の見たい風景があるのです。鉄道写真の撮影場所としてもしばしば使われている[抜海]~[南稚内]間。とある雑誌で見たその風景に心奪われたのが、僕が日本最北端を目指そうと思ったきっかけでもあったのです。…そして、[抜海]を通り過ぎてしばらく…列車は丘陵地帯を一瞬抜け、そして車窓にぱっと広がる日本海…。見事な風景でした。眼下に宗谷丘陵、そして道路を隔てて湿地が広がり、その向こうに海。ただただ広がる日本海。「これなんだ。この風景を見る為にオレはここまで列車で来たんだ」 何とも言えない感慨深い気持ちになり、ここでまたも目頭が熱くなるのを感じずにはいられませんでした。
 
一瞬の、ほんの一瞬だけの素晴らしい風景との遭遇後、程なくして列車は稚内市街に滑り込みました。そして17:50。僕を乗せた特急[サロベツ]は日本最北の駅、[稚内]へと到着しました。
 

日本最北の駅。更にそのホームの一番端にて(笑)

線路の終わりには[最北端の線路]の立て看板。
 

ホームには[ようこそ稚内へ]の看板。

夕暮れの稚内駅。
 
憧れの地、[稚内]へと遂にやってきました。しかし感慨にふけってるヒマはそうはありません。もう辺りも真っ暗ですし、とりあえずホテルへと向かいます。今晩泊まるのは[ホテル奥田屋]。歩いて行くにはやや遠そうだし、ここまで来て道に迷うのは凄くイヤなので(笑)、タクシーを利用。このタクシーの運転手さんがなかなか話好きな人で、色々な情報を教えて下さいました。稚内は今年は夏寒かったこと(最高気温15度程度)、9月に入ってからの方がむしろ暖かいと言うこと、明日は天気が良さそうだからサハリンが見られるかもしれない…。そして、10分弱でホテルに着きました。
 
なかなか、と言うか凄く綺麗なホテルです。スタッフの人も礼儀正しい、感じのいい方でした。案内された部屋はツインの洋室。…なぜ? 一人って申し込んだのに。まあ広いからいいや(笑) そしてこのホテル、大浴場があります。ゆっくりとつかって旅の疲れを癒します。その後夕食。ここのホテルは朝食と夕食と2食ちゃんと着いてます。僕が泊まった時は一泊二食で\8,500でした。某旅行会社で申し込もうとしたら\18,000て言われたんですけどね(笑) 旅行会社暴利むさぼり過ぎやん。夕食は色々と出てきました。北海道らしいもの、と言う意味では[ちゃんちゃん焼き]出てました。サケとかホタテとか、あと野菜なんかがミソ仕立ての鍋風に調理してあります。なかなか美味しくてビールも進みます。結局生を2杯飲んで、一時間くらいかけてゆっくり夕食を取りました。
 

[ホテル奥田屋]客室。

[ホテル奥田屋]全景(翌朝撮影)。
 
その後、近くを散策でも…と思ったのですが周りには何もありません(笑) ただ、一軒だけお土産屋がホテル真向かいにあります。土産屋と言っても、普通のお土産屋とはちょっと違った感じで、どっちかって言うとご主人の趣味っぽいものとかが多いお店でした。ご主人とちょっと話をしたのですが、なんでも元々は神奈川の方だそうですが、稚内へ憧れて移り住んでしまったのだとか。僕が稚内へ憧れて来た事を話すと、「じゃあぜひ移住して下さい」と勧められました(笑) 結局ここで、本を2冊買いました。稚内の写真集とか詩集とか。あと、記念にどうぞと、宗谷岬で取ったと言う小石をもらいました。
 
そしてホテルへ再び戻って一人部屋で酒宴。缶ビールを2本(3本だったかな?)ほど飲みました。そうそう、この日、偶然にもNHKの番組にスケッチショウが出てました。まさか憧れの地で、自分の好きなアーティストが出てる番組を見られるとは…あまりに出来すぎた偶然にただただ驚き。そして感激。こうして、稚内での一日目の夜は更けていくのでした。
 
 
 
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