Duran Duranと並びブリティッシュインベイジョンの中心となったのは女装のボーカリストBoy Georgeを中心とするCulture Clubでした。数多くの名作ビデオクリップを撮影したJulian Temple監督によるこの作品は、Boy Georgeという異色の存在に対する周辺の反応と騒動を描いていて、それが「君は完璧さ」のセンチメンタルな歌詞とマッチしていました。裁判所のシーンで登場する黒人の映像は一部放送禁止にもなりましたが、全米チャートでは見事に2位を記録して、ブレイクの要因となりました。

同じくイングランドはロンドンで結成されたロックバンドPoliceですが、83年にはこの曲が全米チャートで8週間1位という大ヒットを記録しました。監督はGodley & Creamで、80年代には名ビデオクリップを数多く手掛けるチームですが、この作品では白と黒のビジュアルの洗練された美しさで、ビデオクリップの歴史の中でも屈指の名作とされています。

83年にはビデオクリップに力をかけるアーチストが多く登場してきますが、ニューヨーク出身のロックシンガーPat Benatarもその一人でした。家を飛び出した不良少女の顛末がドラマチックに描かれていますが、何といっても演じてるPat Banatarがハマっていて素晴らしいです。このビデオの影響もあってPat Banatarの中でも最大のヒットとなる全米チャート5位を記録しました。

全米はフィラデルフィア出身のソウルデュオHall & Oatesも印象的なPVとともに80年代に大活躍を見せました。特に軽やかなステップを見せるDaryl Hallにお茶目なJohn Oatesの魅力が一番出ていたのがこの「Say It Isn't So」です。個人的にDaryl Hallにはかなり影響を受けていて、ファッションからステップまで本当によく真似ていました。全米チャートでは2位を記録しています。

全米はニューヨーク出身のシンガーソングライターBilly Joelの全米チャート3位に入るヒットナンバーです。山の手の御嬢さんとガソリンスタンドの店員との恋愛がまるでショートムービイのように展開していて、見るとなんだか幸せになるビデオクリップです。ちなみに御嬢さんを演じていたChristie BrinkleyとBilly Joelは85年に実際に結婚することになります（94年には離婚しますが）。

世界的なビッグスターMichael Jacksonのブレイクはこのビデオ無しには語れません。名盤『Thriller』からの2曲目のカットで、全米チャート1位を7週間記録しました。Steve Barron監督のこの作品でMichaelは触れるものを光らせる超越した存在を演じ、スターMichaelのイメージを作り上げました。またビデオクリップのMichael Jacksonの踊りも話題になり、ライブビデオではムーンウォークを初めて披露しました。

「Billie Jean」に続き全米1位を獲得したMichael Jacksonの名曲です。Bob Giraldi監督によるこの作品は映画ウエストサイドストーリーを彷彿とさせる内容になっています。ビデオに登場する対立するギャングは実際に対立していたギャングで、これをダンサーに使うという伝説も残しました。80年代の名ビデオクリップでは外せない1曲です。

音楽と映像で最高の2作品の後に出されたのがこの「Thriller」。映画監督John Landisを迎えて作られた映画以上のクオリティのホラー作品に仕上がっています。予想のつかないストーリー展開があり、ショッキングなビジュアルもあり、素晴らしいダンスもあるというこれを超えるものは出てこないだろうと言われるほど究極のビデオクリップです。

Paul McCartneyとMicheal Jacksonの曲で全米1位を6週間記録しました。詐欺師集団を2人が演じるもので、「Beat It」のBob Giraldiが監督をしています。このビデオの製作費用は50万ドルで、Paulの奥さんのLinda やMichael Jacksonのお姉さん La Toyaも登場しています。